レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2006/10/25
- 登録日時
- 2007/06/13 02:10
- 更新日時
- 2007/06/13 09:32
- 管理番号
- D2006M1383
- 質問
-
解決
嘉永元年 永井孝一著 驚天動地録 を読みたい。複製版でもかまわないので閲覧できるものはないか。
典拠:『善光寺史(上)』(請求記号HM136-1) 坂井衡平著 東京美術刊 p.450に記載有。
- 回答
-
お問い合わせの永井孝一著「驚天動地録」について、
典拠資料(『善光寺史(上)』)の記述および「驚天動地録」という書名から、
善光寺の災害に関する資料を調査したところ、下記1、2の記述により、
「驚天動地録」は『地震後世俗語之種』(書名表記は複数あり)の別名であり、
著者は永井善左衛門幸一(おそらく永井孝一と同一人物と思われます)であるこ
とが判明しました。
「驚天動地録」という名称のものとしては、下記1に『渡辺敏収集長野史料』
が紹介されていますが当館未所蔵です。「驚天動地録」抜粋は下記2に掲載され
ています。
次に『地震後世俗語之種』という書名で調査したところ、下記 1,2,7-9
等より、原本は長野市指定の文化財(永井家文書・『地震後世俗話之種』)とし
て永井家にて所蔵、写本は当館(下記3)のほか真田宝物館で所蔵していること
が判りました。
複製については、下記1が原本の復刻版にあたり、文章は異なりますが、典拠
資料(『善光寺史(上)』)p.450の引用文(「皇極帝の時...」)と同じ記述が
ありました。
また、下記1には『地震後世俗語之種』が抜粋して掲載されている資料として、
『長野市史』(当館未所蔵)と『大日本地震資料』(下記4)が挙げられていま
した。他に下記2, 5,6には絵図の一部が掲載されています。
1.『善光寺大地震図絵 : 弘化四年 地震後世俗語之種』 永井善左衛門絵 銀
河書房 1985.12 (GC117-171)
pp.125-136 「解題」
p.135 「本書にさいしょに注目したのは渡辺敏(一八四七-一九三〇)であ
る。彼は明治二十九年、長野高女初代校長となり、二四年在職したが、その
間、郷土史料の収集につとめ、その筆写した史料は『渡辺敏収集長野史料』
として信濃教育会参考室 に所蔵されるが、その一部に「驚天動地録」と
して本書が収められている。画工に命じて挿絵まで全部複写してある。また、
「長野市史」(大正一四年刊)にも、本書がかなり長文で引用されており、
...」「また本書の一部は、『大日本地震資料』に収められている。」との記
述あり。
pp.142 「地震後世俗語之種 第一冊 善光寺の由緒」の項に典拠資料(『善
光寺史(上)』)p.450の引用文と同意の記述(「三十六代の帝皇極天皇蘇生
ましますの結縁に寄、昔時本多善光へ勅命あり、諏訪の国へ供奉して安置ま
します。今呼んで伊奈郡座光寺是なり。...」)あり。
2.『弘化四年善光寺大地震記録集』 岡沢要編 1982.4 (GC117-141)
巻頭 絵図(白黒見開き7点、「口絵の原図は驚天動地録の著者 永井善左
ヱ門の筆」との記述)の記載あり。
pp.188-200 「驚天動地録 三 (抜萃)」
p.188 「次編の「驚天動地録」は権堂の草分けであり名主であった永井善左
衛門幸一が堂庭で土産物なぞの店をもって商いをしており、その場で地震に
あい、そして命からがら逃げのびた途々の悲惨な状況と自分の家のことなぞ
書止め子孫に伝ふべく得意であった絵を挿はさみたる貴重なもので、全巻は
七編よりなりその原本は後裔の長野市箱清水永井俊郎氏が受継ぎ蔵本され、
長野市は文化財として指定されている。」
との記述あり。
3.『地震後世俗語之種』 永井善左衛門幸一
マイクロフィルム (YD-古-2480)
カラーポジフィルム(部分) (6CP-282、6CP-297)
古典籍資料室所管資料
*NDL-OPACでは検索できない資料です。
『帝国図書館和漢図書書名目録. 第7編』(029.1-Ko5486t2)に記載。
4.『大日本地震史料. 第3巻 増訂』 文部省震災予防評議会編 鳴鳳社 1976
(GB76-2)
昭和16年刊の複製
pp.930-938 「長野市史」として永井善左衛門幸一の「地震後世俗話之種」の
抜粋、解説等を掲載。
*資料1で紹介された『大日本地震資料』のことと思われます。
5.『善光寺地震 : 震災後一五〇年 : 松代藩の被害と対応 : 平成10年度企画展』
長野市教育委員会松代藩文化施設管理事務所 1998.10 (GC117-G49)
巻頭 『地震後世俗語之種』からの絵図(4点、カラー図版)の記載あり。
6.『弘化四年善光寺大地震』 信濃毎日新聞社開発局出版部編 信濃毎日新聞社
1977.9 (W387-5)
和装本。pp.1-36 「地震後世俗話の種(永井善左衛門)」抜粋としてカラー絵
図掲載。
7.川本勉「稀本あれこれ(408)『地震後世俗語之種』弘化四年の善光寺地震体験録」
「国立国会図書館月報」 第489号 2001.12 巻頭 (Z21-146)
8.『ドキュメント災害史1703-2003 : 地震・噴火・津波、そして復興』
国立歴史民俗博物館編 国立歴史民俗博物館 2003.6 (EG77-H43)
pp.32-34 「1.1.4 地震被害の記録」
9.永井家文書
http://www.city.nagano.nagano.jp/upload/1/bunka_database_059.pdf
書誌情報末尾の( )内は当館請求記号
*インターネットの最終アクセスは、2006年10月19日。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
NDL-OPAC;NACSIS-Webcat;総合目録ネットワーク;長野県立図書館;長野市立図書館OPAC;東京大学史料編纂所データベース;国文学研究資料館データベース;東洋文庫;東京国立博物館資料館;蓬左文庫;『国書総目録』;『古典籍総合目録』;『国書人名辞典第5巻(補遺・索引』;『長野県郷土資料総合目録』;『幕末維新史事典』;『角川日本史辞典 新版ワイド版』;『近世・近代史料目録総覧』;『全国地方史誌関係図書目録1993国立国会図書館納本非流通図書』;『日本近世史研究事典』;『国際人事典 幕末・維新』
- NDC
-
- 中部地方 (215 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 震災
- 長野県
- 歴史
- 善光寺
- 地震
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000035432