レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/8/18
- 登録日時
- 2016/09/22 00:30
- 更新日時
- 2017/05/09 13:58
- 管理番号
- B160807200435
- 質問
-
解決
タンポポやヤナギのように種子に綿毛(冠毛)のある植物について、自動散布・被食散布・付着散布・風散布・水流散布といった、散布方法別に編集されている図鑑があれば紹介してください。
また、種子の散布範囲について記載されている資料があれば紹介してください。
- 回答
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1. 種子の散布方法別に編集された資料(図鑑類)について
当館所蔵資料を調査したところ、種子の散布方法別に編集された図鑑類である資料(1)が見つかりましたので、ご紹介します。また、種子の散布方法が付着動物散布(付着散布)である植物について解説した図鑑類である資料(2)が見つかりましたので、併せてご紹介します。
このほか、図鑑類ではなく写真集ですが、種子の散布方法別に編集された資料(3)が見つかりましたので、参考としてご紹介します。
(【 】内は当館請求記号です。以下、同じ。)
(1)
多田多恵子 著. 身近な草木の実とタネハンドブック. 文一総合出版, 2010.9 【RA233-J11】
「都市~近郊で身近に見られる植物222種(近縁種を含む)について」(p.5)解説した資料です。種子について、その散布方法を、「風散布」(風散布の様子に基づき、「ふわふわ」、「ひらひら」、「微細」に細分化しています。)、「水散布」、「自動散布」、「動物散布」(具体的な散布方法として、「付着」、「被食=周食」、「貯食」、「アリ」に細分化しています。)に大別し、排列しています。植物各種の解説では、「種子散布期」として、「植物体上で実が熟したときから散布されて消失するまで(関東基準)」(p.5)の期間を掲載しています。
(2)
北川尚史 監修 ; 伊藤ふくお 写真 ; 丸山健一郎 文. ひっつきむしの図鑑. トンボ出版, 2003.9 【RA233-H5】
「「果実やそれに連なる部分に付着するための構造を特に発達させている植物」を基準に「ひっつきむし」をピックアップした」(p.1、ページ番号の表記なし)資料です。p.82に、「(前略)「ひっつきむし」の散布方法は動物などに付着して散布されるため、付着動物散布 epizoochoryといいます。単に付着散布ということもあります。」とあります。
(3)
香取一 著. 写真で見るたねの旅立ち. 文一総合出版, 1994.11 【RA341-E149】
「PART-1 風に飛ばされて・・・《風散布植物》」(pp.4-27)、「PART-2 水に流されて・・・《水散布植物》」(pp.28-33)、「PART-3 動物に運ばれて・・・《動物散布植物》」(pp.34-51)、「PART-4 はじき飛ばす・・・《自発散布植物》」(pp.52-55)、「PART-5 自然に落下して・・・《重力散布植物》」(pp.56-60)、「PART-6 地下に種子をつくる・・・《地下結実植物》」(p.61)、「PART-7 密航する種子・・・《帰化植物》」(pp.62-63)の7つの項に大別し、各散布方法を採る植物の写真を掲載しています。簡易な解説もあります。
2. 種子の散布範囲に関する記載のある資料について
当館所蔵資料を調査したところ、種子の散布範囲に関する記載のある資料(4)-(6)が見つかりましたので、ご紹介します。
(4)
斎藤新一郎 著. 木と動物の森づくり : 樹木の種子散布作戦 . 八坂書房, 2000.9 【RA241-G29】
「林業における天然更新技術の目安(図45参照)、そして、私の観察体験や推測などから」(p.68)算出した推測値であると断ったうえで、p.69に、「表3 風散布型種子のおおよその飛散距離(推測値)」と題する表を掲載しています。ケショウヤナギやアカマツなど、合計10種類の種子の飛散距離をまとめています。このp.68の文中の「図45」については、p.63に、「図45 トドモミ(トドマツ)種子の風散布の模式図(Hは樹高倍)」と題する図を掲載しています。また、p.62に、「モミ類のように、翼に対して種子本体が大きすぎると、有翼種子であっても、風によっても100メートル程度の近距離しか運ばれず(図45)」とあります。
(5)
小林正明 著. 花からたねへ : 種子散布を科学する. 全国農村教育協会, 2007.2 【RA241-H22】
「Ⅱ 種子散布のさまざまな方法」(pp.44-233)では、「1 風を利用する」(pp.48-102)、「2 動物に散布してもらう」(pp.103-194)、「3 水を利用する」(pp.195-215)、「4 自分の力で散布」(pp.216-233)の4つの項に大別し、各散布方法を採る植物について解説をしています。一部の植物については、種子の散布範囲に関する記述があり、例えば、「1 風を利用する」のp.50には、「ヤナギランは本州中部以北の高原の草原に分布するアカバナ科の多年草である。(一部略)この種子は毛に比べてもよく見えないぐらい小さく、遠くまで飛ぶことができる。そのためかユーラシア大陸北部、北米などと北極の周りに広く分布する。」とあります。また、p.51には、ムクゲという植物の種子について、「散布力も弱く、飛ぶのは数m以内である。」とあります。
(6)
デービッド・アッテンボロー 著 ; 門田裕一 監訳 ; 手塚勲, 小堀民惠 訳. 植物の私生活. 山と溪谷社, 1998.4 【RA241-G11】
ハネフクベという植物の種子について、p.19に、「種子の両側には透き通って見えるほどの薄い翼がついています。(一部略)翼が非常に大きいので,翼面荷重はとても小さく,一度滑空をはじめると,ゆっくりゆっくり下降し,100メートル以上も旅をすることができます。実際には,森の中でそんな距離を飛ぶことはめったになく,たいてい途中でほかの木の枝などに衝突してしまいます。これで平衡を失った種子は,ほぼまっすぐにひらひらと墜落していきます。」とあります。
