【概要】
・早稲田大学中央図書館の参考書架をブラウジング。出版関係の参考図書を調査。
・ブラウジングで発見した参考図書が挙げている「参考文献」のうち、有用そうなものをさらに調査。
・ここまでで、河津虎之助の情報がある程度得られた
・あとを継いだと思われる出版社「川津屋」について調査。件名検索を活用。
【詳細】
1.参考図書の調査
参考図書コーナーの書籍より、以下を調査した。直接有益な情報はなかったが、いくつかの書籍より、その後の調査の参考資料を得た。
・東京書籍商伝記集覧 / 東京書籍商組合 編(青裳堂書店, 1978.4) (参考資料(5))
※『東京書籍商組合員図書総目録』(参考資料(1))の情報を得た。
・日本出版百年史年表(日本書籍出版協会, 1968.10)(参考資料(6))
※『東京書籍商組合史』その他の情報を得た。
・出版文化人名辞典(日本図書センター, 1988.2)
・出版文化人物事典(日外アソシエーツ, 2013.6)
・出版人物事典 : 明治-平成物故出版人 / 鈴木徹造 著(出版ニュース社, 1996.10)
・日本出版文化史事典 : トピックス1868-2010(日外アソシエーツ, 2010.12)
・『人物レファレンス事典』シリーズ
・『人物レファレンス事典 郷土人物編』
2.国立国会図書館リサーチ・ナビ「出版人の履歴を調べる」
1で調査済みの書籍がほとんどであった。追加調査分も有益な情報はなかった。
3.『東京書籍商組合員図書総目録. 大正12年1月』(参考資料(1))
『東京書籍商伝記集覧』の巻頭で触れられている『東京書籍商組合員図書総目録』を調査したしたところ、『東京書籍商組合員図書総目録. 大正12年1月』にて以下が判明。
・川津虎之助は大正12年1月の時点で東京書籍商組合員であり、川津屋という出版社を経営している。
・利用者が提示した住所と一致するため、同名異人ではない。
・利用者が挙げた『露西亜童話集』『三大家新修養』はこの川津屋が出版社となっており、そのほかに『生殖器研究と新治療法』(大正9)を出版している。
・「矢野博信書房」については、東京書籍商組合員名簿に「博信書房 矢野留吉」として、住所の一致する人物がいるが、出版社として「博信書房」「矢野博信書房」は立項されていない。
4.『日本出版百年史年表』の「参考文献」に挙げられている書籍の調査
いくつかの書籍をあたったが、以下で記述を得た。
4-1.『圖書月報』(東京書籍商組合事務所)
大正10年の1-12月号の新刊案内を見たが、『露西亜童話集』がなかった。1月号の名簿には「川津屋(神田)」がある。
4-2.東京書籍商組合史 / 東京書籍商組合 編輯(東京書籍商組合事務所, 1927.6)(参考資料(2))
大正12年の章に関東大震災の情報があり、念のためよく読んでみてみたところ、「追悼会」の名簿に「組合員」として「河津虎之助」とある。河の字が異なるが、先の名簿と合わせて考えると、川津虎之助は関東大震災で死亡した可能性が高いと考えられる。
5.出版書籍商人物事典. 第2巻(金沢文圃閣, 2010.8)(参考資料(3))
早稲田大学図書館所蔵目録(蔵書検索WINE;以下WINE)の件名「出版 -- 日本 -- 伝記」より。「川津 公一」が立項されており、「明治41年7月30日、東京に生る。41歳。中卒後、父の遺業川津書房を経営、今日に至る。元日配外神田営業所次長」とある。同書は『帆刈出版通信』の人名関係部分の復刻で、該当記事は第110号(昭和23年3月4日)の「新評議員の横顔」。
6.蔵書目録における「川津書房」
WINEや国立国会図書館の蔵書検索システム(NDL-OPAC)で出版社を検索してみると、「川津書房」は見つからないが、「川津書店」はある。戦時中は戦記物、戦後初期は赤本(貸本より以前の漫画本)などを扱い、以降は1960年ころまで多数の入門書を出版している。
7.高度成長期の出版社調査事典. 第2巻 / 石川巧 編・解題(金沢文圃閣, 2014.9)(参考資料(4))
WINEの件名「出版 -- 日本 -- 名簿」より。『出版社要録 昭和34年度 第二編』(東京産経興信所、1959年)の復刻。川津書店が立項されており、略歴が分かる。仕入先に「(製本)矢野製本」とあるが矢野留吉との関係は不明。
8.その他
・CiNii Articles、大宅壮一雑誌記事索引、MAGAZINE PLUS、ざっさくプラス、NDLサーチで調べてみたが関連記事や書籍の記述はなかった。NDLサーチで川津公一と引くと『岡本染之助 : 川津正子一周忌のために』(岡本文彌 編、川津書店, 1936.4)で「正子、さやうなら」という記事を川津公一が執筆しているが、関連は薄いと思われる。