レファレンス協同データベース事業データ作成・公開に関するガイドライン

目次へ
4-1. 公開にあたって知っておくべきことは何か
4.1.1 公開するために注意すべきことを確認する

 データを公開するにあたっては、データの最低限の質を確保する必要があります。そのためには、次のことに対して理解する必要があります。

  • 公開してはならないデータを知ること

  • ⇒ 公開してはならないデータとはどのようなデータであるのか、4.2の説明で理解します。

  • 公開レベルの条件を知ること

  • ⇒ 公開レベルを選択する際の目安や条件を、4.3の説明で理解します。 これらのことを理解する前提として、公開の意義、公開の条件及び公開に伴う責任について、確認する必要があります。

⇒関係する資料
第4章の記述内容については、付録資料3『レファレンス協同データベース・データ公開基準(一覧表)』も併せて参照してください。

(1)公開の意義
 レファレンス協同データベースを公開することは、参加館のレファレンスサービスの向上に資するとともに、利用者や図書館情報学の研究者にとって有用な情報源の提供につながります。さらに、図書館で行われている専門的な業務のコアに位置付けられるレファレンスサービスの存在を広く国民に示す機会ともなります。レファレンスサービスの存在価値を広めるためには、まず利用してもらうことが一番であるという意見をしばしば耳にします。それゆえ、多くのデータを公開し、レファレンスサービスとして、どのような活動が行われているかを示すことは、レファレンスサービスを発展させるための有効な手段でもあると考えられます。
 レファレンス協同データベースでは、それぞれのデータについて、公開範囲を、「参加館公開」又は「一般公開」に設定することができますが、公開の意義を踏まえて、作成したデータは、できる限り「一般公開」とすることが望まれます。

(2)公開の条件
 公開の条件を満たしている場合、データは、それぞれの公開レベルにおける質を確保していることが必要になります。  ただし、この条件は、データを公開するための最低限のものです。それゆえ、さらに質の高いデータを作成することを目指す場合には、第5章を参考にしてください。

(3)公開に伴う責任
 公開したデータの内容に対する責任は、各参加館が持つことになります。また、データの維持管理にも配慮することが求められます。 公開に対する責任を十分に果たすために、各参加館では、次のことが重要となります。

  • 体制づくり
  • レファレンスサービスの現在の組織や人員等の状況を点検し、この事業への取り組みが可能になるような体制づくりが求められます。 規程類の整備 4.2以下に示した目安、条件、留意点等に基づいて、自館のレファレンスサービスの方針や規程等を見直したり、新たに策定したりすることが望まれます。

4.1.2 公開レベルの構造を理解する

 レファレンス事例データ、調べ方マニュアルデータ、特別コレクションデータを公開しようとする場合、「参加館公開」又は「一般公開」のいずれかを選択することができます。

(1)参加館公開
 作成したデータの中で、一定の条件を満たしているデータを、「参加館公開」とすることができます。条件は、4.3.1に示しています。

(2)一般公開
 「参加館公開」とすることができるデータの中で、さらに所定の条件を満たしているデータを、「一般公開」とすることができます。条件は、4.3.2に示しています。

(3)自館のみ参照
 次のようなデータは、参加規定に反していない限り、「自館のみ参照」として、データベースに登録することができます。

  • 「参加館公開」の条件を満たしていないデータ
  • 「参加館公開」の条件を満たしているが、参加館の方針や規程との関係で、公開しないと判断したデータ

[詳細解説]
 参加館の方針や規程との関係で、「自館のみ参照」と判断するデータには,次のようなものが該当すると考えられます。
(1)現時点で作成されているデータの表現や書式をさらに整えてから公開しようと判断している場合
(2)レファレンス事例データ並びに調べ方マニュアルデータにおいて、「参加館公開」又は「一般公開」とされていたデータを新しいものに差し換えたときに、古いデータを残す場合
(3)レファレンス事例データにおいて、十分な調査が行われなかったり、未解決であったりする場合で、さらに自館で調査を進めてから公開しようと判断している場合

ページのトップへ
4.2. 公開してはならないデータとは何か
4.2.1 プライバシーを尊重する

 レファレンス事例データ、調べ方マニュアルデータ、特別コレクションデータのいずれにおいても、個人のプライバシーを尊重することが必要です。  記載されるデータ中に、個人名が記されていないことを確認する必要があります。  ただし、個人名といっても、歴史上の人物及び社会的に著名な人物である場合は、この限りではありません。

※個人情報の取り扱いについては、 「レファレンス協同データベース事業参加館通信(号外_ご注意ください!レファ協の登録データにおける個人情報の扱いについて)」(要ログイン)も併せてご参照ください。

