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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

[転記用URL] http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000181801
提供館
(Library)
早稲田大学図書館 (3310007)管理番号
(Control number)
wul-20150928-00
事例作成日
(Creation date)
2015年09月28日登録日時
(Registration date)
2015年09月29日 13時45分更新日時
(Last update)
2017年05月25日 11時19分
質問
(Question)
秋田雨雀による翻訳『露西亜童話集』(大正十年三月二十五日発行)の出版社「矢野博信書房」について知りたい。同書のほか『三大家新修養』を出版しているが、どういった出版社なのか、秋田雨雀との関わりはどういったものか、まったく情報がない。同書はNDLデジタルコレクションで閲覧可能で、奥付から発行者(川津虎之助)、発行所(矢野博信書房)、印刷者(菅井十一郎)とその住所は分かるが、これらの人物についても、分からない。
回答
(Answer)
『露西亜童話集』の出版社は「矢野博信書房」ではなく、川津虎之助の「川津屋」ではないかと考えられる。大正12年1月時点で、川津屋の代表は川津虎之助で、ご指摘の『露西亜童話集』『三大家新修養』のほかに『生殖器研究と新治療法』を出版している(参考資料(1))。川津虎之助は関東大震災で亡くなった可能性が高く(参考資料(2))、川津公一が後を継いで「川津書店」1960年ころまでを経営していたと推測される(参考資料(3))。川津書店は「矢野製本」と取引があった(参考資料(4))が、矢野留吉との関係は不明。
回答プロセス
(Answering process)
【概要】
・早稲田大学中央図書館の参考書架をブラウジング。出版関係の参考図書を調査。
・ブラウジングで発見した参考図書が挙げている「参考文献」のうち、有用そうなものをさらに調査。
・ここまでで、河津虎之助の情報がある程度得られた
・あとを継いだと思われる出版社「川津屋」について調査。件名検索を活用。

【詳細】
1.参考図書の調査
参考図書コーナーの書籍より、以下を調査した。直接有益な情報はなかったが、いくつかの書籍より、その後の調査の参考資料を得た。
・東京書籍商伝記集覧 / 東京書籍商組合 編(青裳堂書店, 1978.4) (参考資料(5))
 ※『東京書籍商組合員図書総目録』(参考資料(1))の情報を得た。
・日本出版百年史年表(日本書籍出版協会, 1968.10)(参考資料(6))
 ※『東京書籍商組合史』その他の情報を得た。
・出版文化人名辞典(日本図書センター, 1988.2)
・出版文化人物事典(日外アソシエーツ, 2013.6)
・出版人物事典 : 明治-平成物故出版人 / 鈴木徹造 著(出版ニュース社, 1996.10)
・日本出版文化史事典 : トピックス1868-2010(日外アソシエーツ, 2010.12)
・『人物レファレンス事典』シリーズ
・『人物レファレンス事典 郷土人物編』

2.国立国会図書館リサーチ・ナビ「出版人の履歴を調べる」
1で調査済みの書籍がほとんどであった。追加調査分も有益な情報はなかった。

3.『東京書籍商組合員図書総目録. 大正12年1月』(参考資料(1))
『東京書籍商伝記集覧』の巻頭で触れられている『東京書籍商組合員図書総目録』を調査したしたところ、『東京書籍商組合員図書総目録. 大正12年1月』にて以下が判明。
 ・川津虎之助は大正12年1月の時点で東京書籍商組合員であり、川津屋という出版社を経営している。
 ・利用者が提示した住所と一致するため、同名異人ではない。
 ・利用者が挙げた『露西亜童話集』『三大家新修養』はこの川津屋が出版社となっており、そのほかに『生殖器研究と新治療法』(大正9)を出版している。
 ・「矢野博信書房」については、東京書籍商組合員名簿に「博信書房 矢野留吉」として、住所の一致する人物がいるが、出版社として「博信書房」「矢野博信書房」は立項されていない。

4.『日本出版百年史年表』の「参考文献」に挙げられている書籍の調査
いくつかの書籍をあたったが、以下で記述を得た。

4-1.『圖書月報』(東京書籍商組合事務所)
大正10年の1-12月号の新刊案内を見たが、『露西亜童話集』がなかった。1月号の名簿には「川津屋(神田)」がある。

4-2.東京書籍商組合史 / 東京書籍商組合 編輯(東京書籍商組合事務所, 1927.6)(参考資料(2))
大正12年の章に関東大震災の情報があり、念のためよく読んでみてみたところ、「追悼会」の名簿に「組合員」として「河津虎之助」とある。河の字が異なるが、先の名簿と合わせて考えると、川津虎之助は関東大震災で死亡した可能性が高いと考えられる。

