①『貨幣博物館』の記述によると,大昔の人々は自給自足の生活をしていたので,交換の仲立ちをする貨幣は必要なかった。やがて人々は自分の物と他人の物を交換して欲しい物を手に入れるようになった。しかし,物々交換ではお互いの希望が容易に一致しないなどの難点があったため,交換の仲立ちをするものが必要となった。中国では,紀元前16世紀から8世紀にかけて装飾品として珍重された南方海域産の宝貝が物品貨幣として使用されるようになった。これが世界で最初に『貨幣』として使用されたものであるとの記載があった。
また,中国の貨幣の伝播については同書に,中国の金属貨幣は,農具,刃物などをかたどった布幣(鋤型青銅貨)や刀幣(小刀形青銅貨)に始まる。これらは紀元前8~7世紀頃,交易の発達を背景として製造され,紀元前3世紀に秦の始皇帝が漢字を配した円形方孔の貨幣「半銅銭」による統一を試みた。その後「半銅銭」は漢の時代に統一貨幣となり,この形態はその後約2千年間踏襲されるとともに,東アジアの中国文化圏に伝播した,との記述がある。
一方でいわゆる現代のような鋳造された貨幣の起源は,②『お金のなりたち』に,事実上最初の『コイン』は,紀元前640年ごろ,今のトルコの一地方であるリディアという国で作られた。このコインは金と銀の合金である貴金属「琥珀金」でつくられた小さな塊である。リディア人は1枚1枚に王の印章を型押しすることによって,コインに価値を持たせた,との記述がある。
また,③『世界コイン図鑑』には,西欧世界での最初の円形コインが,小アジア半島の西端に位置するリディアのエレクトロン貨である。初期のものはおよそ紀元前650年頃に作られている。エレクトロンと言うのは金と銀の自然合金であり,コインの表面にはライオンの頭部を描いているとの記述がある。
そして,エレクトロン貨の伝播は,①『貨幣博物館』に,エレクトロン貨の形態はギリシアへ,そしてローマへと伝播した。ギリシア様式の貨幣はアレクサンダー大王の東征によって西アジア地域でも広まり,その後起った西域諸王朝も同じような様式の貨幣を発行している,と記述がある。