1 『串原村誌』(串原村役場,1968年刊)に記載あり。
… p.480~482に中山神社に関する記載があり、「中山のオイヌサマ」として記載がある。概要は以下のとおり。
・吉野の金峯山より蔵王大権現が犬に乗ってこの地に移ってきたので祠を建て祀った。狗狸が憑いたときは神前の「おいぬさま」を借りて祀ればたちまち離れる。(出典:『恵那郡史』(恵那郡教育会,1926年刊、復刻版1969年刊)p.748)
・陶製の狛犬(山犬の形)を祠に安置するのが一般的。10月19日の中山神社祭礼時に社頭に持参し、ご祈祷を受けて持ち帰る。
・信仰の分布圏は矢作水系上流地方の諸村落に集中しているが、長野県下伊那郡、愛知県北設楽郡、東加茂郡、西加茂郡、瀬戸市、春日井市、名古屋市(東寄りの地域)、豊田市、岡崎市、豊川市、新城市、南設楽郡、岐阜県恵那郡(木曽川以南の市町村)、土岐郡、瑞浪市、多治見市といった広い地域にわたって影響を与えている。
2 串原の周辺(旧恵那郡南部)の町村について、町村史を参照したが、関連する記載はみつからず。ただし『山岡村史 文化財図録編』(岐阜県恵那郡山岡町,1977年刊)には、「お犬様」の写真が掲載されている(p.16、p.22)。
3『南中部の民間信仰』(大森義憲[ほか]著 明玄書房,1973年刊)に記載あり。
… p.194に「お犬さま」として記載あり。「お犬さま」信仰には山住神社系と中山神社系があるとしている。
・山住神社系・愛知県北設楽郡東部地方では、大山積(おおやまつみ)の神使といわれる「お犬さま」信仰が行われており、静岡県磐田郡水窪町の山住神社の神符を受けている。信仰圏は遠州、三州、信州におよぶ。
・中山神社系・東加茂郡旭町地方では、中山神社から狐つき、盗難除けとして、中山神社から「お犬さま」を借りてくる。信仰圏は美濃地方、三州東部。
4 『狛犬事典』(上杉千郷著 戎光祥出版,2001年刊)に記載あり。
…「おいぬ様信仰の狛犬」(p.275~277)、「狐憑きを祓うおいぬ様信仰」(p.278~280)、「おいぬ様の霊験」(p.281~283)の3項目にわたって、中山神社や、飛騨市古川町中野の白山神社「おいぬ様信仰」について記載。
5 白山神社については、以下にも記載あり。
・『飛騨の神社』(土田吉左衛門編 飛騨神職会,1987年刊)p.638~639
・『岐阜県神社名鑑』(岐阜県神社庁,2017年刊)p.738の2段目