レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017年05月25日
- 登録日時
- 2018/03/15 17:28
- 更新日時
- 2019/06/04 15:27
- 管理番号
- 関大総図 17B-4J
- 質問
-
未解決
「晴耕雨読」という四字熟語の語源・由来を知りたい。
平井充良編『故事ことわざ辞典』には、塩谷節山の「晴耕雨読優游するに足る」という漢詩が出典とあるが、本当か。
自分で調査した範囲では、最も古いものは明治41(1908)年10月1日発行の『ホトトギス』に掲載された伊藤左千夫の『紅黄録』であった。
- 回答
-
【前提】
本学には平井充良編『故事ことわざ辞典』(1978年発行)の所蔵が無く、こちらの資料の現物は確認できておりません。
【調査・回答】
①塩谷節山(塩谷温)の著作の調査
先にご確認になった『節山先生詩文鈔』の他、以下の資料も調査しましたが、掲載は確認されませんでした。
書名:微結 : 喜寿詩選 / 塩谷温著
出版事項:東京 : 双美堂 , 昭和32 再版(非売品)
②本学が所蔵する辞典類
1.書名:日本故事・名言辞典 / 村石利夫著
出版事項:東京 : 日本文芸社 , 1980.5
*p.334に「晴耕雨読」あり 出典資料は書かれていない。
2.書名:新明解四字熟語辞典 / 三省堂編修所編
出版事項:東京 : 三省堂 , 2013.7 第2版
*p.368に「晴耕雨読」あり 出典資料は書かれていない。
3.書名:日本漢文学大事典 / 近藤春雄著
出版事項:東京 : 明治書院 , 1985.3
*p.277「塩谷温」の項には晴耕雨読についての記載なし。
調査結果:平井充良編『故事ことわざ辞典』以降に発行された辞典に、塩谷温の漢詩は出典として書かれていない。
⇒ “「晴耕雨読」の由来は塩谷温の漢詩”という説は、現在の定説ではないと考えられます。
③「晴耕雨読」という言葉が確認できる資料
過去の資料の目次情報が確認できる、国立国会図書館デジタルコレクションで確認。
検索条件 公開範囲:インターネット公開&図書館送信資料
キーワード:晴耕雨読
*出版日古い順に表示いたしました。
調査結果:「晴耕雨読」というキーワードでヒットした最古の資料は下記の資料でした。
『少年文庫. 第2集』榊信一郎 編 (少年園, 1889)
pp.87-88 晴耕雨読楼記 (吉田丹三郎による漢文)
⇒検索対象が目次情報だけで本文では無いため、この資料が初出であるとは言えません。しかしながら、1889年という時期に「晴耕雨読」という言葉が使われていたことは確認できました。塩谷節山の生年月日は1878年7月6日であるため、その漢詩が元である可能性は非常に低いと考えられます。
吉田丹三郎という人物については詳細不明。
『岩手県国会議員候補者列伝 : 一名・撰挙便覧』(1890)に「吉田丹三郎君之伝」という項目がありますが、一般的な人名のため、「晴耕雨読楼記」の著者とは断定できません。
「晴耕雨読」の語源・出典の特定には至りませんでしたが、『紅黄録』よりも20年ほど古い時代の用例は確認できました。各資料の詳細を、ぜひ国立国会図書館のデジタル化資料送信サービスでご確認ください。
- 回答プロセス
-
(「回答」に記載)
- 事前調査事項
-
利用者自身が塩谷節山の詩集『節山先生詩文鈔』を事前調査していたとのこと。
また、レファレンス協同データベース「「晴耕雨読」の語源は?」も閲覧済みであった。
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000096394 【最終アクセス2018/7/16】
- NDC
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- 語源.意味[語義] (812)
- 参考資料
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- 節山先生詩文鈔. 塩谷節山先生八十寿賀記念会, 1957. (当館請求記号 *919.6*S5*1, 当館資料番号 302541861)
- 塩谷温著. 微結 : 喜寿詩選 再版. 双美堂, 1957. (当館請求記号 LM2*ニ*82*36, 当館資料番号 201047233)
- 村石利夫著. 日本故事・名言辞典. 日本文芸社, 1980. (当館請求記号 R*813.4*M3*1, 当館資料番号 203838246)
- 新明解四字熟語辞典 第2版. 三省堂, 2013. (当館請求記号 N8R*813.4*10, 当館資料番号 211468967)
- 近藤春雄著. 日本漢文学大事典. 明治書院, 1985. (当館請求記号 R*919.03*K1*1, 当館資料番号 302595392)
- キーワード
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- 晴耕雨読
- 語源
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 校友
- 登録番号
- 1000232580