レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/01/22
- 登録日時
- 2014/03/20 00:30
- 更新日時
- 2014/03/25 16:04
- 管理番号
- 千県中参考-2014-10
- 質問
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解決
『日蓮上人伝記集』(本山本満寺 1974) p.169「日蓮大聖人註画讃」巻五第二十六の5行目に「慈仁不殺経幷大荘厳論文」という経典が登場するのですが、それぞれいつ誰によって作られた経典なのか、またどういう内容であるのか詳しく知りたいです。
- 回答
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『日蓮上人伝記集』(本山本満寺 1974)p.169(「日蓮大聖人註画讃」第五巻第二十六の5行目)を確認したところ、「慈仁不殺経 幷ニ 大荘厳論ノ 文ニ」と助詞が入っているため、資料名は『慈仁不殺経』『大荘厳論』の2タイトルと思われます。
『慈仁不殺経』(ジニンフサツキョウ)について
【資料1】『仏書解説大辞典 第4巻 改訂』p.316の内容解説の項目に「出曜経第7巻の抄出」との解説がありました。
『慈仁不殺経』というタイトルでは翻刻された資料などがなかったため、『出曜経 第7巻』について調査したところ、
【資料2】『大正新脩大蔵経 第4巻 本縁部 下』p.644-649に翻刻された本文(漢文)が、
【資料3】『大蔵経全解説大事典』p.62-63に『出曜経』の解題が収録されていました。
解題によると、『出曜経』は、「紀元前後頃に法救(ほっく)(ダルマトラータ)によって編纂されたとされる。」と記述されていました。
『大荘厳論』(ダイソウゴンロン)について
【資料4】『三宝絵本生譚の原型と展開』p.36-37「第二章 六 『大荘厳論経』のシビ王本生譚」に『大荘厳論経』についての解説があり、「『大荘厳論経』は馬鳴(=Asvaghosa アシュヴァゴーシャ、二世紀)の作、後秦・鳩摩羅什の訳(建元一九~弘始三年、三八四~四〇一)と伝えられる。」との記述がありました。
また、引用部分の出典(p.47第二章注22)を確認したところ、
【資料2】『大正新脩大蔵経 第4巻 本縁部 下』p.257-348に翻刻された本文(漢文)が、
【資料3】『大蔵経全解説大事典』p.57-58に解題が収録されていました。
- 回答プロセス
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まず、原本を確認し、資料名は『慈仁不殺経』『大荘厳論』の2タイトルと確認。
『慈仁不殺経』について
蔵書検索等では全く資料が見つからなかったため、経についての辞典類などを確認していったところ、
【資料1】『仏書解説大辞典 第4巻 改訂』p.316の内容解説の項目に「出曜経第7巻の抄出」との解説があり、『出曜経』についてリサーチナビ(http://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/)を使い収録された資料を調査したところ、
【資料2】『大正新脩大蔵経 第4巻 本縁部 下』p.644-649に翻刻された本文(漢文)
が見つかり、大蔵経に本文が収録されていることが確認できたため
【資料3】『大蔵経全解説大事典』を確認したところp.62-63に『出曜経』の解題が収録されていた。
『大荘厳論』について
当館蔵書検索で書名「大荘厳論」を検索したところ、
【資料4】『三宝絵本生譚の原型と展開』がヒットし、
内容を確認したところ、p.36-37「第二章 六 『大荘厳論経』のシビ王本生譚」に『大荘厳論経』についての解説があり、引用部分の出典(p.47第二章注22)から、「大蔵経」に収録されていることが分かった。『慈仁不殺経』と同様の手順で調べ、
【資料2】『大正新脩大蔵経 第4巻 本縁部 下』p.257-348に翻刻された本文(漢文)が、
【資料3】『大蔵経全解説大事典』p.57-58に解題が収録されていた。
- 事前調査事項
- NDC
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- 経典 (183 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『仏書解説大辞典 第4巻 サ-シ 改訂』(小野玄妙編纂 大東出版社 1984)| 9102879002
- 【資料2】『大正新脩大蔵経 第4巻 本縁部 下』(大正一切経刊行会 1924)| 9102419924
- 【資料3】『大蔵経全解説大事典』(鎌田茂雄[ほか]編 雄山閣出版 1998) | 0105430689
- 【資料4】『三宝絵本生譚の原型と展開』(中村史著 汲古書院 2008)| 0106055297
- キーワード
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- 大荘厳論経(ダイショウゴンロンキョウ)
- 慈仁不殺経(ジニンフサツキョウ)
- 出曜経(シュツヨウキョウ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 一般
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000150792