レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009/09/06
- 登録日時
- 2010/01/24 02:10
- 更新日時
- 2010/01/26 13:03
- 管理番号
- 埼浦-2009-046
- 質問
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解決
埼玉県内の山間部などで、どの集落がなくなったかをまとめた報告書はあるか。過疎化やダム建設、農林業の不振等でなくなった集落は多いのではないか。
- 回答
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埼玉県農林部農地活用推進課、埼玉県企画財政部地域政策課に問い合わせたが、どの集落がなくなったかをまとめた報告書は刊行しておらず、なくなった集落もわからないとの回答を得る(2009/05)。
なくなった集落を網羅的に把握することは困難なため、一部該当する記述のあった資料、および参考として以下の資料を紹介した。
①合角ダム
『秩父合角ダム水没地域総合調査報告書 上巻 自然編』(合角ダム水没地域総合調査会 1992)
p101-「第1章 概説」、p106-「第2章 各論」に水没地域の記述があり。
『村とダム 水没する秩父の暮らし』(山口美智子 すずさわ書店 1997)
合角ダムの建設によって水没する日尾、合角、塚越、女形の地域の人々から聞き書きした資料。世帯配置図が掲載されている。
『吉田町過疎地域活性化計画』(吉田町 1990)
p48「塚越地区に建設中の県営合角ダムは、現在水没家屋の移転、道路の付け替え工事等が進行中であり」との記述があり。
②滝沢ダム
『秩父滝沢ダム水没地域総合調査報告書 上巻 自然編』(滝沢ダム水没地域総合調査会 1994)
p14-15「滝沢ダムの概要」に、「移転戸数と移転先」として地区名の記述がある。
③下久保ダム
『下久保ダムの記録』(下久保ダム連合対策委員会 1970)
記録写真集。参考になる情報としては、「補償要求計画書」、巻末に「下久保ダム連合対策委員会交渉の経過(「下久保ダム工事誌」より抜粋)」が掲載されている。ただし「下久保ダム工事誌」は未所蔵のため確認できず。
『下久保ダム周辺の環境整備事業』(玉田享 〔埼玉県立浦和図書館(製作)〕〔1981〕)
p3「下久保ダムの概要」に水没補償関係として、水没戸数の記述がある。
『神泉村過疎地域振興計画』(神泉村 〔1974〕)
p1「昭和44年完成した下久保ダム建設により、矢納の通称西部地区の約60戸が転出」
『下久保ダム水没地の民俗 群馬県民俗調査報告書 7』(群馬県教育委員会 1965)
p148-152「水没する部落とその概要」には、群馬県域の記述のみ。埼玉県の水没地域については、p145に「神泉村矢納、吉田町太田部」とあるのみ。
④有間ダム
『有間ダム工事誌 総説編』(埼玉県土木部ダム砂防課 1987)
p117-「4.用地及び補償」の章に移転にかかる補償について記述がある。p117に、「一般補償の対象物件のうち、ダム・貯水池等に関する土地はほとんど民有林であった。また水没家屋は皆無であったが、ダム下流の土捨場造成に伴い14戸の家屋移転が生じた。」とある。
⑤浦山ダム
該当する資料は見あたらなかった。調査済み資料を回答プロセスにあげる。
⑥二瀬ダム
『荒川 人文 荒川総合調査報告書3』(埼玉県 1988)
p656-664「水没集落『二瀬』」に、二瀬ダム建設によって水没した二瀬集落について、詳細な解説が掲載されている。p657に水没直前の二瀬の家屋分布図もある。
⑦権現堂調節池
『権現堂調節池工事誌』(埼玉県権現堂調節池建設事務所 1992)
p327-「第9章用地補償」に詳しい記述がある。p330-333「補償交渉経過」年表を見ていくと、地区名が掲載されている。p334「地元組織の状況」にも地区名が掲載されている。
⑧河川に関係する資料