4.2.2 質問者の特定化を避ける

 プライバシーの尊重とも関係しますが、特に、レファレンス事例データの場合、質問者が第三者に特定化されないよう記載することが必要となります。個人名が記されていなくても、「質問」、「事前調査事項」、「質問者区分」等から、質問者が特定されてしまう可能性がまったくないとは言えないからです。レファレンス質問は図書館利用者の個別の問題意識や課題に基づいていますので、この点を点検しなくてはなりません。

4.2.3 表現に注意する

 データを公開する際には、記入する文章や語句の表現が次のものに相当していないかどうか確認し、必要に応じて修正したり、削除したりすることが必要です。

  • 差別的な表現が使用されている場合
  • 誹謗・中傷に相当する表現が使用されている場合
  • わいせつな表現が使用されている場合
  • その他、読み手に不快な念を与える表現であると判断される場合

[詳細解説]
◆質問者が特定されやすい質問
 質問者の特定を避けるため、次のような質問には、注意を要します。
 (1)公立図書館における庁内からのレファレンス質問
 (2)大学図書館における学内部署や教員からのレファレンス質問
 (3)各図書館における医療関係のレファレンス質問
 (4)特定地域の学校からの質問のように、狭いコミュニティでのレファレンス質問

◆ プライバシー及び質問者の特定化に対する考え方
 特定個人のプライバシーに関するレファレンス質問は、受け付けないのが一般的です。しかし、質問者の親族に関する質問等、一部例外があります。こうした場合や質問者個人が特定される可能性がある場合でも、レファレンス事例データとしての質が高かったり、他に代えることのできない貴重なものであったりする際には、質問者が特定されないよう質問内容等を工夫し、公開することができます。また、質問者個人が特定される可能性がある場合には、公開に関する意思確認を質問者に対して行い、同意を得ておくというやり方もあります。なお、同意を得て公開した場合には、その旨を備考に記すことが望まれます。
   この問題と関係することとして、公務員の守秘義務について、確認をしておく必要があります。  公務員の守秘義務は、地方公務員法34条、  国家公務員法100条に規定されています。図書館利用者の質問は、職務上知り得た秘密の一部でもあることから職務の一環に明確に位置付けられている場合を除き、みだりに他者に広めるべきものではありません。しかし、レファレンス事例データとして作成し、一般公開することは、質問者が特定されない限りにおいて、しかも、職務の一環として使用するという限定的かつ明確な目的に沿った場合であるので、法的な問題は生じません。ただし、守秘義務との関係については、十分に理解しておくことが必要です。

ページのトップへ
4.3 公開の条件とはどのようなものか
4.3.1 参加館公開の条件を知る

(1)レファレンス事例データ
 参加館が、レファレンス事例データを他の参加館に公開しようとする場合には、下記の条件すべてを満たしている必要があります。1つでも満たしていない場合には、「参加館公開」とすることができません。
① 個人のプライバシーが尊重されていること
② 質問者の特定につながる恐れがないこと
③ 差別表現等の点で問題がないこと

(2)調べ方マニュアルデータ、特別コレクションデータ、参加館プロファイルデータ
 参加館が、調べ方マニュアルデータ、特別コレクションデータ、参加館プロファイルデータを、他の参加館に公開しようとする場合には、下記の条件すべてを満たしていることが求められます。1つでも条件を満たしていない場合には、「参加館公開」とすることができません。
① 個人のプライバシーが尊重されていること
② 差別表現等の点で問題がないこと

□ポイント
参加館プロファイルデータの公開レベルはすべて「一般公開」です。参加館が「自館のみ参照」「参加館公開」とすることはできません。(ガイドライン4.3.2参照)。

[詳細解説]
◆積極的な参加館公開
 作成したデータが次のような場合でも、条件を満たしているならば、「自館のみ参照」とせず、積極的に「参加館公開」にすることが望まれます。

  • 作成されたデータが、表現や書式の点で不十分であり、中間段階のものである場合

  • 中間段階でも、参加館に示して十分に役立つことがあります。
  • レファレンス事例データにおいて、未解決である場合

  • 他の参加館からコメントが得られることがあります。
4.3.2 一般公開の条件を知る

(1)レファレンス事例データ
 参加館がレファレンス事例データを一般公開しようとする場合には、4.3.1に示した参加館公開の条件に加えて、次の①から⑥の条件を満たしていることが求められます。

