レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009/09/24
- 登録日時
- 2010/04/13 02:00
- 更新日時
- 2010/08/02 10:19
- 管理番号
- 長野市立長野-09-009
- 質問
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解決
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」
三銃士の中にでてくるが、その言葉の出典はどこからきているか。
- 回答
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最初に公で使用されたのは、『ダルタニャン物語』第1部「三銃士」(1844年)ではないかと思われる。
それを遡る出典を裏付けるものは見つからなかった。
- 回答プロセス
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インターネットで「一人はみんなのためにみんなは一人のために」と検索すると、しんぶん赤旗のサイトにあたる。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-02-16/20060216faq12_01_0.html (最終確認:2009.09.24)
これによると「古代ゲルマン人の昔からの言い伝えであって、特定の賢人が考えだした標語ではないとみられ、航海する船の人たちの助け合いに由来するという説」と質問者の事前調査と同類の内容が掲載されている。
また、「文献では早くは、フランスの作家、アレクサンドル・デュマの『三銃士』(1844年)にみられ、銃士たちの友情を表すモットー」、「『イカリア旅行記』の第3版(1845年)の表紙と扉の両方に、「万人は各人のために、各人は万人のために」の標語がみられる」ともある。
文献としては、『イカリア旅行記』(1845年)よりも『三銃士』(1844年)の方が古い。
デュマはフランス人なので日仏会館の図書室に調査を依頼する。
三銃士の第9章の最後に載っていて、その言葉はラテン語で”Unus pro omnibus, omnes pro uno”。
スイスで使われていた。標語・スローガン・モットーとして使われていたのではないか?とのこと。
『フランス名句辞典』p337に「”Tous pour un, un pour tous.” 皆はひとりのために、ひとりは皆のために。(アレクサンドル・デュマ・ペール「三銃士」9.1844)」の項目がある。また、「中国の「三国志」にも、「桃園の盟」とよばれる場面で、似た設定が見出される。ただし、そこでは義兄弟の契りをむすぶとの言葉があり、ここに西洋と東洋の差を見る思いがするものである。」ともある。
『世界引用句事典』p153に「全体は個人のために、個人は全体のために存在する デューマ(大)「三銃士」」の項目がある。
『成語大事苑』p1106に「みなは一人のために、一人はみなのために デュマ」の項目あり。ここにも三銃士からの出典とある。
- 事前調査事項
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共産党の新聞赤旗にゲルマン人の言い伝えとなっていたが調べてほしい。
- NDC
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- 語源.意味[語義] (812)
- 参考資料
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- 『世界引用句事典 名言・格言・俚諺』梶山 健/編 明治書院 1979.11 <159カ>
- 『フランス名句辞典』田辺 保/編 大修館書店 1991.04 <R854フ>
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『成語大辞苑 故事ことわざ名言名句』主婦と生活社 1995.09 <R813セ>
- キーワード
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- 三銃士
- アレクサンドル・デュマ
- 照会先
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000065877