榎本文岳、大島利雄「〈現地研修会〉久下集落の一考察」(『熊谷市郷土文化会誌 57』p88-91)
p89「昭和22年カスリン台風の被害を経て、移転問題が進み、昭和56年に新川村はなくなった。」
大島利雄「廃村新川物語り」(『熊谷市郷土文化会誌 50』p86-91)
上記新川村について記述があり。
『荒川 人文 荒川総合調査報告書3』(埼玉県 1988)※前掲資料
p291-330「荒川改修に伴う集落の移動」に、6地点の調査報告が掲載されている。
⑨その他
『過疎辺地地域問題調査報告書 埼玉県過疎地域に係る振興及び辺地地域における公共的施設の整備に関する調査研究』(過疎地域問題調査会 1983)
p87「表1-1 埼玉県における辺地及び調査対象辺地」は、なくなった集落ではないが、どのような辺地があるかの参考になる。
p88「図1-1 埼玉県における辺地の分布状況」地図上で辺地の位置が示されている。
『限界集落と地域再生』(高知新聞社 2008)
「46 都道府県別自治体間格差分析表 埼玉県の部」:p186-187(1960-2000年)、p188-189(2000-2030年)あり。市町村別の人口規模がわかる。
『秩父浦山ぐらし』(黒倉正雄 新宿書房 2005)
p103-105「嶽部落」の項に、過疎になったこの地域について記述がある。
『新編埼玉県史 通史編7 現代』(埼玉県 1991)
p776「三過疎地域指定」の項によると、「全国的な過疎化の現象に対応して、昭和45年(1970)4月『過疎地域対策緊急措置法』(55年に『特別措置法』となる)がつくられた。この年3月、県農林部により『山村丘陵地域立体開発調査報告書』がつくられ、これが基礎資料となって過疎地域が指定された。46年までに秩父郡の両神村と大滝村、児玉郡の神泉村の三村が指定をうけた。」とある。本書は県立未所蔵のため確認できず。埼玉県立文書館で収蔵している。
p780に、「51年の県農林部の『山村振興計画と実績』によれば、振興施策として次のような点があげられている。」とある。本書は県立未所蔵のため確認できず。同書の正式書名は、『山村振興対策(第1期対策)の計画と実績』で、埼玉県立文書館で収蔵している。
- 回答プロセス
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自館目録および埼玉雑索をキーワード〈過疎 or 山村 or 離村 or 廃村 or 集落 or 中山間 or ダム〉で検索した結果、該当する資料および参考資料は回答にあげた。
以下は、該当記述の見あたらなかった資料。
キーワード〈過疎〉
『埼玉県過疎地域活性化方針』(埼玉県 1990)『大滝村過疎地域自立促進計画(前期) 平成12-16年度』(大滝村 〔1999〕)『大滝村過疎地域活性化計画』(大滝村 〔1990〕)『神泉村過疎地域活性化計画 平成2年度-平成6年度』(神泉村 〔1990〕)『神泉村過疎活性化計画 平成7年度-平成11年度』(神泉村 〔1995〕)『名栗村過疎地域活性化計画』(名栗村 〔1990〕)『両神村過疎地域振興計画』(両神村 〔1985〕)『両神村過疎地域活性化計画』(両神村 〔1990〕)『過疎地域問題調査報告書』(過疎地域問題調査会 1974)『山村における挙家離村についての調査報告』(埼玉県農業会議 〔不明〕)『秩父山塊はなげく 過疎とダムの問題』(新人物往来社 1981)
山口勝己「過疎地域の現況と振興の方向」(『埼玉自治 1983.10』p14-19)
鈴木健二「過疎についての過疎なる情報」(『埼玉自治 1993.7』p42-43)
根岸清平「過疎村の立場から」(『埼玉自治 1972.4』p6-8)
町田真之亮「〈首長のひろば〉むずかしい過疎化打開の道-林業経営苦しく模索続く」(『埼玉自治 1978.6』p36-39)
新井賢清「〈写真〉過疎-若御子部落」(『文芸秩父 2』p32-34)
キーワード〈山村〉
『秩父地区山村的農業集落の実態』(関東農政局埼玉統計情報事務所 1986)『農山村地域の振興に関する調査』(埼玉県社会経済総合調査会 1976)
