レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/06/28
- 登録日時
- 2015/03/25 00:30
- 更新日時
- 2015/05/20 15:32
- 管理番号
- 6000018223
- 質問
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未解決
「一聲啼破萬山雲」(堀田宗元書)という掛け軸を見かけたが、この言葉は禅語なのかどうかわかるか。
- 回答
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「聯珠詩格」所収の漢詩の一部であると推察される。禅語かどうかは不明だが、『中国学芸大事典』等によると、「聯珠詩格」は室町時代に五山の禅宗僧の間で盛んに用いられた書物とのこと。
後日、当事業サポーターからご教示いただき、本句が『茶席の禅語大辞典』(淡交社)に禅語のひとつとして立項されていることが判明した。
- 回答プロセス
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掛け軸
過去の事例https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000110335 を参照し、『名蹟名言書道大字典』(柏美術出版)や『禅林名句辞典』(国書刊行会)を調べるが、該当の言葉は載っていない。
Googleで「一聲啼破萬山雲」を検索すると、「一声啼破万山雲」のかたちで論文「増補・改編本による補遺および諸本所収作品対照表 『新選集』『新編集』研究その三」(堀川貴司)http://jairo.nii.ac.jp/0050/00042200/enがヒット。p116に、七言絶句の起句と推察されるかたちで載っている。題「杜鵑(ほととぎす)」作者「潘紫岩」か。
さらに調べると、近代デジタルライブラリー「精刊唐宋千家聯珠詩格. 自5至8」 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1089443 の第4コマに、この詩句が載っていることが判明。作者は潘紫巌と読める。
再度Googleで「一聲啼破萬山雲 潘紫巌」を検索すると、個人のサイト「石九鼎の漢詩館」http://www.ccv.ne.jp/home/tohou/ より「唐宋聯珠詩格」8がヒット。
当館所蔵資料の『訳注聨珠詩格』(岩波書店)を調べるが、該当の七言絶句は載っていない。上記サイトの内容をご覧いただく。
なお、『中国学芸大事典』(大修館書店)p848「聨珠詩格 れんじゅしかく」によると、聨珠詩格は唐・宋の七言絶句を収録した元代の書物で、全20巻。足利氏の中葉から五山の僧徒間で盛んに用いられ、徳川期にも流行したとのこと。
『岩波仏教事典 第二版』(岩波書店)p326-327「五山文学(ござんぶんがく)」には、五山の僧は中国から伝わった漢詩教養を重視する禅林の習慣をもち、南北朝から室町期にかけて宋元から明初にいたる当代の漢詩文がもてはやされた、などの記載がある。
- 事前調査事項
- NDC
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- 中国文学 (920 9版)
- 各宗 (188 9版)
- 参考資料
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- 『訳注聯珠詩格』柏木 如亭/著(岩波書店)
- 『中国学芸大事典』近藤 春雄/著(大修館書店)
- 『岩波仏教辞典』中村 元/編集(岩波書店)
- 『茶席の禅語大辞典』有馬 賴底/監修(淡交社)
- キーワード
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- 漢詩(カンシ)
- 中国(チュウゴク)
- 聯珠詩格(レンジュシカク)
- 文学(ブンガク)
- 禅宗(ゼンシュウ)
- 仏教(ブッキョウ)
- 掛軸(カケジク)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 『茶席の禅語大辞典』(淡交社)に示されている、読み下し文の一例「一声啼破す万山の雲(いっせいていはすばんざんのくも)」
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000169794