レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/09/14
- 登録日時
- 2016/05/12 00:30
- 更新日時
- 2016/05/13 10:02
- 管理番号
- 横浜市中央2454
- 質問
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解決
シャルマナサル3世の黒のオベリスクの最上段に描かれている
平伏する人物について解説している資料を見たい。
『目で見る聖書の時代』(月本昭男/著 横山匡/写真 日本基督教団出版局 1994年)の
p.58にオベリスクの写真が掲載されていた。
- 回答
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聖書考古学、アッシリア、シャルマナサル3世、大英博物館などをキーワードに調べたところ、
次の2冊に記述がありました。
1 『世界の博物館 6 大英博物館』講談社 1977年
p.14に黒いオベリスク1段目と2段目の写真を掲載しており、次のとおり記載がありました。
“(前略)写真はその一部で、上段はギルサンのスーアが降伏朝貢を約束している場面、
下段はイスラエル王イェフが金銀鉛を朝貢することを約束している”
2 『古代オリエント事典』日本オリエント学会/編 岩波書店 2004年
p.724~725の「ブラック・オベリスク」の項目に、次のとおり記載がありました。
“レリーフは、各段の上部に付された説明文が示すとおり、
上段からそれぞれギルザヌ(イラン北西部)のスア、イスラエルのイエフ、
エジプト、スヒのマルドゥク・アプラ・ウツル、パッティンのカルパルンダの貢納シーンである”
なお、次の資料も確認しましたが、
黒いオベリスクの一段目に描かれているレリーフの解説は見当たりませんでした。
3 『楔形(くさびがた)文字を書いてみよう読んでみよう 古代メソポタミアへの招待』
池田潤/著 白水社 2006年
p.102~105「2 王の碑文[その1]―ブラック・オベリスク」
4 『世界の碑文』マイケル・ケリガン/著 池田裕/訳 東洋書林 2010年
p.24「シャルマネセル3世のブラック・オベリスク」
また、参考までに説明文にある「ギルザヌ(もしくはギルザン)のスア」について
調べたところ、次の2冊に記述がありました。
5 「軍事遠征 と記念碑建立 -アッシリア王シャルマネセルⅢ世の場合」山田重郎
(「オリエント」42巻1号 日本オリエント学会 1999.9)p.1~18
p.9に“また王の軍が西からナイリの海(ウルミア湖)に達した後、
さらにその南に位置したギルザヌ(Gilzanu)に到達して立てた碑文”という記述があります。
ウルミア湖については『世界の地名・その由来 アジア篇』
(和泉光雄/編著 講談社出版サービスセンター 1997年)のp.64に記述があり、
イラン北西部にあるイラン最大の塩湖であることが分かりました。
当該論文は、J-STAGE(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/)で公開されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jorient1962/42/1/42_1_1/_article/-char/ja/
6 『埋もれた古代王国の謎 幻の国ウラルトゥを探る』
ボリス・ピオトロフスキー/著 加藤九祚/訳 岩波書店 1981年
アッシリアの北方にあったとされるウラルトゥについて、
シャルマネセル3世の遠征碑文などを中心に詳述した資料です。
残念ながら黒いオベリスク及びギルザヌについて触れられていないようですが、
「前9-6世紀におけるウラルトゥの最大版図」(ページ付なし「挿図・写真一覧」(p.xi~xiv)の次ページ)
及び「図1 サルマナサル三世のウラルトゥ遠征路」(p.5)には
「ギルザン」の地名があり、右横の湖には「ウルミア湖」とあります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 聖書 (193 8版)
- 世界史.文化史 (209 8版)
- 参考資料
- キーワード
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- 黒のオベリスク 黒色オベリスク
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000192101