レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/2/19
- 登録日時
- 2016/03/17 00:30
- 更新日時
- 2016/03/17 10:36
- 管理番号
- B160120182533
- 質問
-
解決
日本の木造の水道橋の歴史や構造に関する記載がある資料があれば紹介してください。特に、神田上水懸樋の歴史や構造に関する記載がある資料があるとよいです。
- 回答
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当館所蔵資料及びデータベースを調査したところ、神田上水懸樋の歴史や構造に関する記載がある資料(1)-(5)が見つかりましたのでご紹介します。また、日本の木造の水道橋の歴史や構造に関する記載がある資料(6)-(9)が見つかりましたのでご紹介します。(【 】内は当館請求記号です。末尾に「*」がついた資料は国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)国立国会図書館/図書館送信参加館内公開資料です。)
(1)
五味信. 神田上水・お茶水掛樋の謎. 日本地下鉄協会報. (26) 1984.3 pp.31-34 【Z16-1342】*
お茶の水掛樋に関する古文書を読み解き、掛樋の図面の復元を試みた図がp.33に掲載されており、本文には「東京の近代水道は明治31年に拓かれ、神田上水は明治34年に使用が禁止され施設が撤去された。」とあります。
(2)
五味碧水 著. お茶の水讃歩. 日本経済評論社, 1986.12 【GC67-E5】
資料(1)と同一著者の資料です。神田上水掛樋の歴史が記載されているとともに、古文書を元に作成した図面(p.224)や50分の1の縮尺で作成した神田上水掛樋の模型のカラー写真(資料冒頭(ページ付なし)の「口絵-5 神田上水掛樋模型」)が掲載されています。また、「巻末 お茶の水讃歩 年表」(pp.268-pp.270)には1580年から1980年の期間の、神田上水掛樋に関する年表が掲載されています。
(3)
村高幹博. 舊神田上水懸樋の遺跡. 水道協会雑誌. (44) 1937.1 pp.39-47 【Z16-138】*
(4)
舊神田上水御茶の水懸樋と水道橋. 水道協会雑誌. (84) 1940.5 pp.45-53 【Z16-138】*
資料(3)及び(4)には懸樋が水道橋と称すようになった歴史的経緯や、神田川上水の創設の歴史(神田山の掘り崩し、神田川の開墾、神田上水の布設等)について記載があります。資料(3)のp.45には懸樋の費用に関して「大抵10年か15年目くらいに普請をした事が道方諸入費調書といふに見える。尚ほこれに依つて當時の工事費が判るから、次のその大要を掲げることにする。」との説明の後に、1800年以降に行われた4回の懸樋の普請に関して、それぞれの工事費の記載があります。
(5)
土木学会 編. 明治以前日本土木史. 土木学会, 1936 【513.9-D58m】*
神田上水懸樋や銅板で造った銅樋を木樋で保護した構造の懸樋である水戸市水道銅樋について記載があります。「第七編 水道(掘井を含む) 第三章 江戸水道」に「第二節 神田水道」(p.1388-1392)の項があり、水道橋と掛樋が描かれている地図が掲載されています。また、同編の「第四章 水戸水道」(pp.1419-1426)に、水戸市水道銅樋の図面及び写真が掲載されています。
(6)
牧隆泰 著. 日本水利施設進展の研究. 土木雑誌社, 1958 【614.3-M153n2】*
掛樋、水路橋全般の発達の歴史について記載があります。p.173に「図2-21 見沼用水路中瓦葺掛渡し木樋の古図(新編武蔵風土記稿)」が掲載されており、本文には「昔のものは稀に石造があつたが長い掛樋はみな木造で、その寿命が短いので、今日尚残存する木造のものは見当たらないがまた古い記録も比較的少ない。しかし図2-21に示す見沼代用水路中の瓦葺掛樋のような木造のものの記録がある。また文政3年(1820年)着工同6年竣工の鳥取県の安藤井出中には木造掛樋(木筧)6か所その長さ合計26間(46.8m)のほか石造掛樋3か所(長さ合計10.8m)を設けたという。」とあります。
(7)
鳥海 さやか. 黒津 高行. 伊勢崎藩八坂用水における木造掛樋の様相. 日本建築学会関東支部 編. 研究報告. 79 2008年度 pp.261-264 【YH247-1145】
(8)
鳥海 さやか. 黒津 高行. 享和期の伊勢崎藩における八坂樋の復原. 日本建築学会関東支部 編. 研究報告. 81 2010年度 pp.555-558 【YH247-1145】
(9)
鳥海 さやか. 黒津 高行. 伊勢崎藩八坂用水における木造掛樋の形式. 日本建築学会北陸支部研究委員会 編. 日本建築学会北陸支部研究報告集. 79 (52) 2009.7 pp.569-572 【Z16-982】
資料(7)-(9)には屋根付きの木造掛樋を備えた伊勢崎藩の八坂用水の構造や歴史について記載があります。資料(7)のp.261には「木造掛樋は、水質の管理が必要な上水道であった神田上水掛樋や笠原水道の七軒町掛樋がよく知られている。伊勢崎藩八坂用水は農業用水であり、筧には屋根付きの木造掛樋を備えていた。」とあります。また、資料(8)のp.557には「図3 寛政期における八坂樋の復原図」と題する復原図が掲載されています。
[その他の調査済み資料及びデータベース]
<木造の水道橋について記載があったもの>
・野中和夫 編. 江戸の水道. 同成社, 2012.6 【NA221-J98】
