まず「学級閉鎖」についてだが,①『学校保健』では,「学校保健安全法第20条による臨時休業とは、学校における感染症の予防の必要があるときに、学校の設置者が臨時に学校の全部又は一部の休業(学校閉鎖又は学級閉鎖ともいわれる)を行うことである。(中略)授業の休止という教育行政にかかわる問題でもあるので、学校の設置者が行うこととされている。しかし、実際に感染症が発生した場合には、学校保健安全法に基づく事務処理を委任されている校長の判断と申し出によって、学校の設置者が臨時休業の措置を決定することが多い。臨時休業の措置を、どのような場合に行うべきかについての基準を一律的に定めることは困難な問題である。一般的には、学級担任や養護教諭による児童・生徒の健康観察、有病者や欠席率の増加などの学校現場の情報や、地域での感染症の流行状況の情報を把握し、学校医などの意見を聞いて、公衆衛生上及び教育上お揺曳を勘案して決定される。」とある。
つまり,法令的には学級閉鎖についての明確な基準が定められてはいない。
同資料において「臨時休業の例外的な措置として,2020(令和3)年3月には世界的に流行している新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために,政府による2週間の一斉休業の要請が行われ,全国の小・中・高等学校及び特別支援学校のほとんどが休業した」とあった。
なお,②『学校医・学校保健ハンドブック』によれば「欠席率が20%に達した場合は,学級閉鎖,学年閉鎖および学校閉鎖等の措置をとる場合が多い」とあり、学級閉鎖等の一つの目安になると考えられる。
また,学級閉鎖の対象となる病気については3『新訂版 学校保健実務必携』の第9章感染症の予防において「学校における感染症対策は,学校保健安全法施行規則によって定められている」とあり、「学校保健安全法では,感染症の予防のため,出席停止(第19条)等の措置を講じることとされており,学校保健安全法施行令では,校長が出席停止の指示を行うこと(第6条第1項),出席停止の期間は省令で定める基準によること(第6条第2項)等が規定されている。これらを受け、学校保健安全法施行規則では,学校において予防すべき感染症の種類を第1種から第3種に分けて規定した上で(第18条),出席停止の期間の基準(第19条)等を規定している。」とある。
感染症の種類には,重症呼吸急性呼吸器症候群やインフルエンザや百日咳,麻しんなどがある。
「新型コロナウイルス」は第一種感染症に指定されている。
ここでいう「出席停止」は児童・生徒の個々に対して行われる措置で、それぞれの感染症の種類に応じて出席停止の期間の基準が定められている。
※2008年に登録した事例を2022年時点の情報で更新しました。