レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年2月16日
- 登録日時
- 2013/11/06 12:28
- 更新日時
- 2016/08/20 12:14
- 管理番号
- 町田-088
- 質問
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解決
つる植物が支柱に巻き付くしくみが知りたい。
- 回答
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基本的に、つる植物の多くは接触屈性によって巻き付く。つまり、「蔓性の植物は、蔓の先端を不規則に動かしながら伸長し、支柱などに触れると、接触した反対側の細胞が伸長し、その結果蔓が支柱に巻きつく正の接触屈性を示す」(『三省堂新生物小事典』p.317)
登攀の様式は植物によって異なり、その分類方法も資料によって微妙に異なるが、例えば『ブリタニカ国際大百科事典』は、つる植物を寄りつき器官によって次の5つのタイプに分けている。
①「ひっかかり類」・・・鉤状の器官で他の植物などにひっかかり植物体を支持する。アカネ、ヤエムグラ等。
②「巻きひげ類」・・・ブドウ、キュウリ、ヘチマ等。
③「付着盤類」・・・巻きひげの先端の小さな付着盤(吸盤)から出る粘着性の浸出物を使って他物の表面にくっつく。
ツタ、ツリガネカズラ等。
④「気根類」・・・茎から出た不定根の先端が吸盤のような形態になり、体を固定する。ツタウルシ、キヅタ等。
⑤「巻きつる類」・・・茎頂の旋回運動が、適当な支持体に接触する機会を多くし、接触の刺激によって茎はゆるやか
なコイル状となって支持体を巻き締める。アサガオ、ヤマフジ、ヤマノイモ等。
- 回答プロセス
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■つる植物が巻き付くしくみ
・『三省堂新生物小事典』p.381
「巻きひげの多くは接触屈性によって巻きつく」
・『ブリタニカ国際大百科事典』pp.549~551
寄りつき器官によって、つる植物を5つのタイプに分類しているが、どのタイプも接触の刺激によって巻き付き始
めるとのこと。
・『植物のこころ』p.108
「つるは、その茎のどこかが何かに触れたと感じると、その触れている面の伸びを止め、反対側の面の伸びを増
す。そうするとバイメタルの原理と同じで、つるは曲がる。曲がるとつるは別の部分でまた相手に触れる。
そこでまた触れた面の伸びを止めて反対の面を伸ばすわけだ。これを繰り返すことで、触れている面のまわり
を取り巻くような形になり、相手に巻きつくことができるわけである」
■接触屈性
・『三省堂新生物小事典』p.317
「屈触性ともいう。接触刺激によって引きおこされる屈性的な成長運動。花粉管や根毛、着生ランの気根などに
みられる。蔓性の植物は、蔓の先端を不規則に動かしながら伸長し、支柱などに触れると、接触した反対側の
細胞が伸長し、その結果蔓が支柱に巻きつく正の接触屈性を示す。また、巻きひげの場合は複雑で、ブドウの
場合は一方をこするとその面を凹として屈曲するが、エンドウの場合、接触刺激を感じる面は決まっており、
その面を刺激すると屈曲するが、それ以外の面を刺激しても屈曲しない」
・『生物学辞典』p.738
・『植物生理学 下巻』pp.219~224
・Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%A5%E8%A7%A6%E5%B1%88%E6%80%A7
- 事前調査事項
- NDC
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- 植物学 (470)
- 参考資料
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- 『三省堂新生物小事典』三省堂編修所編、三省堂、2012年
- 『生物学辞典』石川純他編、東京化学同人、2010年
- 『ブリタニカ国際大百科事典 12』ふらんく・B・ギブニー編、ティビーエス・ブリタニカ、1995年
- 『植物のこころ』塚谷裕一著、岩波書店、2001年
- 『植物生理学 下巻』坂村徹著、裳華房、1943年
- 『岩波生物学辞典 第5版』巌佐庸他編、岩波書店、2013年
- キーワード
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- つる植物
- つる性植物
- 蔓植物
- 蔓性植物
- 巻きつき
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 植物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000140061