レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/6/14
- 登録日時
- 2017/08/09 14:43
- 更新日時
- 2018/03/16 11:21
- 管理番号
- 島根参2017-08-001
- 質問
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解決
東北地方太平洋沖地震が発生した時、女川原発は津波に襲われたが深刻な事故に至らなかった。 その理由が具体的に書かれた本はないか。
- 回答
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当館所蔵から以下の資料を紹介した。
【資料1】 『原発と大津波 警告を葬った人々 岩波新書 1515』 (岩波書店)
p11~13 「大津波の言い伝え - 女川原発はなぜ助かったのか」
・・・ 女川原発には東北地方太平洋沖地震で高さ十三メートルの津波が襲来した。 福島第一原発を襲った津波とほぼ同じ高さだ。 しかし、女川原発は敷地高さが福島第一原発の約一・五倍の十四.八メートルあったため被害が小さく、原子炉三基すべてを地震翌日未明までに冷温停止させることが出来た。 命運を分けた敷地高さの違いは、どのような経緯で生じたのだろうか。 ・・・
・・・ 女川原発は海水ポンプも高さ一四.八メートルの敷地内にあり津波に対して強い設計になっていた。 一方福島第一原発は海水ポンプを高さ四メートルの埋め立て地に置いており、これが水没すれば原子炉の冷却が出来なくなって炉心損傷を引き起こすおそれがあった。 女川原発は福島原発より三倍以上津波に強く造られていたのだ。
【資料2】 『無から有を生みだす未来 女川町はどのように復興の軌跡を歩んできたか』 (PHP研究所)
p68~69 「産業ごとの被害状況」
原発 : 14.8メートルの高台にあり、津波被害からは免れた。 三機とも無事停機したが、2016年以降の再稼働をめざし、29メートルの防潮堤を建設予定。
【資料3】 『原発と日本人』 (角川学芸出版)
p18 「女川原発が助かったのは、幸運な偶然」
津波で大被害を受けた女川にある女川原子力発電所がどうして助かったかというと、外部から電気を受ける送電線の一系統だけが残ったからです。 福島第一の場合は、送電系統が全部失われてしまったから、外部から電力を受けられなくなった。・・・ 福島第一の場合は、非常用のディーゼル発電機があったのだけれども、津波でさらわれてしまった。 女川も非常用のディーゼル発電機は駄目になっていました。 でも、外部の送電線が一系統だけ残っていた。 だから、助かったのです。
【資料4】 『日本の原発 あなたの隣にあるリスク 新潮45 2011年5月号別冊』 (新潮社)
p22~24 「女川原子力発電所 東北電力」 想定ガル:580 想定する津波の波高:9.1m
・・・東日本大震災では3月11日の本震では、震源からの距離が福島第一原発より近かったにもかかわらず、女川では3機が翌12日の午前1時過ぎまでに冷温停止。 放射性物質の漏出もなかった模様だ。 それでも、事前の想定の甘さは否めない。 2号機の原子炉建屋の地下は津波で浸水。 非常用自家発電機が使えなくなり、別系統の自家発電機で対応した。 4月7日の余震では、3系統ある外部電源のうち2系統が停止。 一時は残る1系統だけで1~3号機の冷却を余儀なくされている。
(※ p26~28 「福島第一原子力発電所 東京電力」 想定ガル:600 想定する津波の波高:5.4~5.7m)
【資料5】 『原子力総合年表 福島原発震災に至る道』 (すいれん舎)
p351~357 「女川原発」
2011.3.11 : 東日本大震災により3基が自動停止。
2011.3.20 : 東北電力による原発施設被害状況の確認作業報告。 1号機は受電用変電器の不具合により外部電源が11時間使用不能となり、その間ディーゼル発電機の電力を利用。2、3号機では冷却系に海水が浸入、2号機では熱交換器の設備も浸水。 非常用発電機3台のうち2台が海水侵入で起動しなかったが、外部電源の供給で運転に支障はなかったと説明。(河北:110314)
2011.4.7 : 東日本大震災時の観測データから、耐震設計で想定の基準地震動を最大11%上回る揺れが記録されていた。 津波の高さは約13mで、想定の9.1mを超えていたことを東北電力が発表。 敷地の高さは14.8mから1m沈下しており、津波は敷地に迫る高さだった。 ・・・ (河北:110408、110709)
2011.4.8 : 7日深夜の震度6強の余震で、点検中の1回線を除く外部電源4回線の内3回線が遮断され、1回線で冷却を継続した(復旧作業で8日10時現在2回線を確保)と東北電力が発表。・・・ (河北:110409)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 発電 (543 8版)
- 原子力工学 (539 8版)
- 参考資料
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【資料1】添田孝史 著 , 添田, 孝史, 1964-. 原発と大津波 警告を葬った人々. 岩波書店, 2014. (岩波新書 新赤版 ; 1515)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025874820-00 , ISBN 9784004315155 (p11~13 当館請求記号 539.0/ソ14) -
【資料2】神谷隆史 著 , 神谷, 隆史, 1948-. 無から生みだす未来 : 女川町はどのように復興の軌跡を歩んできたか. PHP研究所, 2013.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024970712-00 , ISBN 9784569815602 (p68~69 当館請求記号 601.1/カ13) -
【資料3】小出裕章, 佐高信 [著] , 小出, 裕章, 1949- , 佐高, 信, 1945-. 原発と日本人 : 自分を売らない思想. 角川学芸出版, 2012. (角川oneテーマ21 ; A-164)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024100344-00 , ISBN 9784046534187 (p18 当館請求記号 539.0/コ12) -
【資料4】塩谷 喜雄/執筆 , 清野 栄一/執筆 , 中川 恵一/執筆 , イアン・ブレマー/執筆 , 塩谷‖喜雄 , 清野‖栄一 , 中川‖恵一 , Bremmer‖Ian. 日本の原発 : あなたの隣にあるリスク. 新潮社, 2011. (新潮45 ; 別冊)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I041203221-00 (p22~24 当館請求記号 543.5/ニ11) -
【資料5】原子力総合年表編集委員会 編. 原子力総合年表 = A General Chronology of Nuclear Power : 福島原発震災に至る道. すいれん舎, 2014.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025565513-00 , ISBN 9784863692473 (p351~357 当館請求記号 R539.0/ゲ14 ※貸出禁止資料)
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【資料1】添田孝史 著 , 添田, 孝史, 1964-. 原発と大津波 警告を葬った人々. 岩波書店, 2014. (岩波新書 新赤版 ; 1515)
- キーワード
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- 東北地方太平洋沖地震
- 東日本大震災
- 原子力発電所
- 津波
- 女川原子力発電所
- 福島第一原子力発電所
- 原発事故
- 宮城県
- 福島県
- 事故
- 被害
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000220167