レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年04月07日
- 登録日時
- 2018/04/07 14:46
- 更新日時
- 2022/02/10 15:09
- 管理番号
- 小野30-023
- 質問
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解決
藤沢周平の小説「麦屋町昼下がり」にでてくる、「蝋漆見届役」というのはどのような役職なのか知りたい。
- 回答
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「麦屋町昼下がり」に「…一時は代官も勤めたものの、酒で役職をしくじって蝋漆見届役に左遷され、さらに普請組に移されて…」とある。(『藤沢周平全集第5巻』文藝春秋 p.402)
「蝋漆役」は、藤沢周平『蝉しぐれ』文藝春秋 p.20 にも「与之助は蝋漆役という郷方廻りの小役人の次男である。」とある。
『藤沢周平辞典』勉誠出版 p.206「なお、海坂藩は藤沢文学の舞台として登場する、架空の藩である。」
『海坂藩の侍たち』文藝春秋 p.115「…庄内藩十三万八千石を母型として工夫されたものであることは、まずまちがいないことであろう。」
以上より庄内藩を調べると、
『藩史大事典』雄山閣 p.420「藩の職制の大綱」郡代の下7番目に「蝋漆役」がある。
「麦屋町昼下がり」の「蝋漆見届役」は、この「蝋漆役」に列なる役職であると考えられる。
またインターネットより、
・会津若松市「あいづ人物伝」の「初瀬川健増」
「建増は嘉永4年(1851)に生まれ、17歳で肝煎となり会津藩の蝋漆(ろううるし)取締役も勤めています。」
(http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/j/rekishi/jinbutsu/jin07.htm)
・コトバンク「初瀬川健増」
「元治元年陸奥大沼郡(福島県)小谷村肝煎兼会津藩蝋漆木(ろううるしぎ)役となる。」
(https://kotobank.jp/word/%E5%88%9D%E7%80%AC%E5%B7%9D%E5%81%A5%E5%A2%97-1101481)(webページ最終確認:2018/4/7)
以下の資料には、「蝋漆見届役」や「蝋漆役」について掲載はなかった。
①『国史大辞典2』吉川弘文館 p.332「江戸幕府職制一覧」
②『国史大辞典14』吉川弘文館
③『日本国語大辞典 第13巻』小学館
④『藤沢周平辞典』勉誠出版 p.326「麦屋町昼下がり」
⑤『江戸役人役職大事典』新人物往来社 「江戸幕府役職一覧」
⑥『時代考証事典』新人物往来社
⑦『続・時代考証事典』新人物往社
⑧『時代小説用語辞典』学研
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本文学 (910)
- 日本史 (210)
- 参考資料
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藤沢, 周平, 1927-1997. 藤沢周平全集 第5巻. 文芸春秋, 1993.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002237493-00 , ISBN 4163642501 -
藤沢周平 著 , 藤沢, 周平, 1927-1997. 蝉しぐれ. 文芸春秋, 1988.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001921590-00 , ISBN 4163102604 -
志村有弘 編 , 志村, 有弘, 1941-. 藤沢周平事典. 勉誠出版, 2007.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009185782-00 , ISBN 9784585060598 -
向井敏 著 , 向井, 敏, 1930-2002. 海坂藩の侍たち : 藤沢周平と時代小説. 文芸春秋, 1994.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002382324-00 , ISBN 416349720X -
木村礎, 藤野保, 村上直 編 , 木村, 礎, 1924-2004 , 藤野, 保, 1927- , 村上, 直, 1925-2014. 藩史大事典 第1巻 (北海道・東北編) 新装版. 雄山閣, 2015.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026999848-00 , ISBN 9784639023852
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藤沢, 周平, 1927-1997. 藤沢周平全集 第5巻. 文芸春秋, 1993.
- キーワード
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- 藤沢周平
- 蝋漆見届役
- 蝋漆役
- 海坂藩
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000234452