・日本語源大辞典
※「波長」なし。その他語源関係の辞典類でも発見できなかった。
・日本国語大辞典10
※p.1189「波長」の項に3にその意味の説明あり。用例は「小さな貴婦人(1981)吉行理恵」が示されている。
旧版には、「波長が合う」という意味では掲載し。
・広辞苑
※第1版~4版 「波長が合う」という意味では紹介なし。第5版になってその意味が、掲載されている。
・新明解国語辞典 第4版
※p.1036「〔俗に、志向する高い目標の意に用いられる。〕」と説明があり、
日本国語大辞典や広辞苑とは少し違う意味合いな印象。
○福井県立図書館 様から次のコメントをいただいた。
「Googleを「波長が合う 語源」で検索しますと、「教えて!goo」の下記のページがヒットします。
<
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=172131&rev=1>
これに、英語由来の形容詞的表現の例として「波長が合う」が挙げられていました。
そこで、当館所蔵の「研究社-ロングマン イディオム英和辞典」をひいてみましたら、
on the same wavelength の句の起源として以下のように記述されていました。
(1964;have someone's wavelength としては1927):ラジオで聞きたい番組を受信するために調整用つまみを正しい波長に合わせるところから
数字は初出年です。」
○上記コメントより、英語に由来するものらしいということがわかったので、
次の3点で確認。
・研究社新英和大辞典 研究社英和大辞典編集部/編 研究社 1967
※「wavelength」は掲載されているが、意味は「波長」のみ
・研究社新英和大辞典 第5版 小稲義男/〔ほか〕編 研究社 1980.11
※「wavelength」の2番目の意味として「個人の物の考え」とあり、
そこに「on the same wavelength as・・・ ・・・と同じ波長で、・・・と波長が合って」という
イディオムの説明あり。
なお、次の資料では、「wavelength」は掲載されているが、意味は「波長」のみであった。
・小学館ランダムハウス英和大辞典 第4巻 S-Z 小学館ランダムハウス英和大辞典編集委員会 小学館 1974
○また、
・英語イディオム事典 ラブロマンス編 多田幸蔵/著 大修館書店 1998.12
の
p.382に「be on different wavelengths / be on the same wavelength」という項があり、説明の中に次の文がある。
「wavelengths(ラジオの波長)はこの句では「個人の考え方」を指すのに用いる。・・・こうした近代科学に基づいた語句が次々に生れており、
adrenaline, chemistry, vibes も、そのひとつ。」
○他には次の2点に関連記述あり。
・英和イディオム完全対訳辞典 ジャン・マケーレブ/編著 朝日出版社 2003.3
p.1687に「波長があっている」、「気があっている」として、be on the sama wavelengths あり。
・和英イディオム辞典 青木誠三郎/著 大修館書店 1992.8
p.152 「(に)波長をあわせる」として、tune in(on), tune in(to) あり。
○他にも、次の資料を確認したが、参考になる記述は確認できなかった。
・よく使われる英語表現ルーツ辞典 ジェームズ・ロジャーズ/著 講談社 1989.12
・英語イディオム事典 身体句編 多田幸蔵/著 大修館書店 1981.5
・英語イディオム事典 日常句・生きもの句編 多田幸蔵/著 大修館書店 1984.10
・英会話慣用句辞典 水尾誠千代,ヨシコ・シャカル/編 東京堂出版 1996.2
・米語会話きまり文句辞典 リチャード・スピアーズ/著 マクミランランゲージハウス 2000.5 英語-慣用語-辞典
・英語慣用語源・句源辞典 モートン・S.フリーマン/著 松柏社 2000.12 英語-慣用語-辞典 英語-語源-辞典
・英語イディオム「自由自在」辞典 チャールズ・コーウィン/編 講談社 1994.9
・口語英語大辞典 英和/和英 朝日出版社 1994.11
・新編*英和翻訳表現辞典 中村保男/著 研究社 2002.8
○明確な語源については結局、不明であるが、
上記の調査から
・"on the same wavelength"を訳した言い方として使われ始めたのではないか、
・ 70年代(後半?)くらいから、一般的に定着したのではないか、
と推測できるかもしれない。