レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年12月03日
- 登録日時
- 2016/03/22 17:11
- 更新日時
- 2016/03/25 14:44
- 管理番号
- 新県図-01317
- 質問
-
解決
上越地方で「家庭用のロータリー除雪機」を「ピーター」と呼ぶ語源について
- 回答
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当館所蔵を調査したところ、下記(1)(2)の資料に上越地方でロータリー除雪機を「ピーター」と呼ぶ理由について記述がありました。
ただし下記(3)~(8)の資料に(1)(2)に出てくるものとは別の除雪機「ピーター」に関する記述がありました。その結果を元に、上越市立高田図書館にも問い合わせしたところ、下記(9)~(19)の資料[(12)以外、当館では所蔵無し]を紹介していただきました。
(1)「「ピーター」の謎 なぜ除雪機をピーターと呼ぶのか?」(菅沼祐一/著 『土木学会誌』95巻11号 土木学会 2010 p33)
「「ピーター」の名前の由来は、1960年代、当時、試用されていたロータリー式の除雪車の製品名が「ピーター」であったことに由来するという。」、
「1964年、酒井重工業がスイス・ピーター社との技術提携によりロータリー式の除雪車の製造を開始した。1965年、上越市高田で初めてロータリー式の除雪車が出動し、この除雪車の製品名が「ピーター」であった。道路に大量に降り積もった雪を吹き飛ばす状況をみた人びとが、除雪車のことを「ピーター」と呼ぶようになったと考えられる。」と記述がありました。
なお、参考文献としてWeb上のニュースサイト「上越タウンジャーナル」平成22年2月17日号の記事「「ピーター」の謎が分かった!」(https://www.joetsutj.com/articles/51703184 2015年11月26日確認)が挙げられており、そこにはより詳細な記述がありました。
(2)『新潟のおきて』(新潟県地位向上委員会/編 ア-ス・スタ-エンタ-テイメント 2014)
p88「余談になるが、上越地方ではロータリー除雪車のことを「ピーター」と呼ぶ。これは1960年代に重機メーカー・酒井重工業が、スイスのピーター社と技術提携して開発した除雪機械「サカイ・ピーター」に由来するようだ。」と記述がありました。
(3)『高田市史』第3巻(高田市史編さん委員会/編 上越市 1980)
p403(「七、積雪と自動車交通」の項内)「(昭和33年1月)「市除雪対策本部」は、十八日から頸鉄バスのロータリー式除雪車ピーター号の出動を求め、市内本町筋の除雪を開始した。この式の除雪車は初めてお目見えであったので、市民はその偉力に驚いた。」「市は翌年度の予算にピーター号の購入費400万円を計上し、三十三年からその偉力を発揮した。」と記述がありました。
(4)『上越市今昔写真帖』(太田一成、清水萬蔵/執筆 郷土出版社 2002)
p24に昭和36年に撮られた除雪車の写真が掲載されており、そこに「「ピーター」と呼ばれた除雪車が出動して作業にあたっている。」と記述がありました。なお、この写真は上記(1)の記事にも挿入されています。
(5)『頸城の足として90年』(90周年社史編纂委員会/編 頸城自動車 2003)
p21「昭和33年、ピーターとスノープラ併用の新式除雪車を完成。」「日本初の除雪車を開発させてから2年、改良を重ね、後退操作で雪壁をぶち破り、そのままの体勢で頭部のプラを駆って残雪をけ散らしながら帰途につくという独創的な性能をもったすぐれものであった。」と記述がありました。また除雪機の写真も掲載されていました。
(6)『KUBIKI百年』1913‐2013(100周年社史編纂委員会/編 頸城自動車 2013)
p122(年譜内)「昭和31.3 直江津整備工場でロータリー除雪車ピーターを自社製作」と記述がありました。
(7)「きょうも29本運休 強風雪の上越・魚沼 ダイヤの混乱続く」(『新潟日報』1963年1月18日付 朝刊 p11)
「初出動で大活躍のピーター=高田市西城町で」と題するロータリー式除雪車の写真掲載されていました。
(8)「バスの運休も続出 上越の降雪、峠を越す?」(『新潟日報』1963年1月18日付 朝刊 p12[上越版])
「同市除雪対策本部では十七日朝からピーターを初出動させたり、」と記述がありました。
(9)『頸城自動車80年史レール&バス』(頸城自動車80周年社史編纂委員会/編 頸城自動車 1993)
p54「本邦初の除雪車」の項に「小池始末工場長の手による除雪車のピーター1号が誕生したのは昭和31年。これはとりもなおさず日本で最初の除雪車第1号となった。その後改良を重ね、M・G・Mにピーター(車両後部)とスノー・プラ(前部)併用取りつけの新式除雪車(写真)の完成をみたのが、昭和33年2年下旬。後退操作で雪壁をぶち破り、そのままの態勢で頭部のプラを駆って残雪をけ散らしながら帰途につくという、独創的な性能は斯界をうならせた。」と記述がありました。
p114(「5.悪路と闘い、雪と闘う」の項内)に人力による除雪から機械力が導入された様子の写真として「積雪を巻き込んで吹き飛ばす自社製ピーター(昭38・ウニモグに取り付け)」と題する写真が掲載されていました。
(10)『頸城自動車60年のあゆみ』(頸城自動車/編 頸城自動車 1973)
p4(年表)に「昭和31.3 新黒井整備工場で除雪車ピーターを自社製作」ときじゅつがありました。
(11)『頸城自動車の70年』(頸城自動車/編 頸城自動車 1983)
p5(年表)に(10)の資料と同じ記述があり、またピーターの写真も掲載されていました。
(12)「一ヵ月ぶりバス動く」(『新潟日報』昭和32年1月21日付 上越版)
「頸城バス高田営業所では二日がかりで同社が誇る新鋭除雪車“ピーター号”をフルに運転・・・。」
(13)「ピーター号出動 頸城のロータリー」(『広報たかだ』昭和32年2月1日号)
「市除雪対策本部では十八日から頸城バスのロータリー除雪車「ピーター号」の出動をもとめ(略)ロータリー除雪車は初お目栄だけに市民もその威力に驚嘆し・・・。」
(14)「春よ来い!」(『週刊文化』昭和32年3月7日号)
「高田市除雪対策本部でも除雪に本腰を入れ、頸城のピーター除雪車は連日出勤・・・。」
(15)「市の除雪に新偉力ピーター号の試運転上々」(『広報たかだ』昭和33年2月1日号)
「市では(略)ロータリー除雪機ピーターとダンプカー1台を購入・・・(略)」
(16)「ピーター 高田で初出勤」(『夕刊 高田新聞』昭和33年3月6日)
「除雪車ピーターが初出動し・・・。」
(17)「市除雪協会」(『広報たかだ』昭和35年1月1日号)
「除雪用ピーターを購入して市へ寄付・・・大口寄付者頸鉄、上越運送・・・。」
(18)「除雪対策成る」(『広報たかだ』昭和36年1月1日号)
「道路除雪は(略)自衛隊高田舞台、高田土木出張所、市役所、頸鉄がそれぞれ分担し、除雪車はこれら官公庁、会社のグレーダー、ピーター、ブルトーザー等のほか・・・。」
(19)「除雪車はどうか」(『広報たかだ』昭和37年12月1日号)
「本部の機動力は次のとおりになりました。ブルトーザー5台、バケット4台・・・ピーター3台」
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 自動車工学 (537)
- 道路工学 (514)
- 参考資料
- キーワード
-
- 道路除雪
- 除雪自動車
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000189712