レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20140930
- 登録日時
- 2015/04/16 11:52
- 更新日時
- 2015/04/24 09:29
- 管理番号
- 広県図20150001
- 質問
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厳島神社の算額の奉納者が知りたい。江戸時代の大阪の数学者である間重富(はざましげとみ)と聞いたが本当か。
- 回答
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参考資料2によると,算額を奉納したのは,広島の数学者檜山義況の門人であった三上千蔵質矩,藤田喜一郎義勝,桑原卯之助正矩等である。
間重富と算額の関わりについては,参考資料3により,檜山義況が大阪にいた時に,間重富と交流があったことが算額の文面に記されていることが確認できたが,それ以上のことは分からなかった。
- 回答プロセス
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厳島神社の算額については,『厳島平成絵馬鑑』に1点,カラー図版と解説がある。額面には檜山義況という広島の数学者の略伝が書かれていることが分かる。額面の最後に長尾素介惟孝と銘が書かれているが,奉納者であるかは解説からは分からない。カラー図版の算額の文字は不鮮明で読み取ることができない。
檜山義況について『広島県人物事典:芸備先哲伝』で調べると,大阪の麻田剛立に師事し,伊能忠孝の測量を助けたこともある人物で,「其門人三上千蔵質矩,藤田喜一郎義勝,桑原卯之助正矩等の人,其没後文政十年其算数に係る額を,厳島神社に奉納せり」との記述がある。
奉納された算額に関する資料を調べると,『山陽和算研究会会誌』第24号の「広島の算額(1)厳島神社算額」に,算額の文面が活字で掲載されていた。また,『科学史研究』の第3号に掲載の「算額雑攷」にも,厳島神社の算額の文面が活字で掲載されており,簡単な解説があった。この解説には,檜山義況が大阪にいた時に,間重富と交流があったことが書かれているが,文面には間重富の名前が見えない。
間重富について調べたところ,『日本人名大事典』に,江戸中期の大阪の暦学者で,字が大業とある。
改めて参考資料2及び3に掲載の算額の文面を見ると,「間大業」と記されていることが確認できた。
- 事前調査事項
- NDC
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- 和算.中国算法 (419)
- 民間信仰.迷信[俗信] (387)
- 参考資料
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- 1『厳島平成絵馬鑑』(原田佳子/著,厳島平成絵馬鑑刊行会,2003)(p.50にカラー図版あり,p.106-107に解説あり) , ISBN 4990183800
- 2『広島県人名事典:芸備先哲伝』(玉井源作/著,歴史図書社,1976)(p.419-420 檜山義況)
- 3『山陽和算研究会会誌』第24号(平成6年9月15日)(p.2-15「広島県の算額(1)厳島神社算額」)
- 4『科学史研究』第3号(昭和17年11月)(p.2-32「算額雑巧」三上義夫,p.19-22に「厳島の算額。檜山義況略伝。作図題」あり
- 5『日本人名大事典 第5巻 ニ‐マツ』(平凡社/編,平凡社,1979)(p.100 ハザマシゲトミ 間重富)
- キーワード
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- 算額
- 厳島神社
- 間重富
- 檜山義況
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000171070