レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年2月12日
- 登録日時
- 2013/04/04 17:11
- 更新日時
- 2018/08/31 18:13
- 管理番号
- 県立I2012-98
- 質問
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解決
市川団十郎、歌舞伎十八番のうちの「ういろううり」の中に出てくる、台詞「カ牙サ歯音(カゲサシオン)」とは何か
- 回答
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※ 高知県立図書館・高知市民図書館合築に伴い、資料に関する情報が現在の情報とは異なる場合があります。 ※
『日本の名随筆70 語』 をご紹介。 pp.179-194に鈴木棠三/著の「ういろう売のせりふ」が収録されている。
うち、pp.183-185にせりふ全文が掲載されており、質問の部分については、「あわや咽、さたらな舌に、かげさしおん。ハマの二ツは唇の軽重」と書かれ、「かげさしおん」の横に(牙音)(歯音)とルビがふられている。pp.185-187の「舌もじり・早口文句の集成」という項で、せりふの構成を下記のように解説。「最初にういろう薬の歴史と本舗を紹介する。次に薬効のいろいろ、特に口がよく廻るという奇効があると述べ、その実演に入る先に、音韻の基礎知識について、ちょっと学のあるところを示して煙にまく。「あわや咽…唇の軽重」がそれで、これは音韻上の心得として、音の区別を教える記憶用の教訓歌」。
「近世の音韻学の基本となるのは『韻鏡』で、これによれば漢字の三十六字母を、唇・舌・牙・歯・咽・半舌・半歯の七音に分けてある。これを日本語に適用して、ア・ワ・ヤの三音が喉音、サ・タ・ナ・ラが舌音、カが牙音、サが歯音(サには半舌音、半歯音があるため重出する)、ハ・マが唇音であるというのが、右の一種の意味なのである」。
p.252に、この解説の著者であり国文学者・民俗学者である鈴木棠三(スズキトウゾウ)の紹介あり。併せてご案内した。
- 回答プロセス
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■インターネットで検索。キーワードは「かげさしおん」「外郎売り」など。歌舞伎演目「ういろううり」全文など出る。
■774・774.1など書庫、開架問わず図書を見る
■当館所蔵検索 「ういろううり」「市川団十郎」「かげさしおん」など ・「ういろううり」でヒットした『新ちくま文学の森 ことばの国』に「ういろううり」全文有。該当部分表記は「かげ(牙音)/さ/しおん(歯音)」とルビあり。
「牙音(ガオン)」「歯音(シオン)」両方とも、『日本国語大辞典 第2版』にて「中国古代の音韻学の用語で五音の一つ」であることが分かる。 ・同じく「ういろううり」でヒットした『日本の名随筆70 語』をみると、収録されている鈴木棠三「ういろう売のせりふ」に、回答のとおり記述あり。執筆者紹介ページで著者の鈴木棠三について確認。
- 事前調査事項
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高知大学に電話したが分からず、とのこと。
- NDC
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- 歌舞伎 (774 9版)
- 音声.音韻.文字 (821 9版)
- 参考資料
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鶴見俊輔 [ほか]編. 新・ちくま文学の森 14 (ことばの国). 筑摩書房, 1995.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002457372-00 , ISBN 4480101349 - 『日本の名随筆70 語』(井上ひさし/著 作品社 1988年)(914.6/N/70 自館ID1101096210)
- 『日本国語大辞典 第2版 3 おもふ-きかき』(小学館 2001年 R/813.1//3 自館ID1102479886)
- 『日本国語大辞典 第2版 6 さこう-しゅんひ』(小学館 2001年 R/813.1//3 自館ID1102479910)
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鶴見俊輔 [ほか]編. 新・ちくま文学の森 14 (ことばの国). 筑摩書房, 1995.
- キーワード
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- ういろううり
- 外郎売り
- 歌舞伎十八番
- カ牙サ歯音
- かげさしおん
- 音韻学
- 韻鏡
- 牙音 歯音
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000130046