レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/6/24
- 登録日時
- 2016/07/21 00:30
- 更新日時
- 2016/07/21 00:30
- 管理番号
- C160615100523
- 質問
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解決
個人賠償責任保険の約款に、保険の対象として「被保険者の日常生活に起因する偶然な事故。ただし、住宅以外の不動産の所有、使用または管理に起因する事故を除きます。」という規定があり、この「ただし」以下の文言は、他の保険会社の個人賠償責任保険でもほとんど同じ内容で規定されているようだ。この「ただし」以下の規定について、発売当初からあったのか、発売当初はなかった場合は、改定・加筆されるようになった時期、理由について知りたい。なお、事前の調査により、具体的な約款は最も古いもので1959年のものを確認している。
- 回答
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下記の資料及びデータベースを確認しましたが、個人賠償責任保険約款(又は賠償責任保険の個人特別約款)のただし書きが発売当初からあったのか、いつごろから改定・加筆されるようになったのか、その理由、という3点について、断言するに至る情報は得られませんでした。
なお、追加情報として、参考までに資料(1)~資料(7)を御紹介します。
【】内は当館請求記号です。また、インターネットの最終アクセス日は2016年6月21日です。末尾に*が付された資料は、国立国会図書館デジタルコレク ションに収録されており、国立国会図書館及び図書館送信参加館内で公開しています。末尾に**が付された資料は、国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、国立国会図書館内で公開しています。
資料(1) 「「賠償責任保険」について」『月刊保険評論』10(2)(102) 保険評論社, 1958.2, pp.21-24 【Z3-106】*
資料(2) 「賠償責任保険の解説」『保険界』11(3) 保険界社, 1958.3, pp.21-24 【Z3-107】*
個人特別約款についても触れられていますが、「住宅以外の不動産は除く」等の記述は記載されていません。
資料(3) 日本損害保険協会企画課「昭和34年度損害保険事業年誌」『損害保険研究』22(3) 損害保険事業総合研究所, 1960.8, pp.129-167 【Z3-404】*
「v 賠償責任保険」(pp.163-164)で、「賠償責任保険は、三三年度すでに営業を開始していた東海・安田・住友三社に次いで、三四年度に入って同和・日産・千代田の三社が新たに営業を開始するに至った」とし、「同和社の場合は、普通約款それ自体完全な契約内容を備えており(施設所有責任・請負業者責任を担保)、特約は、さらにそれらに加え、飲食物、保管物およびゴルフに対する各責任を拡張担保しているのが特徴である。」など、一部の会社の賠償責任保険の特徴を述べていますが、「個人特別約款」に関する記述はありませんでした。会社によっては、認可当時の損害賠償保険に個人特別約款またはそれに類する項目を含んでいない可能性もありますが、これを断定するに至る記述はありませんでした。
資料(4) 長崎正造『損害保険』有斐閣, 1962 【339.5-N187s】*
「VI 新しい損害保険」の「5 賠償責任保険」の「(ホ)個人特別約款」(p.142)に、「個人の住宅の所有、使用等および日常生活において起こる賠償事故(職務遂行にかかるものは除かれる)」という記述があります。
資料(5)損害保険事業研究所編『損害保険事業研究所叢書. 第20集』損害保険事業研究所, 1962 【339.5-So6452】*
「第二章 米英に於ける賠償責任保険」の「(1)米国における賠償責任保険」(pp.11-15)で、「我国の賠償責任保険普通保険約款及び特別約款の形式、文言は在来の多種保険の形式、文言に従っているが、内容的には主として米国のそれにならっている」とし、元となったとされる米国の“Public Liability Insurance”の内容を紹介しています。“(C) Personal Liability Insurance”(p.14)の“Personal Liability policy”で「個人の私生活上の行為によって第三者に与えた賠償損害を担保する。住宅の内外は問わない。」、“Residence Liability Ins.”で「個人の住宅の所有者もしくは貸借人が、その土地、建物の瑕疵もしくは欠陥によって第三者に与えた賠償損害を担保する」という記述がありますが、ただし書きの形では記述していません。
資料(6)坂元毅編『損害保険便覧. 1967年版』文雅堂銀行研究社, 1967 【339.5-So6453】*
第8章「賠償責任保険」の第3節「特別約款の解説」の「7.個人特別約款」(pp.457-458)の「(1)契約の対象」に「この契約は個人が私生活を営むうえで負担する賠償責任を対象とする。」という記述が、「(2)てん補する損害」に、「被保険者が居住する住宅の管理その他日常生活において生ずる偶然の事故に起因して負担する法律上の賠償責任であり」という記述があります。また、「(3)てん補しない損害」に「普通約款に定める免責事由のほか、特別免責の主要なものは次のとおり。A 職業上の行為によって生じた賠償損害 B 航空機、船、自動車、昇降機、銃等で生じた賠償損害 C 飲食物中毒 D 住宅の修理、改修、取り壊し等の工事により生じた賠償損害」という記述があります。
