レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012/01/06
- 登録日時
- 2012/01/21 02:00
- 更新日時
- 2016/01/10 14:30
- 管理番号
- 6000006403
- 質問
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解決
正岡子規の句「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」の柿は御所柿か。
- 回答
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「くだもの」という随筆のなかに「御所柿を食いし事」という文章がある。その中に東大寺近くの宿屋で御所柿を食し、そのとき鐘の音がしたということが書かれている。この「東大寺」を「法隆寺」として句を詠んだという説もある。
また『子規と四季のくだもの』のように「秋冷えの斑鳩の里に、鐘が鳴る。明治二十八年十月二十四日夕方、法隆寺門前の茶店で憩う正岡子規がとっさに詠んだ」とする解釈もある。
それらを紹介して、判断していただくことにした。
- 回答プロセス
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ちくま日本文学040『正岡子規』(筑摩書房)「くだもの」99ページ
「御所柿を食いし事」の項に東大寺近傍の宿屋で御所柿を所望して出てきた柿をたべていると東大寺の鐘が鳴ったというエピソードを記している。時期は明治28年10月末から11月のはじめの出来事となっている。明治34年(1901年)の文章。
果樹全書『カキ・キウイ』(農山漁村文化協会)「カキ」33ページ
「主要品種と栽培特性」の第1表に御所はじめ甘がきの熟期が挙げられている。それによると御所の熟期は11月中旬である。同表で原産地が奈良となっている品種はほかに吉本御所(10月下旬~11月上旬)藤原御所(11月下旬)三ヶ谷御所(8月下旬~9月上旬)がある。また富有(11月上中旬)鳥取県原産の花御所(11月中下旬)。
西尾小五郎『御所柿』(西尾一郎)「御所柿の現状と輸出)30ページ
昭和3年刊の同書によると奈良県下における御所柿栽培の状況は本数約1万、分布は南葛城郡では御所、掖上、秋津、葛城、吐田卿、大正、北葛城郡では磐城、當麻、二上、添上郡では東市、奈良市は一円となっている。
西尾小五郎『御所柿』(西尾一郎)「縣下の農家に勸む」34ページ
「古来由緒ある名産として誇れる御所柿は、維新以降其の産出頓に減退して、當地より移植栽培せし岐阜縣の如き却て盛んとなり、今日其産額の点に於て、彼の富有柿の我が御所柿を凌駕するものあるは、轉た寒心に堪へざる次第なり」と嘆いている。
篠田一士『世界文学「食」紀行』 「御所柿」284ページ
子規の「くだもの」を紹介している。
戸石重利『子規と四季のくだもの』 「柿kaki」23ページ
柿については「柿くへば」「渋柿」「樽柿」「熟柿」「釣鐘柿・蜂谷柿・祇園坊」「枝柿」「柿、その他」「干柿」各節を設け、関連歌をひきつつ論じている。
子規研究の章には「御所柿」という題の短文もある。
坪内稔典『柿日和』 「御所柿くへば鹿が鳴く」30ページ
別冊歴史読本『御所歴史読本』 吉田圭一郎「幻の柿 御所柿」42-43ページ 正岡子規の名句も御所柿から
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 果樹園芸 (625 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 御所柿(ゴショガキ)
- 奈良県
- 正岡子規(マサオカシキ)
- 法隆寺
- 東大寺
- 俳句
- くだもの
- 果樹
- 日本文学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000100409