キーワード〈離村〉
『山村における挙家離村についての調査報告』※前掲資料
キーワード〈廃村〉
回答にあげた「廃村新川物語り」(『熊谷市郷土文化会誌』)のみ。
キーワード〈集落〉
『埼玉の農業集落 昭和58年2月』(埼玉農林統計協会 1983)『武蔵野の集落』(古今書院 1954)『農村集落生活環境整備実験事業報告書 騎西町名倉地区』(埼玉県行田農林事務所 1987)
キーワード〈中山間〉
『中山間地域における農業・農村のすがた 秩父地域』(秩父地区農林統計協議会 1994)
富田孝「〈ずいそう私と地方自治〉ふるさとの創造-中山間地域を活かして」(『埼玉自治 1997.11』p30)
キーワード〈ダム〉
武藤貞一「浦山ダム・合角ダムの建設予定地を訪ねる」(『文芸秩父 67』p2-9)
井上巧雄「〈ずいそう〉ダム建設と村づくり」(『埼玉自治 1998.10』p11)
貫井清載「小山村とダム」(『埼玉自治 1976.8』p6-8)
『浦山ダム 荒川水系』(水資源開発公団浦山ダム建設所 〔1991〕)『浦山ダム水源地域整備計画図』(埼玉県企画財政部水資源課 1990)『二瀬ダム工事報告書』(建設省二瀬ダム工事事務所 1963)
その他のキーワード
『農村生活環境整備計画書』(大利根町 1982)『農村生活環境整備計画書』(岡部町 1981)
- 事前調査事項
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国土地理院刊行の新旧の地形図を確認した。
- NDC
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- 地方自治.地方行政 (318 9版)
- 貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション (090 9版)
- 参考資料
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- 『秩父合角ダム水没地域総合調査報告書 上巻 自然編』(合角ダム水没地域総合調査会 1992)
- 『村とダム 水没する秩父の暮らし』(山口美智子 すずさわ書店 1997)
- 『吉田町過疎地域活性化計画』(吉田町 1990)
- 『秩父滝沢ダム水没地域総合調査報告書 上巻 自然編』(滝沢ダム水没地域総合調査会 1994)
- 『下久保ダムの記録』(下久保ダム連合対策委員会 1970)
- 『下久保ダム周辺の環境整備事業』(玉田享著 〔埼玉県立浦和図書館(製作)〕〔1981〕)
- 『神泉村過疎地域振興計画』(神泉村 〔1974〕)
- 『下久保ダム水没地の民俗 群馬県民俗調査報告書 7』(群馬県教育委員会 1965)
- 『有間ダム工事誌 総説編』(埼玉県土木部ダム砂防課 1987)
- 『荒川 人文 荒川総合調査報告書3』(埼玉県 1988)
- 『権現堂調節池工事誌』(埼玉県権現堂調節池建設事務所 1992)
- 『熊谷市郷土文化会誌 57』
- 『熊谷市郷土文化会誌 50』
- 『過疎辺地地域問題調査報告書 埼玉県過疎地域に係る振興及び辺地地域における公共的施設の整備に関する調査研究』(過疎地域問題調査会 1983)
- 『限界集落と地域再生』(高知新聞社 2008)
- 『秩父浦山ぐらし』(黒倉正雄 新宿書房 2005)
- 『新編埼玉県史 通史編7 現代』(埼玉県 1991)
- キーワード
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- 過疎問題-埼玉県
- 農村-山村-埼玉県
- 離村-廃村
- 集落
- 中山間
- ダム
- 郷土資料
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 定番事例-参考資料-新編埼玉県史-解決
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000062296