レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年07月14日
- 登録日時
- 2015/08/19 16:53
- 更新日時
- 2015/09/02 10:41
- 管理番号
- 岩手-237
- 質問
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解決
石川啄木の「不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸はれし 十五のこころ」という歌の「お城の草に寝ころびて」の箇所に、異なる表現があるようである。
- 回答
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各種の資料における、当該歌の掲載状況を調査した。
一般に、
「不来方のお城の草に寝ころびて / 空に吸はれし / 十五のこころ」(A)
として知られる。
この歌の初出は、明治43年11月発行『スバル』第2年11号(1910年)。「秋のなかばに歌へる」として110首収録された中の1首。ここでは次のような表現となっている。
「不来方のお城のあとの草に寝て空に吸はれし十五の心」(B)
「寝ころびて」の表現を用いた(A)の形が最初に確認されるのは、初出の翌月(明治43年12月)に刊行された啄木の処女歌集『一握の砂』(東雲堂書店 1910年)。
『石川啄木集 歌集篇』(和泉書院 1986年)p59には、雑誌に発表された初出歌として(B)の形の歌が収録されている。また、1967年に刊行された『一握の砂 / 悲しき玩具』(あかね書房 1967年)にも(B)の形の歌が収録されている。
『心に響く勇気の言葉100』(川村真二著 日本経済新聞出版社 2011年)p17には、次のような形も収録されている。
「不来方のお城のあとの草に臥て 空に吸はれし十五のこころ」
- 回答プロセス
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・『石川啄木事典』『石川啄木歌集全歌鑑賞』を調査、(A)の歌のみ記述。
・当館所蔵の啄木の歌集、特に『一握の砂』を調査。ほとんどが(A)の形の歌だった。
・「お城のあとの草に寝て」という歌も読んだことがあるというスタッフの助言から歌集を再調査。児童書『一握の砂/悲しき玩具』『石川啄木集 歌集篇』に(B)の歌の掲載を確認。
・『石川啄木集 歌集篇』から、雑誌『スバル』に収録された歌であることを知り、当館所蔵雑誌を調査。掲載を確認。
・雑誌掲載から間もなく刊行された『一握の砂』初版本も調査、(A)の「お城の草に寝ころびて」になっていることを確認した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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- 『石川啄木集 歌集篇』 村上 悦也∥〔ほか〕編 和泉書院∥出版 1986年 , ISBN 4870881896 (http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001801422-00)
- 『スバル 第2年10~12号』昴∥出版 1910年 (http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036177150-00)
- 『一握の砂』石川 啄木∥著 東雲堂書店∥出版 1910年 (http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000503022-00)
- 『一握の砂/悲しき玩具』石川 啄木∥[著] あかね書房∥出版 1967年 (http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000830003-00)
- 『心に響く勇気の言葉100』川村 真二∥著 日本経済新聞出版社∥出版 2011年 , ISBN 9784532196141 (http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011307007-00)
- キーワード
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- 石川啄木
- 一握の砂
- スバル
- 初出歌
- お城のあとの草
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000178546