5.出版書籍商人物事典. 第2巻(金沢文圃閣, 2010.8)(参考資料(3))
早稲田大学図書館所蔵目録(蔵書検索WINE;以下WINE)の件名「出版 -- 日本 -- 伝記」より。「川津 公一」が立項されており、「明治41年7月30日、東京に生る。41歳。中卒後、父の遺業川津書房を経営、今日に至る。元日配外神田営業所次長」とある。同書は『帆刈出版通信』の人名関係部分の復刻で、該当記事は第110号(昭和23年3月4日)の「新評議員の横顔」。

6.蔵書目録における「川津書房」
WINEや国立国会図書館の蔵書検索システム(NDL-OPAC)で出版社を検索してみると、「川津書房」は見つからないが、「川津書店」はある。戦時中は戦記物、戦後初期は赤本(貸本より以前の漫画本)などを扱い、以降は1960年ころまで多数の入門書を出版している。

7.高度成長期の出版社調査事典. 第2巻 / 石川巧 編・解題(金沢文圃閣, 2014.9)(参考資料(4))
WINEの件名「出版 -- 日本 -- 名簿」より。『出版社要録 昭和34年度 第二編』(東京産経興信所、1959年)の復刻。川津書店が立項されており、略歴が分かる。仕入先に「(製本)矢野製本」とあるが矢野留吉との関係は不明。

8.その他
・CiNii Articles、大宅壮一雑誌記事索引、MAGAZINE PLUS、ざっさくプラス、NDLサーチで調べてみたが関連記事や書籍の記述はなかった。NDLサーチで川津公一と引くと『岡本染之助 : 川津正子一周忌のために』(岡本文彌 編、川津書店, 1936.4)で「正子、さやうなら」という記事を川津公一が執筆しているが、関連は薄いと思われる。
事前調査事項
(Preliminary research)
◆ご本人の事前調査内容
・『三大家新修養』の三大家とは大隈重信、三宅雪嶺、渋沢栄一のことで、早稲田大学大学史資料センターに相談して大隈関係の資料をあたってみてもらったが「矢野博信書房」の情報はなかった。
・ご自身でできる範囲で、出版関係の参考図書に当たってみたがわからなかった
・他の所属大学のレファレンスカウンターに相談してみたがわからないとのことだった。
◆Rカウンターでの案内
・大隈以外の二名の、書簡や日記に記載がないか調べてはどうか提案。渋沢栄一は以下の資料が本学所蔵だったので案内。
・当時の『人事興信録』と『日本紳士録』を調べることを提案。
・その他は、お預かりして調べることとなった。
NDC
出版  (023 9版)
参考資料
(Reference materials)
(1)『東京書籍商組合員図書総目録. 大正12年1月』東京書籍商組合事務所、1923.1 ( http://wine.wul.waseda.ac.jp/record=b2207095~S12*jpn )
(2)東京書籍商組合史 / 東京書籍商組合 編輯(東京書籍商組合事務所, 1927.6) ( http://wine.wul.waseda.ac.jp/record=b1250616~S12*jpn )
(3)出版書籍商人物事典. 第2巻(金沢文圃閣, 2010.8) ( http://wine.wul.waseda.ac.jp/record=b3957314~S12*jpn )
(4)高度成長期の出版社調査事典. 第2巻 / 石川巧 編・解題(金沢文圃閣, 2014.9) ( http://wine.wul.waseda.ac.jp/record=b4337322~S12*jpn )
(5)東京書籍商伝記集覧 / 東京書籍商組合 編(青裳堂書店, 1978.4) ( http://wine.wul.waseda.ac.jp/record=b1212254~S12*jpn )
(6)日本出版百年史年表(日本書籍出版協会, 1968.10) ( http://wine.wul.waseda.ac.jp/record=b1196380~S12*jpn )
キーワード
(Keywords)
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
出版 人物
質問者区分
(Category of questioner)
非常勤講師
登録番号
(Registration number)
1000181801解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
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