・伊藤好一 著. 江戸上水道の歴史. 吉川弘文館, 2010.10 【EG267-J25】
※『江戸上水道の歴史』(吉川弘文館, 1996.12 【GB371-G10】)の復刻版
・石黒敬章 編・解説. 明治・大正・昭和東京写真大集成. 新潮社, 2001.8 【GC67-G239】
・合田良實 著. 土木文明史概論. 鹿島出版会, 2001.4. 【NA23-G48】
・清水龍光 著. 水 : 江戸・東京「水」の記録. 西田書店, 1999.3 【GC65-G34】
・金田大義 著. 江戸の川と上水. 日本企業文化研究所, 1998.1 【GC65-G31】
・合田良実 著. 土木と文明. 鹿島出版会, 1996.3 【DL825-G5】
・助成集報. vol.23(1994年). とうきゅう環境浄化財団, [1994] 7冊 【ME352-G8】
※[6] 玉川上水の江戸市中における構造と機能に関する研究 神吉和夫[著]を確認しました。
・北原進 著. 百万都市江戸の生活. 角川書店, 1991.6 【GC67-E179】
・高橋裕 著. 現代日本土木史. 彰国社, 1990.5 【DL825-E32】
・栄森康治郎 著. <江戸東京>水をもとめて四〇〇年. TOTO出版, 1989.11 【EG267-E28】
・上尾市文化財調査報告. 第18集 (瓦葺掛樋跡). 上尾市教育委員会, 1984.3 【K121-304】
・堀越正雄 著. 水道の文化史 : 江戸の水道・東京の水道. 鹿島出版会, 1981.12 【EG267-53】
小川博三 著. 日本土木史概説. 共立出版, 1975 【DL825-34】
・橋本繁. 神田上水の懸樋. 風俗画報. 臨時増刊(新撰東京名所圖會第20編)(193) 1899.7 pp.10-11 【雑23-8】*
<木造以外の水道橋について記載があったもの>
・土木学会土木史研究委員会 編. 日本の近代土木遺産 : 現存する重要な土木構造物2000選. 土木学会, 2001.3 【DL825-G47】
・松村博 著. 日本百名橋. 鹿島出版会, 1998.8 【NA151-G90】
・三浦基弘, 岡本義喬 著. 橋の文化誌. 雄山閣出版, 1998.6 【NA151-G133】
・高橋裕 [ほか]編. 水の百科事典. 丸善, 1997.9 【M2-G46】
<調査に用いたインターネット情報源及びデータベース>
・NDL-OPAC (https://ndlopac.ndl.go.jp/)
・国立国会図書館サーチ (http://iss.ndl.go.jp/)
・国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/)
・リサーチ・ナビ 目次データベース(http://rnavi.ndl.go.jp/mokuji/)
・錦絵でたのしむ江戸の名所 - 国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/landmarks/)
・JDreamIII [当館契約データベース]
・雑誌記事索引集成データベース ざっさくプラス(皓星社) [当館契約データベース]
・CiNii Articles (http://ci.nii.ac.jp/)
・CiNii Books (http://ci.nii.ac.jp/books/)
・J-GLOBAL (http://jglobal.jst.go.jp/)
・J-STAGE (http://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja)
・橋梁年鑑データベース(日本橋梁建設協会)(http://www.jasbc.or.jp/kyoryodb/index.cgi)
・東京都水道歴史館(http://www.suidorekishi.jp/)
・文化遺産オンライン(http://bunka.nii.ac.jp/)
・国指定文化財等データベース(http://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index_pc.html)
・土木学会選奨土木遺産(土木学会)(http://www.jsce.or.jp/contents/isan/)
インターネット及びデータベースの最終アクセス日は2016年2月4日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・錦絵でたのしむ江戸の名所 - 国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/landmarks/)
神田上水掛樋が描かれている『東都名所御茶之水』(一寿斎芳員 画 泉市 嘉永6 [1853] 【国立国会図書館請求記号:寄別7-4-2-3】)が掲載されていました(http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail198.html?places=suidobashi;edo=surugadai-ogawacho-ezu)。
- NDC
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- 橋梁工学 (515 9版)
- 日本の建築 (521 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 神田上水懸樋
- 水道橋
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000189494