レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007/10/01
- 登録日時
- 2007/11/08 02:11
- 更新日時
- 2007/11/08 10:03
- 管理番号
- C2007M1214
- 質問
-
未解決
江戸時代にあったと言われる「くろいなり」について調べている。作り方も含め、調査をお願いしたい。
- 回答
-
ご照会の「くろいなり」ですが、以下の資料を調査しましたが関連する記述は見つかりませんでした。【 】内は当館請求記号です。
●江戸時代の料理に関する資料
・『江戸料理史・考:日本料理「草創期」』江原恵著 河出書房新社 1986 【EF27-1225】
・『図説江戸料理事典』松下幸子著 柏書房 1996 【EF27-G361】
・『江戸風流「食」ばなし』堀和久著 講談社 1997 【GD51-G41】
・『江戸前の味』長崎福三著 成山堂書店 2000 【EF27-G3800】
・『全集日本の食文化』第7巻 日本料理の発展 雄山閣出版 1998 【GD51-G27】
・『再現江戸時代料理:食養生講釈付』松下幸子、榎木伊太郎編 小学館 1993 【EF27-E2080】
pp.145~161に「江戸時代料理書百選」が載っています。その中で「江戸時代の料理書には飯類の調理法の記載が少ないので、飯・粥・鮓などの米料理をまとめた本書は貴重である」と紹介されている以下の資料も調査しましたが、関連する記述は見つかりませんでした。
・『名飯部類:日本初のご飯百科』杉野権兵衛[ほか]原著 福田浩、島崎とみ子訳 教育社 1989【EF27-E659】
なお『名飯部類』(翻刻)は、貴館で調査済みの『江戸時代料理本集成』にも収録されています。
また、年中行事(歳時記)の観点から書かれた以下の資料も調査しましたが、「くろいなり」については載っていませんでした。
・『江戸味覚歳時記』興津要著 時事通信社 1993 【GD51-E150】
・『江戸あじわい図譜』高橋幹夫著 青蛙房 1995 【GD51-E178】
・『江戸東京グルメ歳時記』林順信著 雄山閣出版 1998 【GD51-G89】
・『江戸の庶民生活・行事事典』渡辺信一郎著 東京堂出版 2000 【GB374-G43】
当館では寿司に関する資料を多く所蔵していますが、現物を確認したところほとんどが「握り寿司」について書かれたものでした。以下の資料に稲荷寿司に関する記述はありましたが、「くろいなり」については載っていませんでした。
・『すしの事典』日比野光敏著 東京堂出版 2001 【GD51-G156】
pp.24~25「稲荷ずしの誕生」
●「八百善」に関する資料
Googleを“黒いなり”で検索すると、空港で販売されている「空弁(そらべん)」や、通販の弁当がヒットし、「八百善」と関連のある商品が多いことが分かります。以下の資料を調査しましたが、関連する記述は見つかりませんでした。
・『懐石料理とお茶の話:八百善主人ものがたり』江守奈比古著 海南書房 1981
【EF27-1054】
・『食前方丈:八百善ものがたり』栗山恵津子著 講談社 1986 【EF27-1235】
・『江戸流行料理通』(全2巻)栗山善四郎原著 平野雅章訳 教育社 1989 【EF27-E570】
原著者の栗山善四郎氏は、八百善の主人(四代目)です。なお『料理通』という書名で貴館で調査済みの『江戸時代料理本集成』にも収録されています。
●空弁(そらべん)に関する資料
・『小林しのぶ厳選駅弁・空弁:美味決定版』小林しのぶ著 世界文化社 2007 【Y88-H3936】
pp.54~55「黒いなり(炭)」(羽田空港)に具の紹介等が載っていますが、
八百善および江戸時代との関わりには触れられていません。
●奥村彪生氏の著作
・『万宝料理秘密箱: 卵料理のルーツ』器土堂主人原著 奥村彪生訳 教育社 1989
(教育社新書 ; 138) 【EF27-E604】
卵料理を中心とした江戸時代のレシピ集です。
・『「世界の米食文化」と「日本の伝統的米料理」: The rice road 汗と、祈りと、知恵の道程』奥村彪生著 エム・シーシー食品設立40周年記念誌編集委員会 神戸 1994(EF27-E2529)
pp.70-99「日本の伝統的米料理」に押しずし、握りずし、稲荷ずしなどの米料理の写真や作り方が収載されていますが、「黒いなり」は載っていませんでした。
●インターネットサイト等
既に貴館でも調査済みかもしれませんが、Googleを“黒いなり”で検索するといくつかのサイトがヒットします。「黒いなり」の由来や原材料が載っているサイトもあるようです。参考にしてはいかがでしょうか。
・「NIKKEI DESIGN 注目デザイン情報」
(http://nd.nikkeibp.co.jp/nd/news/contents/688.shtml)
「備長炭の微粉末入り「黒いいなり」、羽田空港限定で空弁に登場」(2004年11月30日)の記事に、紀州備長炭の微粉末入りの油揚げ、黒豆入りの油揚げを用いた「黒いなり」の紹介が載っています。ただし八百善および江戸時代との関わりには触れられていません。
また、NDL-OPACの「雑誌記事索引」(http://opac.ndl.go.jp/index.html)、「近代デジタルライブラリー」(http://kindai.ndl.go.jp/index.html)や、朝日新聞の記事が全文検索できるオンラインデータベース「聞蔵ビジュアルⅡ」等を“くろ(黒)いなり”で検索しましたが、関連する記述は見つかりませんでした。
(インターネットサイトへの最終アクセス:2007年9月26日)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
典拠:奥村彪生氏が講演会で江戸時代に「くろいなり」があったと言われた。まかない料理かとも思われる。
調査済み資料:「江戸時代料理本集成」
- NDC
-
- 食品.料理 (596 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 日本料理
- 歴史
- 風俗・習慣
- 江戸時代
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 公共図書館
- 登録番号
- 1000039003