レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年05月09日
- 登録日時
- 2012/07/12 16:13
- 更新日時
- 2012/10/02 14:26
- 管理番号
- 埼熊-2012-077
- 質問
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解決
(1)秋田の山田城の山田氏について知りたい。
(2)岩手県下閉伊郡山田町(しもへいぐんやまだまち)の山田氏について知りたい。
秋田の山田氏と岩手の山田氏は、関係があったのではないか。
- 回答
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秋田の山田氏と岩手の山田氏それぞれについて記述のある資料は見つかった。ただし、秋田と岩手の山田氏の関係を示す資料は見つからなかった。
記述のあった資料として次のものを紹介した。
(1)秋田の山田城の山田氏について
『角川日本地名大辞典 5 秋田県』(角川書店 1980)
p666〈やまだ 山田(昭和町)〉の項に〈〔中世〕山田村〉あり。
p667〈やまだ 山田(湯沢市)〉の項に〈〔中世〕山田〉あり。
「戦国期に見える郷村名。出羽国雄勝郡のうち。(中略)山田城は土沢を見下ろす山頂にあり、当時の城主は山田孫兵衛尉清道(民部少輔頼道)。横手城主小野寺氏一族で、山田氏を称したのは15世紀末からという(小野寺系図・永慶軍記)」など、山田城に関する記述あり。
p777-784「地誌編」〈湯沢市〉の項にも記載あり。〈小野寺氏支城〉として「山田」の記載あり。また、天正15年「小野寺氏と秋田氏の確執の間隙を突いて攻めて来た最上郡のため相川城は落城し、佐々木春道の裏切りにより山田・深掘両氏は最上氏に降った。」という記述あり。
『戦国史料叢書 奥羽永慶軍記 上・下』(人物往来社 1966)
上巻p330-「最上、山北と境目に於て合戦の事」に〈山田孫兵衛尉清道〉の名前が見える。
他にもp333に〈山田孫兵衛〉の名が見えるなど、下巻ともに〈山田〉が散見される。
『日本歴史地名大系 5 秋田県の地名』(平凡社 1980)
p183-184〈山田村〉の項あり。(「現湯沢市山田」)
「「語伝仙北之次第」によれば、天正10年(1582)由利衆が小野寺氏を大沢(現平鹿郡雄物川町)に攻めたとき、山田村の地侍が小野寺氏とともに出陣している。」「文禄4年(1595)に最上勢が湯沢城を攻めた折りには「夫ヨリ春道(関口ノ城主佐々木喜助春道)カ計ラヒトシテ、西馬音内肥前守茂道、山田民部少輔高道、柳田治兵衛尉、松岡越前守、深堀左馬ノ五人心替シテ最上ニ組ス」(奥羽永慶軍記)と、小野寺氏との関係を断ち切っている。」
「山田城跡は、村の西部にあり周囲に堀を巡らした平城。」とあり。
「語伝仙北之次第」は「小野寺氏研究資料」に収録があるようだが、県立図未所蔵。
『日本城郭大系 2 青森・岩手・秋田』(平井聖〔ほか〕編集 新人物往来社 19980)
p461 巻末「その他の城郭一覧」の中に〈352 山田城〉の項あり。
『秋田「物部文書」伝承』(進藤孝一著 無明舎出版 1987)
p202「物部家系図抜粋」の長寿の隣(妹)女子に「山田城主小野寺孫兵衛ニ嫁」とあり。
p204「この系図によると、①山田城主小野寺孫兵衛に嫁したと記されているが、このことはすでに文治4年前後に山田城(湯沢市)と物部家が姻戚を結んでいることを示すものである。」とあり。
p208「また最上氏は知略にも長け、小野寺方の支城である関口(湯沢市)山田(湯沢市)松岡(湯沢市)深堀(湯沢市)西馬音内(羽後町)などの武将に懐柔策をめぐらし自陣に組み入れた。」
p216〈山田城〉の項あり。「城主、小野寺の一族山田孫兵衛。文禄5年湯沢城落城の折山田西馬音内、柳田、松岡、深堀が小野寺に離反す。」とあり。
(2)岩手の山田氏について
『日本歴史地名大系 3 岩手県の地名』(平凡社 1990)
p581〈下閉伊郡〉の項、「同年3月(建武元年(1334)、石見有資は山田村の土豪山田六郎が大沢牧に狼藉を働いたと訴え、顕家は山田六郎の所行であるかどうかの確認を南部又次郎に命じている(同月3日「北畠顕家国宣」遠野南部文書)。」「のちに山田氏の所領であったと思われる山田村は(中略)八戸南部氏の所領となった(「東奥古伝」)」
p585〈下山田村〉の項、上記の山田六郎について記述あり。「この事件がその後どう処理されたかは不明であるが(中略)代官として山田関屋丸なる者が駐在している(「大久保昔書遺翰」大久保文書)。」
〈下閉伊郡山田町〉の項目中には、〈山田六郎〉の名は多く見られる。
『山田町史 上』(山田町史編纂委員会編集 山田町教育委員会 1986)
p237-239上記『日本歴史地名大系 3 岩手県の地名』にも記述のあった「大沢御牧場殺害事件」の項あり。
「寛永20年6月、オランダ船が山田港に漂着したとき、山田の代官山田平太夫なるものが盛岡藩に注進したり、船員を拿捕したりして活躍しているが、山田六郎や山田関屋丸との縁やゆかりがなかったものだろうか(下閉伊郡誌)」とあり。
p438-「水戸天狗党と山田一郎」の節あり。「閉伊通飯岡村出身」とあり。p1066人物編に〈山田一郎〉の項あり。「山田一郎は幼名を横田博と称し、山田町川向町横田宇右衛門の三男として天保8年(1837)に生まれ」とあり。
