レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/12/22
- 登録日時
- 2019/08/07 00:30
- 更新日時
- 2019/08/09 00:30
- 管理番号
- 6001038555
- 質問
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未解決
箕形如庵(みかたじょあん)について書かれている文献を探している。
箕形に師事していたという北村季吟の『湖月抄』は調べたが、他に出自や文筆活動などについて書かれている資料はないか。
- 回答
-
調査したところ、ほとんどの資料は『湖月抄』の凡例に基づいた記述で、出自や文筆活動など記した資料は見つかりませんでした。
その中でも一番記述が詳細だった資料を紹介します。
・『国書人名辞典 第4巻』(市古貞次/[ほか]編 岩波書店 1998.11)
箕形如庵(みのかたじょあん)の項目には、「国学者 [生没]生没年未詳。江戸時代前期の人。[名号]号、如庵。[経歴]三条西公条・同実枝から源氏学を相伝して八条宮智仁講説したという。また北村季吟に伝授した」と書かれています。また著作には、疑問があるとしながら『源氏講釈聞書』が挙げられています(p.491)。
※名前の読みが「みのかたじょあん」となっています。
因みに『源氏物語注釈書・享受史事典』(伊井春樹/編 東京堂出版 2001.9)では、『源氏講釈聞書』の著者については「不詳」と記されています(p.141)。
なお、箕形如庵が如庵宗乾という人物と同一人物ではないかと考証している論文がありました。そこには、如庵に係る著作や医者ではないかと推定している記述などがあります。考証論文ですが参考までに紹介します。
・宮川真弥「伝北村季吟筆『源語秘訣』と箕形如庵宗乾」『語文』104(大阪大学国語国文学会 2015.6.30)p.31-44
「はじめに」の項には、「従来未詳とされてきた季吟の源氏学の師・箕形如庵が、『徒然草寿命院抄』などの開版者である「如庵宗乾」と同一人物であることを指摘する」との記述があります(p.31)。
また「三 箕形如庵宗乾について」の項には、如庵宗乾は「医師であらうと推定してゐたが、本書(稿者注:『証類本草序列』)を先づ活字印行してゐる事実に拠つて、その推定は裏書されると言つてよい」という、『増補古活字版之研究』からの引用文が掲載されています(p.37)。
※「みかたじょあん」とルビがふられています。
また、インターネットで公開されている論文もあります。
・宮川真弥「北村季吟の源氏学(二) : 附・日本大学総合学術情報センター蔵『源氏物語微意 中』翻刻 」『詞林』58(大阪大学古代中世文学研究会 2015.10)p.37-84(2019/5/5確認)
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/54448/shirin58_037.pdf
上記論文と同一著者による論考で、「「如庵宗乾」は、『湖月抄』「凡例」に記される季吟の源氏学の師「箕形如庵」と同一人物と考えられる。秦宗巴『徒然草寿命院抄』の刊記「慶長九暦閼逢執除姑洗良辰/日東 洛陽如庵〈宗乾〉刊行」などに見える開版者「如庵宗乾」とも同一人物と推定される。なお、この開版者「如庵宗乾」は医師であろうと推定されている」との記述があります(p.41)。
・『古活字版之研究 上巻 増補』(川瀬一馬/著 The Antiquarian Booksellers Association of Japan 1967.12)
上記2点の論文に引用されている資料で、「如庵宗乾も医師であるか、又は医師と頗る関係の深い者と認められる」と記されています(p.330)。
[事例作成日:2019年5月5日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (281 10版)
- 参考資料
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- 国書人名辞典 第4巻 市古/貞次∥[ほか]編 岩波書店 1998.11 (491)
- 語文 大阪大学文学部国文学研究室 大阪大学国語国文学会 9999 (31-44)
- 古活字版之研究 上巻 増補 川瀬/一馬∥著 The Antiquarian Booksellers Association of Japan 1967 (330)
- https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/54448/shirin58_037.pdf (宮川真弥「北村季吟の源氏学(二) : 附・日本大学総合学術情報センター蔵『源氏物語微意 中』翻刻 」『詞林』58(大阪大学古代中世文学研究会 2015.10)p.37-84(2019/5/5確認))
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物・団体
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000259853