レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20180203
- 登録日時
- 2018/03/26 00:30
- 更新日時
- 2020/03/27 12:22
- 管理番号
- 中央-2017-22
- 質問
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解決
現在の東京国立博物館が所蔵している美術品が、戦時中、いつ、どこへ、何が疎開したのかわかる資料はあるか。皇室所有の国宝も疎開の対象だったのか。
- 回答
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都立DBをタイトル<東京国立博物館>、文献識別<団体史>で検索すると、『東京国立博物館百年史』(資料1)など6件の資料がヒットする。東京国立博物館の公式の記録である資料1に記載されている。
(1)東京国立博物館所蔵品について、どこへ・いつ・何が疎開対象となったか。
資料1の「第五章 復興博物館の開館と戦時下の博物館 第三節 太平洋戦争と博物館」(p.563-584)のうち、次の各項に記載がある。
○「館蔵最優秀品等の奈良移送」(p.565)の項:奈良帝室博物館への移送の日付と点数が記載されている。具体的な品名は、4点以外記載がない。
○「南多摩郡横山村への移送」(p.565-566)の項:宮内省所管の武蔵陵墓地に建設した倉庫(p.570によると「浅川非常倉庫」)へ疎開した品目と点数が記載されている。時期については「年月」のみ。具体的な品名はやはり数点のみの記載。
○「国宝等の分散の強化」(p.568-572)の項:浅川非常倉庫への追加疎開と、福島県翁島の高松宮別邸への移送について記載されている。翁島への移送年月日と点数についても記載がある。
○「収蔵品の大半を疎開」(p.575-580)の項:館内の倉庫と浅川非常倉庫に疎開していたものを京都、岩手、福島に分散疎開させたことが記載されている。浅川非常倉庫からの再疎開については、日付と品目別点数が部分的に記載されている。
また、資料1の別冊「資料編」(資料2)にも疎開品リストにあたるものは掲載されていない。ただ、資料2のp.107に「東京帝室博物館々蔵品並法隆寺献納御物ヲ奈良帝室博物館ニ移送ノ件」という文書が掲載されており、「(前略)合計三百三十五点ヲ貴館ニ移送方別紙写之通(後略)」という文言があるが、「別紙」にあたるものは収録されていない。末尾に「館蔵書類」とある。同様に浅川非常倉庫への移送についてもp.107-108に「当館館蔵品及法隆寺献納并貴重図書武蔵陵墓地内倉庫ヘ移送ニ関スル件」という文書が掲載されており、「(前略)別紙目録ノ品六六三点(後略)」という文言があるが、「別紙目録」にあたるものは収録されていない。やはり末尾に「館蔵書類」とある。
なお、「国宝、重要美術品の防空施設整備要綱」が、資料1のp.569-571に掲載されている。
(2)皇室所有物についても対象であったか。
資料1には、奈良への移送、浅川非常倉庫への移送のいずれにも「法隆寺献納御物」(p.565,566)という語句がある。また、p.578に掲載された、博物館総長から宮内省警衛局あての書類にあげられている疎開先と収納品一覧にも、「三 奈良帝室博物館 収納品 御物ノ中奈良時代ヲ除ク第一等ノ疎開品約三三五点(後略)」「四 浅川非常倉庫 収納品 御物五七点外(後略)」とあるので、皇室所有物も含まれていたようである。いずれも具体的な品名についてほとんど記載がない。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 博物館 (069 9版)
- 芸術政策.文化財 (709 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】東京国立博物館百年史 / 東京国立博物館/編 / 東京国立博物館 , 1973<0691/5/1>
- 【資料2】東京国立博物館百年史 資料編 / 東京国立博物館/編 / 第一法規出版 , 1973<0691/5/2>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000233239