種(種子)は、有性生殖により、種族を分散させるための器官、又は次の世代の新しい植物体を生んで種族を維持するための器官で、幼植物である胚と発芽に必要な養分(胚乳など)とそれをを守る種皮とからなっています。周りの温度や水分、日照時間などの条件が適当になると発芽します。
『芽がでた、育った』に「たねのいちばん外がわの部分は、種皮とよばれるものでおおわれています。-中略-いずれも、たねの中にある、発芽にひつような養分(胚乳など)をまもるはたらきをしています。」とありました。また種皮の役目について水分の蒸発を防ぐ、温度から守る、害虫やばいきんが入るのを防いだりすること、と説明しています。
また『色・形・大きさがよくわかるタネの大図鑑』には「種子のつくりを「胚乳」があるものとないものとで、2種類にわけることができます。」とありました。つまり、種皮の中には根になる「幼根」、本葉や茎になる「幼芽」、最初の葉になる「子葉」などがありますが、イネやトウモロコシのように根や芽を出すための養分「胚乳」がないマメ類などは「子葉」に養分をためているそうです。
たねの散り方について『芽がでた、育った』では「たねが一か所にまとまって落ちていると、芽をだしたとき、おたがいにじゃましあってうまく育ちません。」という記述がありました。『色・形・大きさがよくわかるタネの大図鑑』でも同様の記述があり、より広い範囲で仲間をふやすために、みずから種子を飛ばす以外にも、風・動物・水などの力を借りて運ばれるそうです。
次に、球根は多年生植物が生育に適しない時期を休眠するため、植物の地下組織の一部が肥大し、次期の生育に必要な栄養分を貯蔵する器官となったものの総称です。一口に球根といっても茎や根など、どこの部分が肥大したのかによって5つのグループに分類できるようです。
『球根で楽しむ小さなガーデニング』には、肥大している理由について「開花や結実に必要になる養分や水分がため込まれているためです。」とあります。
また、『球根で楽しむ小さなガーデニング』では球根の原産国についても触れており「おもに地中海沿岸や南アフリカ地域、中南米地域に多くの種類が分布しています。-中略-この厳しい高温乾燥期を生き抜くために、球根が発達したと考えられています。」とありました。
以上のことから、種子は根や芽を出すためにより良い条件の地を求めて発芽するもの、球根は厳しい環境のなかで植物が生育し、実を結ぶために根が肥大したものと言えます。
また球根と種子を一度に比較できる例として『カラー自然シリーズ31 チューリップ』があります。この資料を見ると球根の成長過程が断面図で紹介されており、球根から育つチューリップは、花が咲いた後に種子も採取できるとわかります。種子から花を咲かせるには5年かかりますが、新しい品種を作るために種から育てているそうです。