レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年05月24日
- 登録日時
- 2014/07/18 19:30
- 更新日時
- 2014/07/18 19:35
- 管理番号
- 相橋-H26-046
- 質問
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解決
『ベスト・エッセイ』 日本文藝家協会/編 光村図書出版社 2013 (自館請求記号:914.6)
p175 瀬戸内寂聴の『丸谷才一さんとのつき合い』の中に“本に読みふけって”という表現がある。この助詞“に”の使い方が正しい根拠を知りたい。
- 回答
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複合動詞の使い方として意味は通るようである。①、②の資料を紹介し、閲覧していただいた。
- 回答プロセス
-
まず、ジャパンナレッジ(http://japanknowledge.com/library/ 2014/5/ 最終確認)を使用して“よみふける”をキーワードに、その用例を調べると次のことがわかった。
解説・用例
〔自ラ五(四)〕
読むことに夢中になる。また、他動詞的に用い、夢中になって読む。耽読(たんどく)する。
*いさなとり〔1891〕〈幸田露伴〉九九「数数の雑書読み耽(フケ)り行くまま」
*田舎教師〔1909〕〈田山花袋〉七「借りて来た『明星』を殆どわれを忘れるほど熱心に読耽(ヨミフケ)った」
*見知らぬ家路〔1970〕〈黒井千次〉「ひたすらスポーツ欄だけを読み耽る」
"よみ‐ふけ・る【読耽】", 日本国語大辞典, JapanKnowledge, http://japanknowledge.com, (参照 2014-05-29)
〔自ラ五(四)〕から、自動詞ラ行5段活用であるとわかる。
次に、調べ物コーナーの語法・文法の分類の棚をブラウジングして次の資料を見つけた。
『日本語基本動詞用法辞典』 小泉保/編 大修館書店 1989 (自館請求記号:R815)
p541 “読む”の複合動詞の項目に「読みふける[~を] 例:~を読みふけっている」とある。
①『動詞・形容詞・副詞の事典』 森田良行/著 東京堂出版社 2008 (自館請求記号:R815)
p42-43 「複合動詞の意味関係」という項目の記述によると、“読み耽る”は主述・補足関係であり「(読むことに耽る)」とある。
p44 主述・補足の説明がある。「A二Bの補足関係」の例として(Aが“読み”、Bが“耽る”)“読み耽る”が挙げられている。
p45-47 「複合動詞の弁別法」の項目において、「小説に読み耽っている。→彼は小説に耽っている。」が挙げられ、「やや不自然だが、(中略)理解が全く不可能ではない(以下略)」とあるので、“小説に耽る”という表現であっても意味が通るようである。
②『てにをは辞典』 小内一/編 三省堂 2010 (自館請求記号:R816)
p1727 「読み耽る」の項目には“~を”と“~に”という用法が混在している。用法は厳密に定まっているわけではないように思われる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 文法.語法 (815)
- 文章.文体.作文 (816)
- 参考資料
- キーワード
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- 複合動詞
- 動詞
- 活用
- てにをは
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000156511