レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/10/10
- 登録日時
- 2016/01/21 00:30
- 更新日時
- 2016/01/22 13:57
- 管理番号
- B150919175528
- 質問
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解決
パターン化されている渦巻図形(土偶の文様、現代のデザイン(シンボルマーク)など)を心理学的に分析・解析した資料を紹介してください。
- 回答
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お問合せの事項について調査したところ、渦巻図形について心理学的に分析・解析しているとみられる資料(1)-(7)が見つかりましたのでご紹介します。(【 】内は当館請求記号です。)
(1)
『王権の心理学 : ユング心理学と日本神話』(織田尚生 著 第三文明社 1990.11 【SC377-E94】)
pp.83-111に「第4章 海中撹拌と周回の神話」があり、海中撹拌の心理学について庭園、古墳、土器のイメージ、さらには臨床の事例を用いながら、検討を加えています。
(2)
『ユング心理学の応用』(林道義 編 みすず書房 1988.8 【SB35-E20】)
「4 心的象徴としての土偶」(pp.172-197)の「三 縄文時代のなかでの心的変遷」(pp.186-193)に次の記載があります。
「(前略)土偶に施される代表的文様には渦巻文があるが、これは生と死の根源であるヌミノース的なものの象徴として考えられ、グレート・マザーの基本的性格をよく表していると思われる。」
(3)
吉田 章宏「直線,円,螺旋--心理学の視点から」(『淑徳大学大学院総合福祉研究科研究紀要』 (17) 2010 pp.1-19 【Z22-1702】)
直線、円、螺旋について心理学の視点からその可能性と意味を探ることを試みています。
(4)
北岡明佳「錯視から探る脳機能」(『生存科学』 18(B) 2008.3 pp.21-35 【Z19-3078】)
同心円に配置した白黒の紐模様が渦巻きパターンに見える錯視である「フレーザーの渦巻き錯視」について記載されています。
(5)
吉田美穗子「古建築の植物文様と動物文様におけるデザイン要素の追究--対数螺旋を通しての比較検討」(『梅花女子大学現代人間学部紀要』 (通号 4) 2007 pp.75-88 【Z71-P778】)
p.85「3. 研究の考察」に次の記載があります
「(前略)螺旋文様は縄文式土器や唐草模様など、古代からよく使われているが、多くは宗教的意味をもっている。1本の螺旋は中心から外側への方向性と外側から中心への方向性の相反する要素を同時にもち、さらに上下左右の区別がないことから無限を意味し、運動の概念も象徴している。また、螺旋は、はじめも終わりもない実完結なかたちとして、生と死に対する輪廻の思想を表すものである。つまり、古代から人間は螺旋のなかに循環・輪廻・無限を見出し、意味づけていたといえる。」
(6)
金孝卿「日本と韓国の卍字紋と巴紋(太極紋)についての構成学的考察」(『デザイン学研究』 46(4) 1999.11 pp.1-10 【Z11-1454】)
p.6に次の記載があります。
「巴紋と太極紋の両者は地域に限らず、世界の各所にみられるが、両者が象徴している意味をみると、巴紋は生き生きとした「水・生命」の意味と関わっており、太極紋は宇宙の構造である陰陽が表す「合一・統一」の意味が強い。すなわち水と生命と宇宙の象徴は、はじめも終わりもない無限・永遠の世界、人間の心の世界を表した紋様と考えられる。」
(7)大谷満水「ユング心理学を導入した縄文時代の渦巻文の解釈〔含 図〕」(『山梨県立考古博物館・山梨県埋蔵文化財センター研究紀要』 (12) 1996 pp.91-105 【Z8-2362】)
*国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)国立国会図書館内限定公開資料
ユング心理学の方法をもとに渦巻文の解釈を行っています。
[その他の調査済み資料及びデータベース]
・NDL-OPAC(https://ndlopac.ndl.go.jp)
・国立国会図書館サーチ(http://iss.ndl.go.jp)
