レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/10/8
- 登録日時
- 2016/11/01 18:31
- 更新日時
- 2018/06/15 11:57
- 管理番号
- 島根参2016-10-009
- 質問
-
戦国時代の石見国の武将、高橋興光 (たかはしおきみつ) が毛利氏に滅ぼされた経緯が書かれた資料はないか。
- 回答
-
(1) 当館所蔵資料から以下の記述を紹介。
【資料1】 『羽須美村誌 上巻』 (羽須美村)
p370-561 「第三節 高橋氏の時代」
p550-561 「第十九項 高橋興光の滅亡」
・・・(前略)・・・ 享禄二年(一五二九)五月、元就はかねて予想していた通り、高橋重光、興光父子が次第に尼子に接近する様子が見えだしたことを理由に、それは大内義興が元光の親族をさしおいて本城及び藤掛城幅屋城を与えた大恩に叛くものだとして、大内義興の了解を求めることもなく高橋討伐の軍を催し、出羽久喜の松尾城を攻める。松尾城は久喜鉱山防備の高橋氏城塁であった。従って元就が内心欲しかったのは久喜鉱山の領有であったのだ。・・・(中略)・・・
高橋氏は尼子経久の石見守護代塩谷興久(経久三男)の支援を得ようとし、また芸備の旧領地回復にも積極的に働きかけたようである。
享禄三年(一五三〇)年七月、元就は高田郡生田犬伏山に進出、主力をもって久喜松尾城を攻めるとともに、余力をもって高橋領山県北方に侵入する。(及川著「毛利元就」記載、閥閲録、「元就、山県郡に侵入し尼子方と戦った。」)・・・(中略)・・・
元就は久喜松尾城、出羽本城、長田槙尾城を奪取った後、軍を犬伏山に配置したまま阿須那藤掛城、口羽幡屋城に圧力を加えつつ鷲影城を守る高橋弾正(弾正は城主のこと)に興光の頸をとって差出せば高橋家を継続させるが、さもない時は一家全滅を覚悟せよと嚇しをかける一方、尼子氏に親近する吉川興経に対しては、十一月、新しく奪取った山県郡北方を与えて和平工作につとめる。十二月、高橋弾正、興光を討ってその頸を元就の陣中に持参したところを捕らえられて殺され、高橋氏はここに滅亡した。
【資料2】 『邑智町誌 上巻』 (邑智町)
p630-633 「高橋興光の滅亡」
・・・(前略)・・・ところが機を見るに敏なる元就はこの大内家及び諸将の動揺をうまくつかんで、積極的に独立の方向へ自己勢力を拡大しはじめた。最初にその犠牲になったのが、元光討死後にわかに弱体化した石見高橋一族であった。・・・(中略)・・・
享禄三年(一五三〇)七月、元就は高橋父子が大内家の命を奉ぜず、尼子氏に協力するとして、突如高田郡生田に陣し、高橋領山県郡北方を占領し、出羽久喜の松尾城に重光を攻め落とし、阿須那の藤掛城主興光と対陣する。十二月、元就は阿須那大庭の鷲影城主高橋弾正に働きかけ、興光を殺させて、高橋全領を奪ったのである。
【資料3】 『毛利元就 ミネルヴァ日本評伝選』 (ミネルヴァ書房)
p33-36 「高橋氏を討伐」
そして元就の眼は、大内氏方の国衆連合の盟主の地位にあった高橋氏に向けられる。・・・(中略)・・・享禄二年(一五二九)五月に毛利氏・和智氏・大内氏(東西条代官弘中隆兼)らの連合軍は、高橋氏の拠城である安芸国横田の松尾城、つづいて石見国阿須那の藤根(掛)城を攻略し、「大九郎(興光)ニ腹切せ」て討滅した。実父の高橋弘厚が尼子氏方に与したためである。(閥閲録七三。毛利家文書二五一・二五二)。・・・(後略)・・・
(2) 以下の資料に、高橋氏一族の領域、時代背景、周辺の事情が記述されている。
【資料4】 『大名領国の構成的展開』 (吉川弘文館)
p390-425 二、 高橋氏と芸石国人領主連合
p390-400 (一) 高橋氏一族とその領域
p401-409 (二) 石見国人領主の連合と高橋氏
p409-422 (三) 永正九年の安芸国衆契約と高橋氏
p422-425 (四) 高橋氏の滅亡と毛利氏領主制の進展
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本史 (210 8版)
- 個人伝記 (289 8版)
- 参考資料
-
-
【資料1】羽須美村誌編集委員会 編 , 羽須美村誌編集委員会. 羽須美村誌 上巻. 羽須美村, 1988.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069418789-00 (p370-561 当館請求記号 郷092.96/128/1 ※貸出禁止資料) -
【資料2】邑智町企画課/編. 邑智町誌 上巻. 邑智町, 1978.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I068124506-00 (p607-637 当館請求記号 郷092.96/95/1 ※貸出禁止資料) -
【資料3】岸田裕之 著 , 岸田, 裕之, 1942-. 毛利元就 : 武威天下無双、下民憐愍の文徳は未だ. ミネルヴァ書房, 2014. (ミネルヴァ日本評伝選)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025897535-00 , ISBN 9784623072248 (p33-36 当館請求記号 289.1/モ14) -
【資料4】岸田裕之 著 , 岸田, 裕之, 1942-. 大名領国の構成的展開. 吉川弘文館, 1983.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001642120-00 (p390-425 当館請求記号 郷092C1/1210 ※貸出禁止資料)
-
【資料1】羽須美村誌編集委員会 編 , 羽須美村誌編集委員会. 羽須美村誌 上巻. 羽須美村, 1988.
- キーワード
-
- 島根県
- 石見国
- 邑南町
- 羽須美村
- 高橋興光(たかはし おきみつ)
- 毛利氏
- 戦国時代
- 安芸国
- 戦国大名
- 毛利元就
- 尼子経久
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000199029