レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/11/14
- 登録日時
- 2018/03/12 00:30
- 更新日時
- 2018/03/13 09:19
- 管理番号
- 千県中参考-2017-30
- 質問
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未解決
草取り等の地域活動に参加しない住民に対して、自治会がお金を徴収することについて、判例や関連資料はあるか。
- 回答
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問合せのようなケースで徴収するお金を「罰金」「負担金」「出不足金」等と呼ぶことがあるようです。このことについて説明した資料・ウェブサイトがありましたので紹介します。
【資料1】『町内会のすべてが解る 「疑問」「難問」100問100答』(中田実・山崎丈夫・小木曽洋司・小池田忠共著 じゃこめてい出版 2008)
p. 142「Q80 地区内の清掃などに欠席するとお金を取られますが、納得できません。」
「町内の共同作業に都合がつかなくて欠席すると、一定額の負担金を徴収する地域もある」ことについて、本文の執筆者(Y)は、「地域の共同管理は、住民の粘り強い努力のもとに、自分たちが中心になって行うのだという主体性を高めながら発展していくものです。地域の秩序維持のためとして、罰金や処罰で対応するやり方はふさわしくありません」と述べています。判例や参考文献は挙げられていません。
【資料2】「「自治会」加入は義務なの? 月イチ掃除、罰金なんてムリです【小町の法律相談】」(弁護士ドットコムライフ)(取材協力弁護士:五十部紀英弁護士)(2016年6月3日)
(https://c-1012.bengo4.com/c_1110/li_242/)
自治会を強制加入団体ではないと判断した判例(最高裁平成17年4月26日判決)や、自治会への参加及び会費の支払いを強制したことが「不法行為にあたる」とした判例(福岡高裁平成26年2月18日判決)が紹介されていますが、地域活動の欠席者に対するお金の徴収については、関連する法令や判例は示されていません。
「自治会に加入して規約に同意した場合(中略)自治会の活動に参加できないときの罰金なども、それが規約に書かれている場合は、公序良俗に反するようなあまりにも不当な内容でない限り、支払わなければならない可能性が高い」と説明されています。
【資料3】「電子提言箱 河川清掃の出不足金について」(佐賀市建設部河川砂防課維持係)(平成25年10月28日回答)
(https://www.city.saga.lg.jp/teigen/index.php?action=detail&uid=38560)
「出不足金については、自治会等において会員相互の負担義務の公平・平等を前提に規約等で定めてある場合があります。出不足金の金額も自治会によって様々なようですし、出不足金を定めていない自治会もございます。」
【資料4】「自治会長コミュニティハンドブック(平成29年度版)」
(磐田市自治会連合会・磐田市自治市民部地域づくり応援課)
(http://www.iwatashi-jichikai.jp/files/%E4%BF%AE%E6%AD%A3%E7%89%88%EF%BC%A829%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF.pdf)
p. 11「Q5 自治会活動に参加しない会員に対して、出不足金をとってもいいの?」
「A5 本来、自治会活動は自主的に参加するものですが、自治会活動に参加しない会員に対して出不足金をとっている自治会もあるようです。(中略)一律な対応ではなく、活動に参加できない理由の内容によっては、出不足金を免除するなど柔軟に対応していくことが望ましいでしょう。」
【資料5】「安曇野市コミュニティマニュアル」(平成29年2月 安曇野市区長会)
(https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/25735.pdf)
p. 20-21「常会・町内会等、区の支え合いシステム>支え合いの仕組み>区費や役員の免除」
「後期高齢者や身体の不自由な方の区費や役員などの免除も検討します。(例)高齢者独り住まい世帯:出不足金免除、生活困窮者:出不足金免除など」
なお、関連する判例は見つかりませんでした。
(インターネット最終アクセス:2018年1月31日)
- 回答プロセス
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千葉県立図書館の蔵書検索システムで件名「自治会」と検索しました。【資料1】のほか、以下の資料にも当たりましたが、関連する記述は見当たりませんでした。
『町内会の研究』(岩崎信彦[ほか]編 御茶の水書房 1989)
『新自治会・町内会モデル規約 条文と解説』(中田実著 自治体研究社 2004)
『コミュニティ自治の理論と実践』(前山総一郎著 東京法令出版 2009)
『自治会、町内会等法人化の手引』(地縁団体研究会編集 ぎょうせい 2015)
「千葉県内図書館横断検索」で県内市立図書館の蔵書を同様に検索し、以下の資料の内容を確認しました。しかし、関連する記述は見当たりませんでした。
『町内会は義務ですか コミュニティーと自由の実践』(紙屋高雪著 小学館 2014)
『運営からトラブル解決まで自治会・町内会お役立ちハンドブック』(水津陽子著 有楽出版社 2015)
『あなたの「町内会」総点検 地域のトラブル対処法』(佐藤文明著 緑風出版 2010)
『誰でもわかる自治会・PTA会計マニュアル』(岩崎淳著 東洋出版 2002)
『初めてでもできる「会計」 自治会・町内会 すぐに役立つ実践会計マニュアル』(宮田昌一執筆 朝日出版社 2011)
検索エンジンで「自治会」「町内会」「不参加」「欠席」「徴収」「規約」「会則」等のキーワードで検索して、関連情報に当たりました。その過程で、問合せのようなケースで徴収するお金を「罰金」「負担金」「不勤料」「出不足金」等と表現することがわかりました。これらのキーワードを組み合わせて再検索しました。
その結果【資料2】から【資料5】に、参考になりそうな記述がありました。
「D1-Law.com第一法規法情報総合データベース」(https://www.d1-law.com/)
の「判例体系」と「法律判例文献情報」で、上と同じキーワードで検索しました。また、【資料2】で紹介されていた以下の判例2件から、各々の「連想判例」や「この判例を引用する判例」を参照しました。しかし、問合せのようなケースに該当する判例は見当たりませんでした。
平成17年4月26日/最高裁判所第三小法廷/判決/平成16年(受)1742号(『判例時報』1897号ほか)
平成26年2月18日/福岡高等裁判所/第1民事部/判決/平成25年(ネ)927号(『判例時報』2221号)
- 事前調査事項
- NDC
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- 地方自治.地方行政 (318 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『町内会のすべてが解る 「疑問」「難問」100問100答』(中田実・山崎丈夫・小木曽洋司・小池田忠共著 じゃこめてい出版 2008)(2102199621)
- 【資料2】「「自治会」加入は義務なの? 月イチ掃除、罰金なんてムリです【小町の法律相談】」(弁護士ドットコムライフ)(取材協力弁護士:五十部紀英弁護士)(2016年6月3日)(https://c-1012.bengo4.com/c_1110/li_242/)
- 【資料3】「電子提言箱 河川清掃の出不足金について」(佐賀市建設部河川砂防課維持係)(平成25年10月28日回答)(https://www.city.saga.lg.jp/teigen/index.php?action=detail&uid=38560)
- 【資料4】「自治会長コミュニティハンドブック(平成29年度版)」(磐田市自治会連合会・磐田市自治市民部地域づくり応援課)
- 【資料5】「安曇野市コミュニティマニュアル」(平成29年2月 安曇野市区長会)(https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/25735.pdf)
- キーワード
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- 自治会(ジチカイ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献調査
- 内容種別
- 法情報
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000232422