レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009/10/14
- 登録日時
- 2010/09/11 02:00
- 更新日時
- 2010/09/21 12:34
- 管理番号
- 埼久-2010-018
- 質問
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解決
次の2つの文献名・所在を知りたい。学会や文科省が作成したもの。①「以後、うさぎ目を独立させる」と決めた文献。②「以後、食肉類ではなくネコ目と表示する」と決めた文献。
- 回答
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①うさぎ目を独立させると決めた文献
『学術用語集 動物編』
p1100に『Order Lagomorpha ウサギ目 Usagi-moku』とあり。
『レッドデータ日本の哺乳類』
p60に「日本に自然分布するウサギ目の動物は,ナキウサギ科1種とウサギ科3種の合計4種である。」とあり。
『日本の哺乳類』(東海大学出版会 2008)
p147-152「兎目(ウサギ目)LAGOMORPHA」の記述あり。
海外での決定に関する情報
『ウサギがはねてきた道』(川道武男 紀伊国屋書店 1994)
p168-169「1912年、ギドレイは、ウサギを独立した目とした。」という記述があり。
②食肉類でなくネコ目と表示すると決めた文献
『学術用語集 動物学編 増訂版』(文部省/日本動物学会 丸善 1988)
p426「syokuniku-rui 食肉類「ネコ科の動物」 carnivore」とあり。
『哺乳動物進化論 哺乳類の種と種分化』(今泉吉典 ニュートンプレス 1998)
p12「ネコ科、イヌ科 Canidae、クマ科 Ursidaeなどは食肉目Camivoraを…」とあり。
『日本動物大百科 1』(平凡社 1996)
p106「食肉目=ネコ科、イヌ科、イタチ科」とあり。
その他、関連するWeb情報を参考までに提供する。
- 回答プロセス
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2点の質問とも、『学術用語集 動物学編 増訂版』(文部省/日本動物学会 丸善 1988:調査時点での最新版)を回答の根拠とする。
うさぎ目の独立を決定した文献について
県立図書館所蔵資料
『学術用語集 動物学編 増訂版』(文部省/日本動物学会 丸善 1988)
序文に「動物学の学術用語は、・・・学術審議会学術用語分科会における審議を経て、学術審議会から文部大臣に建議されました。本書は、これを受けて文部省と日本動物学会共編の「学術用語集 動物学編(増訂版)」として刊行したものであります。」とあり。
序の1頁に、昭和61年6月に日本動物学会から「学術用語集動物編」(原案)を当時の文部省に提出するまでの経緯が詳しく述べられている。また、「同年11月学術審議会学術用語分科会運営委員会で、この原案について審査が行われ、動物学用語の改定案が決定された。」とあり。
p1100に『Order Lagomorpha ウサギ目 Usagi-moku』とあり。
巻末「資料」に、「「学術用語集動物学編(増訂版)」の編集経過について」、「学術用語審査基準」あり。
『動物系統分類学 追補版』(青木淳一 中山書店 2000)
p401「ウサギ目の進化とその日本における議論」の項に「ウサギ目を齧歯目から独立させることに関しては,1910年代に定説として確立されているため、黒田(1963)における扱いは、この点では現在との認識の差はない」との記述あり。
『日本動物大百科 1 哺乳類』(平凡社 1996)
p54「ウサギ目総論」の項に「ウサギ類はかってげっ歯目に含められていたが、げっ歯目との類似は小型草食獣としての収斂現象にすぎないとされ、現在では独立の目になっている」との記述あり。
『原色日本哺乳類図鑑 保育社の原色図鑑7』(保育社 1976)
p106「兎目」の項に「齧歯目の中に含められることもあるが、…齧歯目とは別系統のもので、形態の類似は生活様式の類似にもとづくものとの見解が近時有力になりつつある」との記述」あり。
『ウサギがはねてきた道』(紀伊国屋書店 1994)
p168-169に「かつて、ウサギはネズミやリスなどとともにげっ歯目に分類されていた。その当時、げっ歯目は二亜目に分けられ、ウサギ類は重歯亜目、それ以外のネズミやリスは単歯亜目にまとめられていた。1912年、ギドレイは、ウサギを独立した目とした。」とあり。
『ウサギの不思議な生活』(晶文社 1998)p24に「ウサギの分類表」あり。
