レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年05月12日
- 登録日時
- 2018/03/24 16:02
- 更新日時
- 2018/03/24 16:08
- 管理番号
- 千県西-2017-0016
- 質問
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解決
和食が「ユネスコ無形文化遺産」になったが、食文化としては何番目に登録されたか。
- 回答
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【資料1】から【資料5】により、2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」と同時に登録された他の3件の食文化とともに5番目と回答した。【資料2】に「『料理』そのものは無形文化遺産の定義に含まれていない」とあり、いずれも食に関連した文化としての登録である。
なお、「ユネスコ無形文化遺産」とは、【資料3】によると、「ユネスコの『人類の無形文化遺産の代表的なリスト』(略称:『代表リスト』)、並びに『緊急に保護する必要がある無形文化遺産のリスト』(略称:『緊急保護リスト』)に登録されている無形文化遺産のこと」である。
【資料1】『現代用語の基礎知識 2016』(自由国民社 2016)
「和食」の小見出し(p935)に「食関連の無形文化遺産は『フランスの美食術』『地中海料理』『メキシコの伝統料理』『トルコのケシケキ(麦がゆ)』に続いて5件目。」との記述がある。
「無形文化遺産条約」の項目(p226)では、和食について、「日本からは…13年には和食(日本人の伝統的食文化)が追加、計22件が登録されている。」との記述がある。
以下の【資料2】から【資料5】には、「5番目」と明記されてはいないが、ユネスコ無形文化遺産に登録された食文化について記述されており、それぞれの登録年と件数から、「和食;日本人の伝統的な食文化」の登録が5番目とわかる。
【資料2】文化庁伝統文化課文化財国際協力室「『和食;日本人の伝統的な食文化』のユネスコ無形文化遺産代表一覧表への記載について」(『月刊文化財』(特集 無形文化遺産保護条約)
608号 2014.5)p31-33
四「諸外国の食関連文化」(p32)を以下に引用する。
代表一覧表には、諸外国からも次のような食に関連した文化遺産が登録されている。
●フランスの美食術(フランス、二〇一〇年)
●地中海料理(スペイン、ギリシャ、イタリア、モロッコ、二〇一〇年)(二〇一三年にキプロス、クロアチア、ポルトガルが追加された)
●メキシコの伝統料理(メキシコ、二〇一〇年)
●ケシケキの伝統(トルコ、二〇一一年)
●トルココーヒーの文化と伝統(トルコ、二〇一三年)
●古代グルジアの伝統的な発酵ワイン作り(グルジア、二〇一三年)
●キムジャン(キムチ作りの文化)(韓国、二〇一三年)
ユネスコの無形文化遺産保護条約上、「料理」そのものは無形文化遺産の定義に含まれていないため、いずれも食に関連した社会的慣習などの文化的側面が登録されているものである。
【資料3】『世界無形文化遺産データ・ブック 2015年版』(古田陽久著 シンクタンクせとうち総合研究機構 2015)
【資料1】【資料2】に記載されている食関連の無形文化遺産の名称と登録年を確認した。
・「フランスの美食」(p157)2010年登録
・「地中海料理」(p153)2010年、2013年登録。「2010年にギリシャ、イタリア、スペイン、モロッコの4か国で共同登録したが、2013年にキプロス、クロアチア、ポルトガルの3か国が加わり、7か国による共同登録となった。」
・「伝統的なメキシコ料理-真正な先祖伝来の進化するコミュニティ文化、ミチョアカンの規範」(p169)2010年登録
・「ケシケキの儀式的な伝統」(p155)2011年登録
・「和食;日本人の伝統的な食文化-正月を例として-」(p143)2013年登録
・「トルコ・コーヒーの文化と伝統」(p156)2013年登録
・「古代グルジアの伝統的なクヴェヴリ・ワインの製造方法」(p151)2013年登録
・「キムジャン、キムチ作りと分かち合い」(p137)2013年登録
【資料4】「朝日新聞記事データベース 聞蔵Ⅱ」(https://database.asahi.com/index.shtml)
「(ニュースのおさらい ジュニア向け)和食が無形遺産になったの?」(2014年1月11日 夕刊 夕刊be土曜3面)
「食関連の無形文化遺産は、昨年までの「メキシコの伝統料理」など4件と合わせ、計8件になった。」とあり、和食は同時に登録された他の3件とともに食関連では5番目の登録であることがわかる。