資料(7)「統一化を図る(賠償責任個人特別約款)」『インシュアランス』6月号第4集(2601) 保険研究所, 1973.6, p.3 【Z3-133】*
「損保各社は、賠償責任保険の個人特別約款改訂について十二日、大蔵省に認可申請した。」、「各社まちまちであった賠償責任保険個人特別約款を統一したものである。」という記述がありますが、詳しい内容については記載されていません。
(その他調査済み資料及びデータベース)
・日本損害保険協会企画課「昭和三十二年度損害保険事業年誌」『損害保険研究』20(3) 損害保険事業総合研究所, 1958.8, pp.223-259 【Z3-404】*
・日本損害保険協会企画課「昭和三十三年度損害保険事業年誌」『損害保険研究』21(3) 損害保険事業総合研究所, 1959.8, pp.223-263 【Z3-404】*
・『損保15年史 : 昭和20年8月-35年8月』保険毎日新聞社, 1960 【339.5-H6164s】**
・日産火災海上保険株式会社社史編纂室編『五十年史』日産火災海上保険, 1961 【339.5-N861g】**
・安田生命保険相互会社社史編纂委員会編『八十年史』安田生命保険, 1961 【339.4-Y591h】**
・芥潤一『新種保険 : その過去・現在・将来』保険研究所, 1963 【339.5-A411s】*
・日本保険業史編纂委員会編『日本保険業史. 総説編』保険研究所, 1968 【DF411-1】*
・国立印刷局編『官報』昭和48年 (通号 13942)-(通号 13953) 国立印刷局編, 1973 【CZ-2-2】
・『損害保険の実務相談』有斐閣, 1974 【DF431-17】
・千代田火災海上保険株式会社社史編纂委員会編『千代田火災八十年史』千代田火災海上保険, 1978 【DH22-871】
・日本保険業史編纂委員会編『日本保険業史. 会社編 上巻』保険研究所, 1980 【DF411-1】
・日本保険業史編纂委員会編『日本保険業史. 会社編 下巻』保険研究所, 1982 【DF411-1】
・日本損害保険協会会史編集室編『日本損害保険協会70年史』日本損害保険協会, 1989.6 【D3-E163】
・基本行政通達編集委員会編『基本行政通達, 平成4年5月21日加除 23-2 金融・保険 銀行(2)・保険』帝国地方行政学会, 1974-[2000] 【CZ-311-1】
・NDL-OPAC(https://ndlopac.ndl.go.jp/)
・国立国会図書館サーチ(http://iss.ndl.go.jp/)
・CiNii Books(http://ci.nii.ac.jp/books/)
・CiNii Articles(http://ci.nii.ac.jp/)
・国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/)
・J-stage(https://www.jstage.jst.go.jp/)
・裁判判例情報(http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1)
・TKCローライブラリー(当館契約データベース)
・D1-Law.com(当館契約データベース)
・官報情報検索サービス(当館契約データベース)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
・「個人特別約款」(コープ共済)(http://coopkyosai.coop/about/work/pdf/tasukeai_kojin_tokubetsu.pdf)
・「ゴルファー保険、個人賠償責任保険、ハンター保険 普通保険約款、特別約款、特約」(東京海上日動)(http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/pdf/golf_yakkan_131001.pdf)
・『新種保険約款集 損害保険基本講座』(損害保険事業総合研究所 1990)
・『損害保険実務講座 第7巻 新種保険(上)』(東京海上火災保険株式会社/編 1989 有斐閣)
・『賠償責任保険の理論と実務』(日産火災海上保険株式会社/編 1978 海文堂)
・『損害保険実務講座 第7巻 保険関係法規約款集(改訂増補)』(東京海上火災保険企画室/編集 有斐閣 1959)
・『損害保険実務講座 第7巻 保険関係法規約款集』(東京海上火災保険企画室/編集 有斐閣 1955)
・『火災保険論』(加藤由作/著 新紀元社 1950)
・『賠償責任保険の理論と実務』(日産火災海上保険/編 海文堂 1978.9)
・「日本の生産物賠償責任保険の問題点」(本間靖敏/著 『損害保険研究』 34(1) 1972.2 pp.117-149
・『住友海上火災保険株式会社百年史 1893-1993』(日本経営史研究所/編集 住友海上火災保険 1995)
・『大正海上火災保険株式会社四十年史』(大正海上火災保険株式会社/編集 大正海上火災保険 1961)
・『東京海上火災保険株式会社百年史 下』(日本経営史研究所/編集 東京海上火災保険 1982)
・『三井海上火災保険株式会社七十五年史』(日本経営史研究所/編集 三井海上火災保険 1996)
・CiNii Articles(http://ci.nii.ac.jp/)
・一般社団法人「損害保険協会」(http://www.sonpo.or.jp/)
- NDC
-
- 保険 (339 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 損害保険
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000195042