レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/06/12
- 登録日時
- 2014/10/02 00:30
- 更新日時
- 2014/11/09 11:14
- 管理番号
- 6000004541
- 質問
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解決
歌枕にもなった「邂逅山」という地名が豊中市にあるそうだが、どのあたりか。またこの地名はなんと読むのか。
- 回答
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「邂逅山」は「たまさかやま」と読み、現在の大阪府池田市石橋付近にあたる。豊中市と箕面市の境にある待兼山の西方にあった。
- 回答プロセス
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まず地名の読みについて、『日本歴史地名大系 28-2 大阪府の地名2』(平凡社)の索引を調べるが、音読み「カイコウ」では記載なし。
『日本国語大辞典 第2版』第3巻(小学館)p188「かいこう」を確認すると、邂逅の表記は万葉集などに多く見られるが、「たまさかに」と読まれていたらしい、との記載が補注にあり。
『角川古語大辞典』第4巻(角川書店)p207「たまさか」を確認すると、形容動詞「たまさか(偶・邂逅)」の項と、摂津国豊島郡の西国街道沿い、箕面市瀬川の西南に位置する地名「玉坂」(大阪府池田市石橋)の項があり。後者は「玉坂山」とも呼ばれ、待兼山とともに時鳥(ほととぎす)の名所であったとのこと。「玉坂山」の項目も同頁にあり。
『日本歴史地名大系 28-2』で「たまさか」の地名を調べると、玉坂山は『日本歴史地名大系 28-1 大阪府の地名1』p323に項目があるとのこと。確認すると、邂逅山・適逢山とも書き、千里丘陵の北西端にあたるとの記載があり。元良親王・壬生忠見などの歌に詠まれ、枕草子にも待兼山とともに名が見えるとのこと。同書p143-144「金龍寺(こんりゅうじ)」には、高槻市成合の同寺に能因法師ゆかりの邂逅池(たまさかいけ)があるとの記載もあり。
『文学にみる豊中の古迹』(鹿島友治)p5-8「待兼山 ほととぎすの名所」には枕草子が引用され、「まちかね山」「たまさか山」は一体のものとしてとらえられ、ほととぎすの異名「たまさかどり」からもほととぎすの名所として名高かったと思われる、との記載があり。池田市域であるが待兼山と一体であるとして、摂津名所図会にある玉坂村の伝説についてもふれている。
このほか『大阪府全志 巻之三』(大阪府)p1196-1198「大字玉坂」、『角川日本地名大辞典 27 大阪府』(角川書店)p747-748「玉坂(池田市)」、『大阪府史 第五編 名勝旧跡』(思文閣)p437-439「千里山 附、待兼山、邂逅山、島熊山」にも玉坂山についての記載があり。
また『和歌の歌枕地名大辞典』(おうふう)p1066「玉坂(の)山(摂津)」には、池田市石橋あたりで名所として知られていたが、現在その名で呼ばれる山は不明とあり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 9版)
- 参考資料
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- 『日本国語大辞典 第3巻』小学館国語辞典編集部/編集(小学館)
- 『角川古語大辞典 第4巻』中村 幸彦/編(角川書店)
- 『日本歴史地名大系28‐[2]』(平凡社)
- 『日本歴史地名大系 28‐[1]』(平凡社)
- 『文学にみる豊中の古迹』鹿島 友治/著(鹿島友治)
- 『大阪府全志 巻之3』井上 正雄/著(清文堂)
- 『角川日本地名大辞典 27』「角川日本地名大辞典」編纂委員会/編(角川書店)
- 『大阪府誌 第5編』大阪府/編纂(思文閣)
- 『和歌の歌枕・地名大辞典』吉原 栄徳/著(おうふう)
- キーワード
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- 邂逅山(タマサカヤマ)
- 地名(チメイ)
- 歌枕(ウタマクラ)
- 待兼山(マチカネヤマ)
- 千里丘陵(センリキュウリョウ)
- 大阪府(オオサカフ)
- 池田市(イケダシ)
- 歴史(レキシ)
- 和歌(ワカ)
- 文学(ブンガク)
- 玉坂山(タマサカヤマ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土,地名
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000160484