[その他の調査済み資料及びデータベース]
・浅井元朗 著. 植調雑草大鑑 = WEEDS OF JAPAN IN COLORS. 全国農村教育協会, 2015.2 【RA5-L54】
・岩槻秀明 著. 雑草・野草の暮らしがわかる図鑑. 最新版. 秀和システム, 2014.12 【RA5-L51】
・[牧野富太郎] [著] ; 邑田仁, 米倉浩司 編. APG原色牧野植物大図鑑 = APG MAKINO’S ILLUSTRATED FLORA IN COLOUR. 2 (グミ科~セリ科). 北隆館, 2013.3 【RA5-L9】
・鈴木庸夫, 高橋冬, 安延尚文 共著. 草木の種子と果実 : 形態や大きさが一目でわかる植物の種子と果実632種. 誠文堂新光社, 2012.9 【RA5-J128】
・田中修 著. タネのふしぎ : タネは光の色を見分けるか?「不老長寿の秘薬」と呼ばれるタネは?. ソフトバンククリエイティブ, 2012.7 【RA233-J16】
・ロブ・ケスラー, ヴォルフガング・シュトゥッピー 著 ; 奥山雄大 監修 ; 武井摩利 訳. 世界で一番美しい種子図鑑 : キュー王立植物園公認. 創元社, 2012.5 【YQ19-J50】
・[牧野富太郎] [著] ; 邑田仁, 米倉浩司 編. APG原色牧野植物大図鑑 = APG MAKINO’S ILLUSTRATED FLORA IN COLOUR. 1 (ソテツ科~バラ科). 北隆館, 2012.4 【RA5-J117】
・岡本素治 監修 ; 佐治康生 撮影. 種子のデザイン = SEED DESIGN : 旅するかたち : SHAPES FOR TRAVELING. LIXIL出版, 2012.4 【RA233-J14】
・菱山忠三郎 写真と文. 身近な野草・雑草 : ワイド図鑑 : 季節ごとの姿・形・色がこれ一冊でわかる画期的な図鑑!. 主婦の友社, 2010.4 【RA5-J54】
・林弥栄 編・解説 ; 畔上能力, 菱山忠三郎 解説. 日本の野草. 増補改訂新版 / 山と溪谷社, 2009.11 【RA5-J64】
・石井龍一, 岩槻邦男, 竹中明夫, 土橋豊, 長谷部光泰, 矢原徹一, 和田正三 編. 植物の百科事典. 朝倉書店, 2009.4 【RA211-J20】
・岩槻秀明 著. 街でよく見かける雑草や野草のくらしがわかる本 : 300種超の写真で見る生態図鑑 : Handy & color illustrated book. 秀和システム, 2009.4 【RA5-J19】
・牧野富太郎 原著 ; 大橋広好, 邑田仁, 岩槻邦男 編. 新牧野日本植物圖鑑. 北隆館, 2008.11 【RA5-J12】
・中西弘樹 著. 海から来た植物 : 黒潮が運んだ花たち. 八坂書房, 2008.6 【RA255-J39】
・久保田修 構成・著. 山の花 : 山の花800種イラストでちがいがわかる名前がわかる : 自然発見ガイド. 学習研究社, 2008.6 【RA5-J7】
・浅野貞夫 著. 原色図鑑芽ばえとたね : 植物3態/芽ばえ・種子・成植物. 新装版. 全国農村教育協会, 2005.5 【RA5-H68】
・堀田満, 緒方健, 新田あや, 星川清親, 柳宗民, 山崎耕宇 編. 世界有用植物事典 = Useful plants of the world. オンデマンド版. 平凡社, 2002.8 【RA2-J54】
・多田多恵子 著. したたかな植物たち : あの手この手の(秘)大作戦. エスシーシー, 2002.4 【RA241-H1】
・鷲谷いづみ 文 ; 埴沙萠 写真. タネはどこからきたか?. 山と溪谷社, 2002.3 【RA221-J1】
・中山至大, 井之口希秀, 南谷忠志 著. 日本植物種子図鑑. 東北大学出版会, 2000.2 【RA5-G95】
・上田恵介 編著. 種子散布助けあいの進化論. 1. 築地書館, 1999.12 【RA141-G50】
・上田恵介 編著. 種子散布助けあいの進化論. 2. 築地書館, 1999.12 【RA141-G50】
・石川茂雄 著. 原色日本植物種子写真図鑑. 石川茂雄図鑑刊行委員会, 1994.5 【RA341-E142】
・松井利一 著. タネの素顔 : 植物写真集. ぎょうせい, 1991.7 【RA341-E72】
・中西弘樹 著. 海流の贈り物 : 漂着物の生態学. 平凡社, 1990.7 【RA141-E16】
・NDL-OPAC (https://ndlopac.ndl.go.jp/)
・国立国会図書館サーチ (http://iss.ndl.go.jp/)
・国立国会図書館デジタルコレクション (http://dl.ndl.go.jp/)
・JDreamⅢ [当館契約データベース]
・ジャパンナレッジ Lib [当館契約データベース]
・CiNii Books (http://ci.nii.ac.jp/books/)
・CiNii Articles (http://ci.nii.ac.jp/)
・J-GLOBAL (http://jglobal.jst.go.jp/)
インターネット及びデータベースの最終アクセス日は2016年8月12日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・『日本植物種子図鑑』(東北大学出版,2004年)
・『種子はひろがる』(中西弘樹/著,平凡社,1994年刊)
- NDC
-
- 種子植物 (477 9版)
- 一般植物学 (471 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 種子
- 散布
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000197198