レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007年05月17日
- 登録日時
- 2007/05/17 11:04
- 更新日時
- 2017/06/26 09:13
- 管理番号
- 国士19003
- 質問
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解決
日本でサザーランド切手というものが発行されていたという。どういうものか詳細について知りたい。
- 回答
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日本の近代郵便制度が始まる直前、外国資本民間会社が発行した私的切手のこと。1870年、横浜の外国人居留地にあった英国資本の運送会社(貸馬車業)「Sutherland & Co.」が、居留地の外国人のために東京との間の郵便事業を行うため発行したといわれている。
当初は香港、長崎での使用説もあったが「Sutherland & Co.」が横浜にあったことは間違いないため、使用も
横浜であったと推定されている。
図柄はラッパを吹きながら疾走する馬に乗った人が描かれた1/4Boo 及び 1Booの額面の2種が確認されている。「Boo」という単位は、当時もまだ残っていた日本の金銭単位「分」からきていると推定される。
2003年現在までに15枚の存在が確認されている。日付はないが丸印の、また2003年に確認された15枚目の物は手書き×印の消印と思われるものがあり、裏も何かからはがした後が残っているなど実際に使用された可能性が高いものもある。
しかしエンタイアなどの確実に使用されたという確定的な証拠は未だ見つかっていないため、現在のところそれは推定にすぎない。
日本ではこの翌年1871年4月、近代郵便制度が始まり、政府による郵便切手の発行もされ始めた。このようなことから同社のサービスが利用されたとしても、短期間で中止されたものと思われる。
所蔵の篠原博「明治の郵便・鉄道馬車」とHP「栗の樹研究室」を紹介。
- 回答プロセス
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1.日本で発行されていたと言うことで「さくら日本切手カタログ」日本郵趣協会にて確認。額面1/4Booの写真の掲載があり、簡単な解説が付いていた。
2.さらに明治期の郵便制度について調査。篠原博「明治の郵便・鉄道馬車」雄松堂に巻頭から「エド・メール なぞのサザーランド会社」の章があり詳細が掲載されていた。モノクロであるが切手8枚の写真も掲載。
3.ネットで検索すると個人のHPであるが、カラーの1/4Boo 及び 1Booの額面2種の画像が示されているものあった。
栗の樹研究室.謎のサザーランド切手 http://www.kuririn.jp/stamps/stamp002.htm
4.ネット上から「郵趣研究」に関連記事があることがわかったが掲載号のみで頁等不明。東京・目白「切手の博物館」にて同誌をあたり、記事を確認。
5.「サザーランド」ではなく「サザランド」と発音する方が、原音に近いとの説がある。
- 事前調査事項
- NDC
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- 郵便.郵政事業 (693 9版)
- 参考資料
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- 篠原博.1987 明治の郵便・鉄道馬車,1,325pp.雄松堂,東京. , ISBN 4841900349
- 切手の博物館鑑定委員会報告・15枚目のサザーランド切手(2003).郵趣研究.52:18.
- さくら日本切手カタログ〈2007年版〉,東京,日本郵趣協会,2006.
- 篠原宏,吉田景保.1962 サザランド会社切手の研究,131pp.日本郵政史学会,東京. (旧資料であるが、存在があまり知られていない為、参考として追記。)
- 山崎好是. 2001 サザランド会社切手(月刊たんぷるぽすと増刊9),110pp.鳴実,東京.
- キーワード
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- サザーランド切手
- サザランド切手
- 郵便制度
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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切手の博物館にて「さくら日本切手カタログ」、「郵趣研究」誌を調査、確認。
2017.6 新たに資料が見つかった為、資料名を追記した。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000034987