レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009/11/11
- 登録日時
- 2010/03/12 02:11
- 更新日時
- 2010/03/13 09:12
- 管理番号
- 千県東-2009-0003
- 質問
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解決
「沈黙は愚者の甲冑にして、奸者の要塞(城塞?)なり」の出典や、続きがあれば知りたい。
- 回答
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幸田露伴による「言語」という評論の一節です。
『露伴全集 第24巻 評論1』p135によると「沈默は愚人の甲冑なり、奸者の城塞なり。明白〃の心地、温煦〃の胸廓ならば、千言萬語するとも何の不可かあらん。債鬼を怖るゝものは門を閉る堅く、醜婦を蓄ふるものは窓を開くを忌む。と、是もまた一説なり。」とあります。
また、同書には後記として以下のようにあります。
「「言語」は雑誌活世界の明治24年9月第15號に「形影相語」と題して載り、明治26年1月博文堂發行天眼鈴木力・斗南佃信夫編述「活文字」に再掲され、「長語」の初刊本・露伴集本・再刊本には「言語」として収められた。」
そこで再び、国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで『活文字』を確認すると、該当部分は以下のようになっていました。
「沈默は愚人の甲冑なり、奸者の城塞なり。債鬼を怖るゝものは門を閉る堅く、醜婦を蓄ふるものは窓を開くを忌む」と是れもまた一説なり。」
*なお一部の表記できない旧字体は新字体に改めてあります。
- 回答プロセス
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事前調査で「幸田露伴の言葉らしい」ということが分かっている。
●Googleで検索
「幸田露伴」「名言」「格言」「愚者」「奸者」などをキーワードに検索するが出典等の記載があるサイトは見つからない。
●レファレンスブックで調査
『日本名言辞典』(桑田忠親編 東京堂出版 1978)
『格言大辞典』(芳賀矢一ほか編 東出版 1995)
『日本名句辞典』(鈴木一雄ほか編 大修館書店 1988)
幸田露伴の格言は掲載されていない
●幸田露伴から調査
『日本近代文学大辞典 第2巻 人名コ~ナ』(日本近代文学館編 講談社 1977)p.12「幸田露伴」の項参照
箴言の類なので、評論・随筆等を参照することにする。
評論『一国の首都』
随筆集『?〔ラン〕言』『長語』
修養書『努力論』『修省論』
●各書を調べる
『?〔ラン〕言』→所蔵なし、国会もヒットせず
『長語』→所蔵なし、国会所蔵あり
『長語』(幸田露伴著 春陽堂 1901)→「近代デジタルライブラリー」で公開
1頁に「沈黙は愚人の甲冑なり。奸者の城塞なり。」の記載あり。
『言語』(明治24年9月)という随筆の一節と判明。
●当館での所蔵を再調査
自館OPACで「幸田露伴and言語」でヒットせず。
『現代日本文学綜覧シリーズ 個人全集・作品名綜覧 2』(日外アソシエーツ 1985)
「言語」・・・『露伴全集24』(当館所蔵)
インターネット最終アクセス日:2009年12月3日
- 事前調査事項
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1 以下の資料を調べたが、記載はなかった。
『成語林』旺文社
『成語大辞苑』主婦と生活社
『中国ことわざ話題事典』ぎょうせい
2 インターネットで検索
(http://blogs.yahoo.co.jp/pa9man75_pa9man75/38761828.html)
(http://14.pro.tok2.com/~ynaka/kyoukunhen/kyoukun.html)
など個人ブログから、「幸田露伴」の書いたものか言ったものと思われるが、具体的な作品名等の出典は不明
- NDC
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- 人生訓.教訓 (159 9版)
- 参考資料
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- 『露伴全集 第24巻 評論1』(幸田露伴著 蝸牛会編 岩波書店 1979)
- キーワード
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- 格言
- 箴言
- 幸田露伴
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000064565