①中核的な情報が記入されていること
②記載内容に関する典拠となる情報源(出典、照会先、寄与者等)が適切な記載方法で記入されていること
③「事例作成日」が記入されていること
④歴史上の人物や著名人に関する事例の場合に、公開された確かな情報源に基づいており、かつ、個人情報に対する配慮がなされていること
⑤過去の事例の場合、現在でも内容が適切であると判断できること
⑥未解決事例の場合、調査のプロセスが記入されていること

(2)調べ方マニュアルデータ
 参加館が調べ方マニュアルデータを一般公開しようとする場合には、4.3.1に示した参加館公開の条件に加えて、次の①から③の条件を満たしていることが求められます。

①中核的な情報が記入されていること
②「調べ方作成日」が記入されていること
③過去の事例の場合、現在でも内容が適切であると判断できること

(3)特別コレクションデータ
 参加館が特別コレクションデータを一般公開しようとする場合には、4.3.1に示した参加館公開の条件に加えて、中核的な情報が記入されていることが求められます。

(4)参加館プロファイルデータ
 参加館プロファイルデータは、利用者からの質問(相談)に対して、自館では回答が難しい場合、適切な情報源を紹介する際に役立つ情報です。  そのため、すべて「一般公開」としています。参加館が公開レベルを変更することはできません。

[詳細解説]
(1) レファレンス事例データ
◆データの質の確保
 レファレンス事例データを一般公開するための条件は、データの質を保持するためのものです。
 レファレンス事例データを一般公開するための条件として、①はもちろん必要ですが、②は、図書館のレファレンスサービスが、典拠(資料等)に基づくことを原則としていることから重要となります。事実調査に関するレファレンス事例データの場合、典拠が示されていないものは、原則として一般公開すべきではありません。また、このデータを見た人が、同じ情報源にたどり着くことができるように、適切に記入しなければなりません。
 ③は、データの有効期限との関係から重要です。「回答」及び「回答プロセス」は、レファレンス質問を受け付けて回答した時点で有効とされる内容になります。したがって、「事例作成日」が記入されていないと、「回答」及び「回答プロセス」の信頼性を確保できないことにつながります。
 ④は、人物調査に関する条件です。この事例を公開する場合には、公開された確かな情報源に基づいていることが必要です。また、名簿等の情報源に個人の住所や電話番号等の個人情報が表示されている場合でも、レファレンス事例データとしては削除する等、適切な配慮をすることが必要になります。
レファレンス事例データは、古くなったから一般公開すべきではないと、機械的に判断することはできません。「回答」の情報源が古くなっても、調査のプロセスが一般的に有効であることも少なくないため、⑤に基づく判断を行います。また、⑥は、未解決であっても、調査のプロセスが役立つレファレンス事例があることを踏まえています。

◆積極的な一般公開
 下記のようなレファレンス事例データに関しては、積極的に一般公開することが望まれます。

  • 図書館の質問回答サービスの特徴・性質が明確になると判断される場合
  • 参加館独自のレファレンス事例であると判断される場合
  • (例)公立図書館ならば、地域に関係するものや、大学図書館や専門図書館ならば、特定主題に基づく専門的な内容のもの
  • 「質問」、「回答」又は「回答プロセス」が優れており、利用者の調査活動に資すると判断される場合
  • 「質問」、「回答」又は「回答プロセス」が、図書館情報学教育の活動に資すると判断される場合
  • (例)質問回答演習の良い課題になると考えられるもの
  • すでに他の参加館から一般公開されているデータと同一又は類似の内容を取り扱っている場合
  • (例)同一の質問に対して異なる情報源を用いて回答したものなど、データの基盤を強固にし、参考になるもの

(2)調べ方マニュアルデータ
◆積極的な一般公開
 下記のような調べ方マニュアルデータに関しては、積極的に一般公開することが望まれます。

  • 図書館の利用案内(指導)や情報リテラシー教育の特徴を表すものと判断される場合
  • 参加館独自の調べ方であると判断される場合
  • (例)公立図書館ならば、地域に関係する内容の調べ方であったり、大学図書館や専門図書館ならば、かなり特化したテーマに関する調べ方であったりする場合
  • 調べ方が優れており、一般利用者の役に立つと考えられる場合
  • 調べ方が優れており、図書館情報学教育の教材になると判断される場合
  • すでに他の参加館から一般公開されているデータと同一又は類似の内容を取り扱っている場合

(3) 特別コレクションデータ
◆積極的な一般公開
 次のような特別コレクションデータに関しては、積極的に一般公開することが望まれます。

  • 特別コレクションの存在を示すことによって、利用者の役に立つと考えられる場合
  • 特別コレクションの存在を示すことによって、利用の促進につながると考えられる場合
ページのトップへ