レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20150314
- 登録日時
- 2018/02/28 17:39
- 更新日時
- 2018/03/27 14:47
- 管理番号
- 新県図-01363
- 質問
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解決
新潟県出身の小説家で最も古い人は誰で、どんな作品を書いていたのかについて
- 回答
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「小説家」とは、
『日本国語大辞典』(小学館)の7巻p178では、「①小説をつくる人。特に、中国白話小説の作者や、わが国のそれにならったり翻案したりした作品の作者、また江戸期の戯作などの作者。・・・略・・・②小説を創作することを業とする人。文士。作家。・・・以下略・・・」としています。
またウイキペディアでは「小説家(しょうせつか)とは、継続的に小説作品の著述・発表を行っている者。「小説家」と「小説の著者」とを明確に区別する基準は無い。一般的に小説家とは、職業として執筆した作品によって収入を得ている者をはじめ、兼業で、他の職業と両立して執筆している場合も、「小説家」と呼ぶ場合が多い。」としています。
以上から「専業または兼業で小説を創作することを業とする人として調査しました。
「最も古い」を今回は明治以降として調査しました。
明治大正期に活躍した新潟県出身の小説家を(1)(2)の資料で探しました。「小川未明」「相馬泰三」「平出修」「松岡譲」「鷲尾雨工」「相馬御風」の名前がでてきましたが「最も古い」を発表の最も古い作品と考え調査しました。
(1)(2)で紹介されていた各作家の初めて小説を発表した時期については、以下(3)~(8)の資料に記述がありました。
これらを比較すると、最も古い作品は小川未明が明治37年5月作り9月『新小説』に発表した「漂浪児」(ヒョウロウジ)でした。この作品は当館所蔵の『緑髪』(小川未明/著 隆文館 1907)のp98~141にあります。
しかしここで調べた小説家はいずれも著名な小説家です。本当にこれが最も古い小説かという疑問が残ります。そこで新聞の連載小説について、(9)の資料を調べると、「新潟新聞」の連載小説に関する記述があり、新潟県出身の「金子静枝」(本名:金子錦二)が『新潟新聞』に明治13年頃に小説を連載していたことがわかりました。(10)の資料によると投書家から新聞記者へ転身し、後に小説を連載しました。(11)は同小説(第1回)の記事情報です。
(1)『郷土ゆかりの人物総覧』(日外アソシエ-ツ株式会社 日外アソシエ-ツ 2011)
p320~336「新潟県」の項内で「小説家」と記述のあった人物のうち、生年が古い(19世紀以前)人物は以下の5人です。
p323「小川未明 1882~1961」
p328「相馬泰三 1885~1952」
p332「平出修 1878~1914」
p334「松岡譲 1891~1969」
p336「鷲尾雨工 1892~1951」
(2)『新潟県文学全集』第1期・小説編 第1巻明治編(郷土出版社 1995)
作品が掲載されている作家の内、新潟県出身者は「小川未明」、「相馬御風」、「平出修」の3人です。
(3)『小川未明』新潮日本文学アルバム 60(新潮社 1996)
p105(「略年譜」内)明治37年に「九月、「漂浪児」を「新小説」に発表。このとき、(坪内)逍遥から「未明」の雅号を与えられる。」と記述がありました。また単行本については、明治40年に「六月、第一短編集『愁人』(隆文館)刊行。」と記述がありました。
(4)『越佐文学散歩』上巻 下越編佐渡編(伊狩章ら/監修 野島出版 1974)
p210~223「3 相馬泰三」内p223大正6年に「武者小路実篤・志賀直哉・長与善郎・芥川龍之介らに続く新進作家叢書の一冊として『夢と六月』を新潮社から刊行。」と記述がありました。
(5)『平出修伝』(平出彬 春秋社 1988)
p562(「平出修 略年譜」内)明治44年に「七月、小説「未定稿」を発表。」と記述がありました。また単行本については、大正2年に「三月、小説集『畜生道』(籾山書店)刊行。」と記述がありました。
(6)『評伝松岡譲』(関口安義 小沢書店 1991)
p361(「松岡譲著作目録」内)大正5年に「河豚和尚」を「第四次新思潮」で発表、また単行本の出版についてはp362(「松岡譲著作目録」内)大正11年に『九官鳥』(春陽堂)を出版した旨についての記述がありました。
(7)『鷲尾雨工年譜』(塩浦林也/著 塩浦林也 1976)
年譜内大正14年9月22日の項に「この前後、短篇探偵小説「GS一一六」を「新少年」に発表。」と記述がありました。また単行本については、昭和10年7月15日に「「吉野朝太平記 楠正行と正儀」を出版。」と記述がありました。なお、同作品で雨工は第二回直木三十五賞を受賞しています。
(8)『相馬御風』新潟県人物小伝(金子善八郎 新潟日報事業社 2010)
p117(「相馬御風 略年譜」内)大正2年に「小説「峠」出版。」と記述がありました。
(9)『新潟県史』通史編7(新潟県/編 新潟県 1988)
p636~637「「新潟新聞」の連載小説」内p636に「(明治)十三年六月には「佐渡航海乙女替玉」(可猫子=金子錦二)が連載されている。」と記述がありました。
(10)『『日出新聞』記者金子静枝と明治の京都』(金子静枝/著 芸艸堂 2013)
p17に「明治十三年に『新潟新聞』に連載した小説『佐渡航海乙女替玉』では花街から物語が始まっている。」と記述がありました。
(11)「佐渡航海乙女替玉 第一回」(可猫仙史/著 『新潟新聞』明治13年6月10日 1~2面)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 小説.物語 (913 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 新潟県
- 小説
- 小説家
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000231583