『レッドデータ日本の哺乳類』(文一綜合出版 1997)
p60に「日本に自然分布するウサギ目の動物は、ナキウサギ科1種とウサギ科3種の合計4種である。」とあり。
『日本の哺乳類』(東海大学出版会 2008)
p147-152に「兎目(ウサギ目)LAGOMORPHA」が紹介されている。
その他、以下の資料は記述なし。
『ノウサギの生態 新版』(朝日新聞社 1982)
『動物分類学入門」』(東京大学出版会 1989)
『動物分類学』(東京大学出版会 2009)
『動物系統分類学 10・下』(中山書店 1971)
『日本の哺乳類』(東海大学出版会 2008)
『動物の分類』(第一法規 1969)
Web情報 〈ネコ目〉〈食肉目〉などで検索する。
《CiNii》(国立情報学研究所論文情報ナビゲータ)では9件ヒットする。
食肉類でなくネコ目と決定した文献について
県立図所蔵資料
『学術用語集 動物学編 増訂版』(文部省/日本動物学会 丸善 1988)
序文に「動物学の学術用語は、・・・学術審議会学術用語分科会における審議を経て、学術審議会から文部大臣に建議されました。本書は、これを受けて文部省と日本動物学会共編の「学術用語集 動物学編(増訂版)」として刊行したものであります。」とあり。
序の1頁目に、昭和61年6月に日本動物学会から「学術用語集動物編」(原案)を当時の文部省に提出するまでの経緯が詳しく述べられている。また、「同年11月学術審議会学術用語分科会運営委員会で、この原案について審査が行われ、動物学用語の改定案決定された」とあり。
p426に「syokuniku-rui 食肉類 【ネコ科の動物】 carnivore」とあり。
巻末「資料」に、「「学術用語集動物学編(増訂版)」の編集経過について」と「学術用語審査基準」あり。
オンライン版あり。《オンライン学術用語集》(http://sciterm.nii.ac.jp/)
『哺乳動物進化論』(ニュートンプレス 1998)
p12に「さらにネコ科、イヌ科 Canidae、クマ科 Ursidaeなどは食肉目Carnivora を…」とあり。
p19に「ツシマヤマネコは、1939年にPocockがベンガルヤマネコの亜種に統合して以来、ほとんど40年間分類が変わらなかったが、最近ロシアのHeptnerによって再び独立種にされた。この見解は一部の研究者に支持されているが、まだ大勢を制するには至っていない。リンネ式分類法は発足以来すでに200年余りを経過し、種レベルの分類理論や分 類技法には一見したところで目覚ましい進歩が見られる。それにもかかわらず、現在 の哺乳類の種レベルの分類は、上記の例で推察できるように驚くほど混乱していて、一向に客観性の高い分類が得られない。」とあり。
p121-134に「うさぎ」の進化・分類の記述あり。
『日本動物大百科 1』(平凡社 1996)
p106に「食肉目=ネコ科、イヌ科、イタチ科」とあり。
Web情報 〈ネコ目〉〈食肉目〉などで検索する。
《CiNii》(国立情報学研究所論文情報ナビゲータ)
以下の文献が1件ヒットする。
青木淳一「動物分類名の表記に関する論議 : 食肉目か、ネコ目か」(『動物分類学会誌 (51)』 日本動物分類学会 p69-72)
ただし本文の全文閲覧は有料。本誌は埼玉県内所蔵なし。国会図所蔵情報は以下のとおり。
国会図書館所蔵情報
「動物分類学会誌 Proceedings of the Japanese Society of Systematic Zoology」
(日本動物分類学会〔編〕 1(1965)~54号(1995年12月) 1965-1995)
- 事前調査事項
- NDC
-
- 一般動物学 (481 9版)
- 参考資料
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- 『学術用語集 動物学編 増訂版』(文部省/日本動物学会 丸善 1988)
- 『レッドデータ日本の哺乳類』(日本哺乳類学会 文一総合出版 1997)
- 『日本の哺乳類』(阿部永 東海大学出版会 2008)
- 『ウサギがはねてきた道』(川道武男 紀伊国屋書店 1994)
- 『哺乳動物進化論 哺乳類の種と種分化』(今泉吉典 ニュートンプレス 1998)
-
『日本動物大百科 1』(平凡社 1996)
- キーワード
-
- うさぎ-ウサギ目
- ねこ-ネコ目
- 動物-哺乳類
- 動物分類学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 所蔵調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000071156