『南部藩参考諸家系図 1』(前沢隆重他編 国書刊行会 1984)
p378-380〈山田氏〉〔五十石・文久元年・山田順平家〕利直公六男 利長(始利信) 山田主水 母山田九郎左衛門女
『南部藩参考諸家系図 3』(前沢隆重他編 図書刊行会 1985)
p287-289〈山田氏〉〔三百石四斗七升七合・山田募家〕姓藤原 長時 山田九郎左衛門 生国京都ノ人也
p289-299〈山田氏〉〔五十石・山田徳太郎家〕山田九郎左衛門長時二男 長久 山田太郎兵衛 京都ニ住ス
『南部藩参考諸家系図 4』(前沢隆重他編 国書刊行会 1985)
p263-264〈山田氏〉〔百五石四斗一升・山田喜和蔵家〕姓不詳 友善(善一・作喜) 生国伊賀ノ人也
いずれも秋田の山田氏との関係には言及していない
(3)その他、山田氏(東北地方)に関係する資料
系図から
『寛政重修諸家譜 第19』(続群書類従完成会 1985)
p219「家伝に、山田出羽守正勝が庶族なりといふ。」とある。 出羽国は現山形県・秋田県
『寛政重修諸家譜 第6』(続群書類従完成会 1984)
p17「正勝 平一郎 出羽守 従五位下」
『寛政重修諸家譜 索引1』(続群書類従完成会 1989)
「山田孫兵衛尉清道」より〈清道〉、「山田民部少輔高道」より〈高道〉の項に山田なし。
『姓氏家系大辞典』(太田亮著 角川書店 1981)
3巻p6298-6317に、〈山田〉の項あり
「72 陸中 下閉伊郡山田邑より起る」「73 清和源氏南部氏族」「74 陸奥」「75 羽後」「76仙北」ほかあり。「76仙北 山田五郎あり、玉米條を見よ」とあり。
2巻p3607〈玉米タママイ〉の項
「1 清和源氏小笠原氏族」に、「玉米の領主小笠原信濃守義満殿に、男子これ無く、仙北の山田五 郎の三男小介と申すを、聟名跡に御呼び候。」とあり。
前出『日本城郭大系 2』の〈玉米城〉の項
p451-452に〈玉米城〉の項、p462に〈法領館〉の項あるが、山田氏についての記述はなし。
〈玉米城〉の項の参考文献に「由利十二頭記」「奥羽永慶軍記(前出)」あり。
「由利十二頭記」
《日本古典籍総合目録》を〈由利十二頭〉で検索すると2件あり。
統一書名 出羽由利十二頭記大全 (でわゆりじゅうにとうきたいぜん)
統一書名 矢島十二頭記 (やじまじゅうにとうき ) 別書名 [ 1 ] 由利十二頭記(ゆりじゅうにとうき)
『続史籍集覧 8』(近藤瓶城編 臨川書店 1985)
p75-129「矢島十二頭記」あり。
p100-101に〈山田氏〉に関する記述あり。『姓氏家系大辞典』〈玉米〉の項と同内容。
- 回答プロセス
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記述がなかった資料は次のとおり。
『秋田大百科事典』(秋田魁新報社 1981)〈山田氏〉なし。
『郷土史事典秋田県』(国安寛 柴田次雄編 昌平社 1982)
『秋田縣史 第1冊 秋田藩治編年 秋田藩要職沿革篇』(秋田県編 秋田県 1915)
『岩手百科事典』(岩手放送 1978)〈山田氏〉なし。
『岩手人名辞典』(浦田敬三著 藤井茂著 新渡戸基金 2009)
p244〈山田吉雄〉(1840.2.20-1911.5.3 剣士。美妙の父。)
〈山田吉風〉(1804-1862.10.3 南部藩士。国学者。)のみ。
『秋田人名大事典』(秋田魁新報社 2000)
p556-557 山田姓の人物は何人か掲載されているが、山田氏に結びつく記述見あたらず。
『岩手県史 3 中世篇』(岩手県編 岩手県 1961)目次を見るが〈山田氏〉なし。
『戦国大名系譜人名事典 東国編』(山本大編 小和田哲男編 新人物往来社 1985)
『戦国大名家臣団事典 東国編』(山本大編 小和田哲男編 新人物往来社 1981)
- 事前調査事項
- NDC
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- 系譜.家史.皇室 (288 9版)
- 参考資料
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- 『角川日本地名大辞典 5 秋田県』(角川書店 1980)
- 『戦国史料叢書 奥羽永慶軍記 上・下』(人物往来社 1966)
- 『日本歴史地名大系 5 秋田県の地名』(平凡社 1980)
- 『日本城郭大系 2 青森・岩手・秋田』(平井聖〔ほか〕編集 新人物往来社 19980)
- 『秋田「物部文書」伝承』(進藤孝一著 無明舎出版 1987)
- 『日本歴史地名大系 3 岩手県の地名』(平凡社 1990)
- 『山田町史 上』(山田町史編纂委員会編集 山田町教育委員会 1986)
- 『南部藩参考諸家系図 1』(前沢隆重他編 国書刊行会 1984)
- 『南部藩参考諸家系図 3』(前沢隆重他編 図書刊行会 1985)
- 『南部藩参考諸家系図 4』(前沢隆重他編 国書刊行会 1985)
- キーワード
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- 山田(氏)(ヤマダ(シ))
- 姓氏-秋田県
- 姓氏-岩手県
- 山田城
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 地名
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000108469