レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/12/21
- 登録日時
- 2018/01/29 00:30
- 更新日時
- 2018/01/29 00:30
- 管理番号
- 参調 17-0069
- 質問
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解決
『カフカの絵本』という図書で絵本化された「恩返し」「初めての悩み」「羊猫」という三つの物語の原作にあたるカフカの小説を読みたいという利用者からのリクエストがあった。
三作のうち、二作は原作・掲載資料ともにみつかったが、『恩返し(Der Gute Lohn)』という作品のみ訳者仮題・未発表作とされており、どの小説を元にしているのか、その小説が邦訳され日本で発表されているのか、わからなかった。
未発表とのことだが、もし『カフカの絵本』(2009年刊行)以降に邦訳が出版された等、この原作を読める資料があれば知りたい。
※『カフカの絵本』巻末に紹介されている参考文献『カフカとサーカス』『カフカ事典』については森町図書館に所蔵がないとのこと。
- 回答
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『カフカの絵本』に掲載されている『恩返し』は“主人公がある日帰宅すると机の上に卵があった。その卵から孵ったコウノトリらしき鳥を育て、恩返しに南の国へ主人公を連れて行くことをコウノトリに誓約させる。主人公はコウノトリを育てながらいつか行く南の国を夢想する”という短い物語。
未発表作であるということで『カフカ事典』の「草稿・断片」の章をみてみると『こうのとり(Ein Storch)』という作品の紹介があり、あらすじが『カフカの絵本』の『恩返し』と合致した。
『カフカ事典』によると、「こうのとり」は1917年に執筆された作品であり、邦題は池内紀訳『カフカ小説全集』によるもの、とのこと。『カフカ事典』の記述により、カフカの作品のうち生前に出版されたものは僅かであり、草稿の状態で題名がないもの、不確かなものがあることがわかった。「こうのとり」も題名がつけられていない作品のひとつ。
『カフカ小説全集』のうち、草稿・断片が所収されているものは『カフカ小説全集5、6』の2冊。2冊の内容を調査したところ、「こうのとり」は5巻に収録されていた。
目次には「こうのとり」の題名はなく、〔20〕「八つ折ノートC(1917年2月/3月)」に「こうのとり」と題された草稿が含まれている。(p302)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 小説.物語 (943 7版)
- 参考資料
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- 1 カフカ小説全集 5 万里の長城ほか カフカ?[著] 池内/紀?訳 白水社 2001.11 943/KAF/5
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1 カフカの絵本 フランツ・カフカ?原作 たぐち/みちこ?文 小学館 2009.3 726.6/KA -
2 カフカ事典 池内/紀?著 若林/恵?著 三省堂 2003.6 940.28/KAF
- キーワード
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- カフカ
- 恩返し
- こうのとり
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000229335