レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年06月27日
- 登録日時
- 2017/11/30 00:30
- 更新日時
- 2017/12/29 00:30
- 管理番号
- 3A17003642
- 質問
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解決
西成郡福村(現大阪市西淀川区福町のあたり)の淀川河口における漁業水産業の成り立ちと発展について、またそこに関わった人々の暮らしについて調べたいと思っています。関係する資料があれば教えてください。
- 回答
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西淀川区における漁業水産業の変遷について、以下の資料に関連記述がありましたのでご紹介します。
『西淀川区史』(大阪都市協会/編集 西淀川区制七十周年記念事業実行委員会, 1996)
「第2章 古代から近代までのあゆみ:二 近世の西淀川」のうちp.43に「福」の項があり、正保元(1644)年に新田として開発されたが、水深が深く埋め立てが容易ではなかったため、漁業に着目し、漁村として発展してきたという経緯や、大野村、野田村、難波村、九条村とともに「漁師方五ヵ村組合」と称していたことなどが記載されています。
また、「第3章 近代の西淀川区」のうちp.66-68に「農業と漁業」の項があり、p.67には「大和田・大野・福・佃4村の漁況」(大阪府編『大阪府下漁撈一斑』(明治22年)より作成)の表があり、村ごとの全戸数や専漁/兼漁者戸数、漁船数、漁具が挙げられています。
「第6章 産業と農業:一 漁業」のうち、p.334に「明治初期の漁場環境急変」の項があり、明治維新後から外国船舶が川口河港に頻繁に出入し、船の発動機の音響が魚類を遠ざけたなどの漁業環境の様変わりに、「福」を含む西淀川区の各漁民は困惑した、との記述があります。
『わたしたちの福町 -福小-』(大阪市立福小学校創立100周年記念事業実行委員会/編集 大阪市立福小学校創立100周年記念事業実行委員会, 1999.5)
「福村の移り変わり」のうち、p.63「2.江戸から明治にかけて」の章に「(1)福村誕生(新田開発)」、「(2)漁村として栄えた福町」の項があり、新田から漁村へ発展していった経緯や、特に貝類がよくとれたこと、明治時代の終わり頃には、福町の家の半数が「漁家」、残りのほとんどが魚や貝を売り歩く「行商」で、「農家」は少なかったなどの記述があります。
また、p.66「3大正から昭和にかけて」の章の「(3)農村から工業地帯へ」の項に「福町の漁業に携わる人たちも、時代が新しくなるにつれ、川砂を取る仕事や、工場の資材を運ぶ仕事などにね(原文ママ)進出し」との記述があります。
『漁村の研究 : 近世大阪の漁村』(野村 豊/編 三省堂, 1958.3)
「第一部 研究篇:第二章 漁師方五ヵ村組合」のうち、p.9に「ホ 福村」があり、新田開発された正保元(1644)年から文化2(1805)年までの漁村の様子について記述があります。
「第五章 餘論」のうちp.81-83に「ハ 福地区」の項があり、明治十五年頃の当該地区の専漁者/兼漁者戸数や漁船数のほか、明治から昭和までの福地区での漁業の変遷について記述があります。
このほか、福など地区ごとに数値がわかる統計表として、p.80「第一表 漁業者数」、p.81「第二表 漁船保有数(単位隻)」、p.84「第三表 漁業種類の変遷」、p.87「第四表 漁業種類とその延従事者数」、p.95「第五表 漁業協同組合員の兼業状況」が掲載されています。
『大阪府漁業史』(大阪府漁業史編さん協議会/編集 大阪府漁業史編さん協議会 1997)「第二章 近世漁村の成り立ち:第一節 摂津国西成郡諸村の場合」のうちp.138に「7 福村」の項があり、正保年間に新田村として開発されたが、水位が深く、さらに川上の村から悪水が流れ込む地帯だったため漁業で稼ぎ、その余力でさらに新田開発をすすめた、という記述があります。また、参考資料として『西成郡史』が挙げられています。
『西成郡史』(西成郡役所/編 名著出版 1972)
「第二編 町村下巻:第七章 安治川北」のうちp.402-406に「(三)福村」の項目があり、漁業を主要な生業として、市場に売ったり、魚貝類の行商を専業としたりする人が多く住んでいたという記載があります。
「第三編 各種の事業 上巻」のうちp.482-504に「第二章 漁業」では、p.485-486に前述の「五箇村組合」や、p.493に昭和30年第3次市域拡張に伴い、西成郡の漁戸数は減少し、千船村、福村のみ継続して漁業を営むものがあるとの記述があります。
『大阪府誌 第3編』(大阪府/編纂 思文閣 1970)
「漁業誌」の項のうち、p.873「鹹水漁業採藻場」の表に西成郡伝法村福があり、漁場の距離は神崎川より以南大和川に至る四里、陸より出漁する沖合いの距離は西南五里、昭和34年時点の漁業採藻者の戸数は60、人口は120との記載があります。
「第三章 都市別水産事項」p.1096-1115「第一節 大阪市西成郡、東成郡」に、各地域別ではありませんが、江戸から明治にかけての鹹水淡水漁業者戸数人口と売買営業者などの経年推移を記載した表があります。
- 回答プロセス
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1. 『西淀川区史』(資料1)を確認
2. 当館所蔵資料をフリーワード“大阪”ד漁業”で検索し、資料2、資料3が見つかる。
3. 『西成郡史』(資料4)を確認
4. 西淀川区福町に関する資料を確認し、資料5が見つかる。
5. 資料1の参考資料として資料6が見つかる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 9版)
- 水産業および漁業史.事情 (662 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0000531056> 西淀川区史 大阪都市協会/編集 西淀川区制七十周年記念事業実行委員会 1996.3 (資料1)
- 当館書誌ID <0000172298> 大阪府誌 第3編 風土.農業.林業.畜産業.鉱業.漁業 大阪府/編纂 思文閣 1970 (資料2)
- 当館書誌ID <0000617042> 大阪府漁業史 大阪府漁業史編さん協議会/編集 大阪府漁業史編さん協議会 1997 (資料3)
- 当館書誌ID <0000246505> 西成郡史 西成郡役所/編 名著出版 1972 (資料4)
- 当館書誌ID <0000739026> わたしたちの福町 -福小- 大阪市立福小学校創立100周年記念事業実行委員会/編集 大阪市立福小学校創立100周年記念事業実行委員会 1999.5 (資料5)
- 当館書誌ID <0080254533> 漁村の研究 -近世大阪の漁村- 野村 豊/編 三省堂 1958.3 (資料6)
- キーワード
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- 大阪市西淀川区
- 西成郡福村
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000225632