レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/01/24
- 登録日時
- 2015/12/16 11:21
- 更新日時
- 2016/03/18 12:02
- 管理番号
- 埼久-2015-108
- 質問
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解決
どのような時代背景があって、家庭科の教科書における「家族の定義」「家族・家庭の役割」に関する記載内容が変化しているかが書かれた文献を見たい。
- 回答
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社会情勢や家族観の変化による家庭科教科書の変遷がわかる以下の資料を紹介した。
「家庭科教育 66巻14号(1992)」(家庭教育社)(県内類縁機関所蔵)
p7-8 小学校、中学校、高等学校の家庭科、技術・家庭科で、家族に関する領域が取り上げられるようになった(新しい学習指導要領(1989年頃))ことについて述べ、その背景について述べられている。
p33「教科書の家族領域が時代によってどう変化しているのかを分析し、この作業を通して、現代の家族の取り上げ方を考えてみたいと考えている。」とあり、続く「二、教科書の家族小史」「三、女子差別撤廃条約と現行家族療育」「四、高校家庭科と家族の教育」に、「家族の内容が大きく変化した」1949年、1960年、1970年の各指導要領と女子差別撤廃条約批准後の1989年指導要領についての特徴や教科書についての記述あり。
『教科書が書いた家族と女性の戦後50年』(酒井はるみ著 労働教育センター 1995)
時代背景と各時代の家族観についてまとめられている。1947年学習指導要領から1989年学習指導要領までの期間について触れられている。
『近代日本の教科書のあゆみ 明治期から現代まで』(滋賀大学附属図書館編 サンライズ出版 2006)
p179-186「家庭科教育」小学校、中学校それぞれの、戦後から1989年の学習指導要領による教科書内容の変化について記述あり。
『家庭科教育50年』(日本家庭科教育学会編 建帛社 2000)
p59-94「家庭科教科書の変遷」全体、小学校、中学校、高等学校それぞれの戦後の家庭科教科書の変遷を追うことができる。
p59 1996年度教科書検定において家庭科教科書4点が不合格となったことについての記述に「主として個人の重視、多様な家族観についての記述が問題として指摘され、家庭科において個人・家族をどう取り扱うかについての議論がなされた。」とあり。
『家庭科教育史』(常見育男著 光生館 1972)
p267-270「家庭科教科書を貫く超国家的精神」に「家庭観・家政観からみた特色」(戦時中の教科書の記述)
p315-320「戦後の家庭科教科書」に戦後すぐの教科書における家庭観
p330-331に大正9年から昭和25年までの6つの教科書における家族関係内容について比較した表あり。
- 回答プロセス
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楽木章子著「高校家庭科教科書に表れた家族観の変遷:戦後から現在まで」(「岡山県立大学保健福祉学部紀要 15(1) 」p33-43 2008)
《CiNii Articles》(https://www.google.co.jp/webhp?tab=ww&ei=lNnCVL_CE-W-mwXk6ICACA&ved=0CAoQ1S4 国立情報学研究所 2015/01/24最終確認)
家族観の変遷についての研究結果あり。
埼玉県立総合教育センター所蔵資料の調査
湯沢雍彦著「変動する家族の今日的特質」(「家庭科教育 57巻9号」p5-14 1983)
「高校家庭科における家族・保育・福祉・経済-「家庭総合」・「家庭基礎」指導の基礎知識-」(石川実編 家政教育社 2002)
家族の多様化や家族意識の変化について記述があるが、教科書の記述内容についてはなし。
1996年度の教科書検定不合格について記述のあった資料
「家庭科教育」(家庭教育社)(県内類縁機関蔵)
72巻11号(1998)p6-12 鶴田敦子著「家庭科の教科書問題と家庭科教育 1 「検定不合格」が惹起した課題」
1996年度の教科書検定において、4点の家庭科教科書が不合格になり、再申請の結果1997年度の教科書検定で合格となったことを取り上げ、不合格教科書の内容等に関して考察している。家族の定義については、p9-10「家族の記述内容に関して」に記述あり。
新聞で不合格理由が「多様な家族を肯定した記述」にあることが報じられたとあり。
73巻3号(1999)p31-35 鶴田敦子著「家庭科の教科書問題と家庭科教育 3 不合格指摘理由及び指摘箇所から見た文部省の家庭科観・教育観(2)家族、保育領域を中心に その2」
筆者が関わった不合格教科書における「家族」について記述あり。
73巻4号(1999)p22-30 鶴田敦子著「家庭科の教科書問題と家庭科教育 3 不合格指摘理由及び指摘箇所から見た文部省の家庭科観・教育観(2)家族、保育領域を中心に その3」
p23-26「家族関係に関する内容について」不合格本と合格本の記述を比較した表あり。
高月佳子著「家庭科教科書検定と現代家族像」(『歴史地理教育 570』p62-67 歴史教育者協議会 1997)
1996年度教科書検定で家庭科教科書に多く不合格が出た問題について「なぜ家庭科に不合格本が多く出たのか、どのような問題点を含んでいるのか、教育現場では家族像をめぐってどのように実践しているか等」の報告。家族の定義についても言及あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 家族問題.男性.女性問題.老人問題 (367 9版)
- 教育課程.学習指導.教科別教育 (375 9版)
- 参考資料
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- 「家庭科教育 66巻14号(1992)」(家庭教育社)
- 『教科書が書いた家族と女性の戦後50年』(酒井はるみ著 労働教育センター 1995) , ISBN 4-8450-0235-3
- 『近代日本の教科書のあゆみ 明治期から現代まで』(滋賀大学附属図書館編 サンライズ出版 2006) , ISBN 4-88325-308-2
- 『家庭科教育50年』(日本家庭科教育学会編 建帛社 2000) , ISBN 4-7679-7044-X
- 『家庭科教育史』(常見育男著 光生館 1972)
- キーワード
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- 家庭科
- 照会先
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- 埼玉県立総合教育センター教育資料室
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000185678