レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2000年10月23日
- 登録日時
- 2010/11/29 13:40
- 更新日時
- 2021/01/10 00:30
- 管理番号
- PML20001023-01
- 質問
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解決
印刷をテーマとする切手やハガキを収集している。Griffin holding ink balls(インクボール※を持ったグリフィン)が印刷の象徴と聞いたが、本当に印刷のシンボルなのか、またどのような謂われがあるのか知りたい。
※インクボール=版面にインキ**をつけるタンポンのような道具 (**印刷用のインクは「インキ」と言います。インクボールも本当はインキボールになるのかもしれません。登録者註)
- 回答
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Geoffrey Ashall Glaister "Glossary of the Book"(1960年) の griffin の項には、「インクボールを持ったグリフィンがドイツの木版印刷所でしばしば見受けられる。」「他の国の印刷組合や個々の印刷所の紋章としても、しばしば使用されている。」とある。由来に関しては、同項では「明確な証拠はないが、言い伝えとして、フリードリヒ三世(在位1440-93)がドイツの書籍印刷業ギルドに授けたとある。」「ただし、フリードリヒが1466年にストラスブールのJohann Mentelin に授けたのはグリフィンではなくてライオンだった、とも言われている。」と書かれている。その他いろいろな記述があるので、この項を提示。また、同著者が後から出した "Encyclopedia of the book" (1996年)にも同様の記述があるが、内容が減っている。その他 Moran, James "Printing Press" のp.30にも、インクボールを持ったグリフィンは、ドイツの印刷工ギルドが選んだ紋章、という一文がある。
この3点をもって回答とした。
- 回答プロセス
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日本語のシンボル・紋章学関係の本のグリフィンの項→インクボールや印刷に関する記述はなし
印刷所の商標事典の類(洋書)→由来や説明は個々の印刷所についてのみ。
「印刷」辞典で出なかったので、「本」に関する辞典・事典を調査→ヒット
また古い印刷機にはこの紋章が付いているものがあるので、"Printing press" を調査。
- 事前調査事項
- NDC
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- グラフィックデザイン.図案 (727 9版)
- 印刷 (749 9版)
- 参考資料
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- Goffery Ashall Glaister. Glossary of the Book : terms used in paper-making ( printing| bookbinding| and publishing. With notes on illuminated manu. G. Allen and Unwin, 1960.|S810-G48)
- Glaister, Geoffrey Ashall. Encyclopedia of the book. Oak Knoll Press, 1996. (S000.3-020.3-G48)
- James Moran. Printing presses : history and development from the fifteenth century to modern times. Faber and Faber, 1973. p. 30 (S500-Mo)
- 2004. Dragonlore:The Jouranl of The Colledge of Doracology No.53, 2004 53 p. 6
- キーワード
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- グリフィン(Griffin)
- 印刷業
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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2010年6月にインターネットで検索したところ、Google Book で上記のうち2冊がヒット。さらに、
Dragonlore:The Jouranl of The Colledge of Doracology No.53, 2004 の p.6 にも同様の記述と、オランダ語の参考文献が記載されていることがわかった。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000074568