①『日本の発明・くふう図鑑』には、「金鳥」の創業者である上山英一郎が蚊取線香を発明した過程と、形状について分かりやすい記載がある。そして、「棒状の蚊とり線香は、燃焼時間が短く、煙も細くて広がりにくいため、一度に2、3本使わなければならなかった。しかも、倒れると火災の不安もあった。うずまき型の蚊とり線香を思いついたのは、上山の妻「ゆき」」だった。ヘビがとぐろをまくのを見て、この形がひらめいたのだともいわれている。7年近くの試行錯誤をへて、1902(明治35)年にうずまき型の蚊とり線香が完成する。こうすることで、長時間の燃焼が可能になり、十分な薬効をもたらす太さを実現することもできた。使用時に倒れる心配もないため、防災上の不安もなくなった。また、2巻で1セットに組みあわせると輸送費は半分になり、かつ折れにくいといった点でもすぐれていた。」と説明されている
②『できるまで大図鑑』では、「どうしてうずまきのかたちなの?」という問いに対して、「蚊取り線香は、仏壇で使う線香をヒントに開発された。最初は線香と同じ細長い棒のかたちにかためてつくられたが、燃えている時間が短かったこと、運ぶときに折れやすかったことなどの問題があった。そこで、長い時間使えて、しかもじょうぶなかたちが研究され、現在のうずまきになった。」と説明している。
③『10分で読めるわくわく科学 小学1・2年』は、子どもたちが抱く身近な不思議について、低学年の児童に分かりやすく説明した本である。「かとり線こうは、なぜうずまき形なの?」という問いに対して、「さいしょにつくられたかとり線こうは、細いぼうの形をしていました。でも、四十分くらいでもえてなくなるので、ねているあいだに、"カ"にさされてしまうのです。しかも、細いのでけむりが少ししか出ないため、二、三本いっしょにつかわないと、"力"をやっつけられません。それに、とてもおれやすかったのです。そこで、ヘビのような太いうずまきの形につくりかえました。これならおれないし、長いあいだ、もえつづけることができます。うずまき形のかとり線こうの長さは、七十五センチメートル。七時間くらいもえつづけるそうです。日本人がはつ明したこのかとり線こうは、せかいじゅうでつかわれています。」と解説している。