・国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)
・CiNii Articles(http://ci.nii.ac.jp/)
・J-GLOBAL(http://jglobal.jst.go.jp)
・J-STAGE(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/)
・『心理学』(鹿取廣人, 杉本敏夫, 鳥居修晃 編 第5版 東京大学出版会, 2015.7 【SB21-L132】)
・『心理学総合事典』(海保博之, 楠見孝 監修 ; 佐藤達哉, 岡市廣成, 遠藤利彦, 大渕憲一, 小川俊樹 編集 新装版 朝倉書店 2014.9 【SB2-L10】)
・『視覚心理入門 : 基礎から応用視覚まで』(映像情報メディア学会 編 ; 内川惠二 監修 オーム社 2009.3 【SB71-J29】)
・『知覚と感性の心理学』(三浦佳世 著 岩波書店 2007.10 【SB71-H107】)
・『新編感覚・知覚心理学ハンドブック. pt.2』(大山正, 今井省吾, 和氣典二, 菊地正 編 誠信書房, 2007.9 【SB2-H16】)
・『錯視の科学ハンドブック』(後藤倬男, 田中平八 編 東京大学出版会, 2005.2 【SB71-H53】)
・『縄文の神話』(吉田敦彦 著 増補新版 青土社, 1997.7 【HK71-G11】)
・『土偶と仮面 : 縄文社会の宗教構造』(磯前順一 著 校倉書房, 1994.9 【GB114-E67】)
・『新編感覚・知覚心理学ハンドブック』(大山正 [ほか]編 誠信書房 1994.1 【SB2-E18】)
・『認知の実験発達心理学 : 図形と文字を中心にして』(田中敏隆 著 中央法規出版, 1991.4 【SB71-E26】)
・『絵と図形の心理学』(広田実 著 大明堂 1986.12 【KC22-14】)
・『うずまきは語る : 迷宮への求心性』(千田稔 著 福武書店 1991.5 【K21-E38 】)
※うずまきの根源性、始原性を様々な造形物や芸能・文化に読み解いて、身体論、都市論へと展望する論考となっています。
・『日本の文様 : その成立と展開』(上条耿之介 著 雄山閣 1976 【KC521-94】)
・『現代心理学の課題』(高木貞二 編 東京大学出版会 1971 【SB21-30】)
・『図形認知の発生条件 : -幾何図形同一視を支える個体的条件の実験的分析-』(鹿取広人 著 日本心理学会モノグラフ委員会[ほか] 1968 【SB71-3】)
・田文揚「英文学に超在したケルト伝承文学の異界と神秘性--ケルトの森の記憶と記憶の森(伝承の森羅) 」(『経済文化研究所紀要.』 (13) 2008.5 pp.3-44 【Z3-B547】)
・北岡明佳「幾何学的錯視のリアリティ」(『日本バーチャルリアリティ学会誌』 10(1) 2005.3 pp.8-12 【Z14-B488】)
・三井直樹「印象派絵画に見るフラクタル幾何学」(『デザイン学研究』 46(4) 1999.11 pp.11-18 【Z11-1454】)
・夜久正雄「(縄文)考古学と神話伝説・二篇--「考古学は神話伝説を壊さない」」(『アジア研究所紀要』 (25) 1998 pp.1-36 【Z8-1281】)
インターネット及びデータベースの最終アクセス日は2015年10月6日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・『アイヌ文様』(杉山寿栄男 著 北海道出版企画センター 1974.7 復刻)
・『文様の名前で読み解く日本史』(中江克己 著 青春出版社 2004.11)
・『シンボルの謎バイブル』(ガイアブックス 2009.11)
・『「装飾」の武術文明史』(鶴岡真弓 著 日本放送出版協会 2004.)
・『装飾の神話学』(鶴岡真弓 著 河出書房新社 2000.12)
- NDC
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- 心理学 (140 9版)
- デザイン.装飾美術 (757 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 渦巻図形
- 心理学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000187267