【資料5】農林水産省食料産業局食文化・市場開拓課和食室「日本の食文化を未来にどうつなげるか-ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」 」(『農業と経済』(特集 再考 日本の食文化 : 生産・生活・歴史)82巻7号 2016.6)p71-78
p72に「食に関する無形文化遺産としては、2010年に「フランスの美食術」「メキシコの伝統料理」「地中海料理(スペイン、ギリシャ、イタリア等)」が登録されて以来、登録への機運が高まり、現在は「和食」も含めて、7件が登録されています(登録件数はいずれも2016年1月現在)(図1参照)。」との記述がある。
図1のキャプションは、それぞれ「フランスの美食術(2010年)」、「メキシコの伝統料理(2010年)」、「地中海料理(スペイン、ギリシャ、イタリア、モロッコ等)(2010年)」、「ケシケキの伝統(トルコ)(2011年)」、「ジョージアワイン(2013年)」、「韓国のキムジャン(2013年)」で、「トルココーヒーの文化と伝統」(2013年)を「食に関する無形文化遺産」に含めていないが、日本の登録順位に変動はない。
(参考)
以下の資料を確認しましたが、直接回答に繋がる記述はありませんでした。
【資料6】『無形文化遺産研究報告 第7~11号』(国立文化財機構東京文化財研究所 2013~2017年)
【資料7】「和食だけじゃない 食の世界遺産」(『Newsweek 日本版』(特集 日本の和食、世界の和食)阪急コミュニケーションズ 通巻1431号 2015年1月20日号)p54-55
【資料8】『日本の食文化 「和食」の継承と食育』(江原絢子編著 アイ・ケイコーポレーション 2016)序章「和食」;日本人の伝統的な食文化 1節 ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」
(インターネット最終アクセス:2017年10月17日)
- 回答プロセス
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「和食」の世界無形文化遺産への登録は、比較的新しい出来事であったので、『現代用語の基礎知識』を確認した。自館蔵書検索(https://www.library.pref.chiba.lg.jp/licsxp-iopac/)、自館で導入している新聞記事データベース「朝日新聞記事データベース 聞蔵Ⅱ」(https://database.asahi.com/index.shtml)、CiNii Articles「日本の論文をさがす」(http://ci.nii.ac.jp/)で、「和食」、「世界無形文化遺産」等のキーワードで検索した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 年中行事.祭礼 (386 9版)
- 芸術政策.文化財 (709 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『現代用語の基礎知識 2016』(自由国民社 2016)(1102420662)
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【資料2】文化庁伝統文化課文化財国際協力室「『和食;日本人の伝統的な食文化』のユネスコ無形文化遺産代表一覧表への記載について」(『月刊文化財』(特集 無形文化遺産保護条約)
608号 2014.5)p31-33(2500683219) - 【資料3】『世界無形文化遺産データ・ブック 2015年版』(古田陽久著 シンクタンクせとうち総合研究機構 2015)(0106499776)
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【資料4】「朝日新聞記事データベース 聞蔵Ⅱ」https://database.asahi.com/index.shtml
・「(ニュースのおさらい ジュニア向け)和食が無形遺産になったの?」(2014年1月11日 夕刊 夕刊be土曜3面) - 【資料5】農林水産省食料産業局食文化・市場開拓課和食室「日本の食文化を未来にどうつなげるか-ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」 」(『農業と経済』(特集 再考 日本の食文化 : 生産・生活・歴史)82巻7号 2016.6)p71-78(2500733007)
- キーワード
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- 料理(日本)
- 世界無形文化遺産
- ユネスコ
- 食生活ー歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000233119