レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/08/22
- 登録日時
- 2011/08/23 02:00
- 更新日時
- 2022/12/22 16:50
- 提供館
- 京都市図書館 (2210023)
- 管理番号
- 右中-郷土-42
- 質問
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解決
京都の三長者について知りたい。
- 回答
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江戸時代初期,角倉・茶屋・後藤を合わせて京の三長者といいました。
三家とも,織豊~徳川の時代にかけて,政権との結びつきが強く,政商としての性格を強く持っていました。朱印船貿易では,角倉・茶屋両氏は船を出し,後藤庄三郎は朱印船の帰国後,家康に土産を献上する際に指図したといわれています。また,三家ともに法華宗との関わりを持っており,茶屋・後藤両家は大檀那で,天文法華の乱の際は,町衆方の大将分として活躍しました。角倉家は浄土宗ですが,法華宗の僧である日禛(にっしん)に私有地の小倉山を提供しています。
〈角倉家〉
医家。土倉。代官職を世襲。
本姓は吉田。
朱印船貿易では「角倉船」を出しました。通算航海数17回は,朱印船貿易家の中では最多です。
了以・与一(素庵)親子は大堰川や高瀬川の開削など,河川土木事業で業績をあげました。
〈茶屋家〉
呉服商。将軍家呉服御用達。糸割符商人。京都町人頭。
本姓は中島。代々「四郎次郎」を名乗る。
朱印船貿易では「茶屋船」を出しました。
初代四郎次郎清延は本能寺の変の際,家康の伊賀越えを先導し,命の恩人となりました。武人でもあり,家康に付き添って戦に出ること52回という猛者でした。
〈後藤家〉
金工。御金改役。分銅の製作,分銅改め。金座。小判の検定極印。
代々四郎兵衛を通称とした「彫金(または大判座)後藤」と代々庄三郎を名乗る「金座(または小判座)後藤」とがあります。四郎兵衛家は庄三郎家の師家筋に当たります。
彫金後藤は祐乗を祖とする,室町時代から続く彫金師の家系です。五代徳乗のとき,秀吉から関東下向の命が下った際,弟子の橋本(一説には山崎とも)庄三郎に後藤姓と光の一字を与えて名代として遣わせました。その後,庄三郎は家康に可愛がられ,外国人から「家康の財務長官」と呼ばれるほどになりました。
- 回答プロセス
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●京都のことなので,まずは【資料1】を見る。
●当館所蔵の名数関係の資料を当たる。【資料2】
●【資料1】【資料2】より,近世に活躍した人物であることが分かったので【資料3】を見る。
●“角倉了以”,“後藤庄三郎”,“茶屋四郎次郎”,“豪商”,“町衆”をキーワードに調査する。【資料4】~【資料15】
●【資料10】より,“法華宗”に関係があることが分かったので,これをキーワードに調査する。【資料16】
●【資料16】の参考文献より【資料17】
●京都の歴史から調査する。【資料18】
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210 8版)
- 近畿地方 (216 8版)
- 日本 (291 8版)
- 参考資料
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- 【資料1】『京都大事典』 (佐和隆研編 淡交社 1984) p445 “三長者”,p391~392 “後藤家”“後藤庄三郎”“後藤徳乗”,p537~538 “角倉家”“角倉素庵”“角倉了以”,p618~619 “茶屋家”“茶屋四郎次郎”
- 【資料2】『都の数えうた』 (京都新聞社編集・発行 1992) p66~67 “三長者”
- 【資料3】『日本近世人名辞典』(竹内誠編 吉川弘文館 2005) p373~375 “後藤庄三郎”“後藤四郎兵衛”“後藤徳乗”,p512~513 “角倉素庵”“角倉了以”,p614~615 “茶屋四郎次郎”
- 【資料4】『四条 vol.5』 (コーディネイトルーム・ノウハウ編 四条繁栄会商店街振興組合 1992) p21~24 “京都商人列伝―後藤庄三郎”
- 【資料5】『四条 vol.6』 (コーディネイトルーム・ノウハウ編 四条繁栄会商店街振興組合 1993) p21~24 “京都商人列伝―茶屋四郎次郎”
- 【資料6】『四条 vol.7』 (コーディネイトルーム・ノウハウ編 四条繁栄会商店街振興組合 1993) p21~24 “京都商人列伝―角倉了以”
- 【資料7】『持丸長者 幕末・維新篇』 (広瀬隆著 ダイヤモンド社 2007) p43~48 “金座の後藤四郎兵衛と後藤庄三郎”,p56~57 “系図1 本阿弥家を中心とする金座銀座・芸術家の閨閥”,p58~60 “京の三長者・角倉了以”,p60~62 “京の三長者・茶屋四郎次郎”
- 【資料8】『京都高瀬川 角倉了以・素庵の遺産』 (石田孝喜著 思文閣出版 2005)
- 【資料9】『刀装金工後藤家十七代』 (島田貞良著 雄山閣出版 1973)
- 【資料10】『町衆』 (林屋辰三郎著 中央公論社 1964) p172~177 “旦那の群像”
- 【資料11】『京都新聞 2002年5月 6日朝刊』 17面 “京近江の豪商列伝1 角倉了以・素庵 上”
- 【資料12】『京都新聞 2002年5月13日朝刊』 13面 “京近江の豪商列伝2 角倉了以・素庵 中”
- 【資料13】『京都新聞 2002年5月20日朝刊』 13面 “京近江の豪商列伝3 角倉了以・素庵 下”
- 【資料14】『京都新聞 2002年5月27日朝刊』 11面 “京近江の豪商列伝4 後藤徳乗・庄三郎”
- 【資料15】『京都新聞 2002年6月 3日朝刊』 13面 “京近江の豪商列伝5 茶屋四郎次郎”
- 【資料16】『法華文化の展開』 (藤井学著 法臧館 2002) p193~223 “日奥”,p335~366 “近世初頭における京都町衆の法華信仰”
- 【資料17】『中世文化の基調』 (林屋辰三郎著 東京大学出版会 1958) p258~285 “上層町衆の系譜―京都に於ける三長者を中心に―”
- 【資料18】『京都の歴史 4 桃山の開花』 (京都市 京都市史編さん所 1979) p5,p152~156,p396~456,p532~561
- キーワード
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- 長者
- 角倉家
- 茶屋家
- 後藤家
- 角倉了以
- 角倉素庵
- 茶屋四郎次郎
- 後藤庄三郎
- 後藤徳乗
- 特権商人
- 御用商人
- 政商
- 法華宗
- 町衆
- 豪商
- 朱印船貿易
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000090297