レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2014/04/22 17:18
- 更新日時
- 2014/11/25 16:00
- 管理番号
- 市川20140101-02
- 質問
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解決
子どもの頃、行徳(市川市南部の地名)には「ドイツネズミ」がいるときいていた。
ドイツネズミは戦争中に皮を使うためにドイツから輸入したネコくらいの大きさのネズミだときいたが、どんな動物なのか?
20年くらい前に新聞にも載っていた記憶もある。
- 回答
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『房総の生物』(河出書房新社1985)p.161 に
水生の大型ネズミであるマスクラットの記述として
1978(昭和53)年に行徳で撮影された写真とともに
「地元ではドイツネズミと呼んで、発見しだい撲殺している。」とある。
『日本の外来生物 決定版』(平凡社 2008)p.42-43 でも、マスクラットにはニオイネズミや
ドイツネズミという別名があることと、その特徴や生態および写真が確認できる。
また、『市川市自然環境実態調査報告書2003』(市川市 2004)p.304 では
「太平洋戦争中江戸川区の養鶏業者が養殖・飼育していたものが戦後野外に放たれ、
江戸川を中心に野生化した移入種」であり、妙典や行徳周辺がハス田や湿地であった頃は
かなり広がったようであるが、2002(平成14)年頃には恒常的に生息が確認されるのは、
行徳近郊緑地特別保全地区(行徳の野鳥観察舎周辺)だけとある。
マスクラットは、ハス等の農作物、マコモ・ヨシなどの従来種の水生植物などへ悪影響を与える懸念から
2006(平成18)年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」に
指定された特定外来生物であり、環境庁HP内の特定外来生物一覧でも詳しい解説を確認することができる。
(https://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/list/L-ho-11.html)
行徳のマスクラットに関する新聞記事としては、
「マスクラットくん、君の身の上は・・・生息地市川の湿原埋め立て」.朝日新聞.1987-02-22,朝刊,p.22.
聞蔵Ⅱビジュアル, https://database.asahi.com/library2/,(参照2014.01.04)がある。
記事中には「太平洋戦争中に東京都江戸川区の養鶏業者が飼育していた記録がある。
皮がパイロットの飛行服の内張りに使われていたらしい。」とある。
また、「TOKYO・小動物たちの夏(2)」.読売新聞.1990-08-08,朝刊, p.17.
ヨミダス文書館, https://database.yomiuri.co.jp/rekishikan/,(参照2014.01.04)では、
「戦争中は、ドイツネズミと呼ばれた。飼育業者がぜいたく品を禁止する当局の目をごまかすために、
同盟国ドイツの名をつけ『軍用』をPRしたからだ。」と、
ドイツネズミという別名の由来についても言及している。
なお、千葉県行徳野鳥観察舎に確認をとったところ、マスクラットは、現在では埼玉県の一部と
葛飾区の水元公園で生存が確認されているのみで、行徳地区では2000 年代後半から
目撃されていないとのことであった。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 生態学 (468 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000152550