レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年11月04日
- 登録日時
- 2018/12/05 15:09
- 更新日時
- 2019/01/04 10:37
- 管理番号
- 宮城県白石高-2018-08
- 質問
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解決
私は「このままじゃろくな大人にならない」とよく言われるが,「ろくな大人」とはどんな大人なのか。また,大人になるとは結局何なのか。
- 回答
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ろくな、という言葉には「十分な」「満足できるような」という意味があるようです。大人になるというのはつまりどういうことなのか,については難しい課題です。決まった条件みたいなものは見いだせないのかもしれません。
- 回答プロセス
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まずは辞書で調査。
調査資料1のp1960にろくな【陸な・碌な】の項があり,以下の記述があります。
「満足できるような。十分な。」
調査資料2のp3007にろく-な【陸な・碌な】の項があり,以下の記述があります。
「まっとうな。しっかりした。」
上記の禅問答のような記述だけでは回答として十分でも,質問者の気持ちがすっきりしないと考え,補足資料として以下の2つをブラウジングした資料の中から提供した。
調査資料3のp207-213は「大人になるということ」という項目だが,中でもp212-213には「大人になる」という段落があり以下の記述があります。
「大人にきちんとした態度をとり,礼儀正しく筋の通った話し方をしようとすることは,相手から何かを察してもらおうと甘えたり,察してくれなきゃ口も利いてやらないぞとすねたりする子どもっぽいやり方をやめて,大人たちと一対一の人間同士として向き合うということだ。説明して分ってもらえることと分ってもらえないこと,受け容れてもらえることともらえないこととの区別をきっちり受け止めて冷静に考えることができるようになれば,とりあえず,それで大人だ。」
調査資料4のp225-233に「終わりに」の項があり,著者の主張する大人への条件についてまとめのような文章があります。最初の部分で大人という概念についてこのような記述があります。
「そもそも大人になる必要などあるのかという疑問をさし向ける向きもあろう。実を言えば,この疑問はよくわかる気がする。共同社会の単一なイメージがもはや成立しない以上,大人という概念それ自体の不たしかさは,当面続くと覚悟するほかはない。」
また,この項の後半において自分はなにものかということについて,以下の記述があります。
「「自分はなにものか」という問いに対する答えは,たぶんない。だが「自分が何になるのか」という問いには,自ら行動によって答えなくてはならない。その答えが自分のなかではっきりしてくる基本的な条件は二つあって,そしておそらく二つしかないだろう。一つは「自分のはたらきが人々の間に何らかの好ましい結果を生んでいるという確信が得られること」,もうひとつは,「身近な相手とうまくやっていけそうに思えること」である。」
- 事前調査事項
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辞書で調べたが,いまひとつわからなかった。
- NDC
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- 教育 (370 10版)
- 参考資料
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- 調査資料1 国語辞典 第3版 集英社 2012
- 調査資料2 広辞苑 第六版 新村出編 岩波書店 2008
- 調査資料3 大人になるということ 佐藤忠男 岩波ジュニア新書 1998
- 調査資料4 大人への条件 小浜逸郎 ちくま新書 1997
- キーワード
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- 人生案内
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 言葉の意味なら辞書・事典というのは必須であることに違いないが,質問者の意図するところを大きく捉えると,もっと深みのある資料を提供できたのではないか,と過去のレファレンスメモを見ながら作成した事例。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 高校生
- 登録番号
- 1000247224