アウシュヴィッツ(ビルケナウ)収容所の犠牲者数には以下のように諸説ある。 『ナチズムとユダヤ人絶滅政策』(ミネルヴァ書房)のp276には「アウシュヴィッツの犠牲者数を確認しておきたい。アウシュヴィッツに到着した囚人総数は131.5万人である。このうち、ランプでの1次選別で労働不能とされた91万のユダヤ人がガス室の犠牲となった。残りの40.5万人が登録されて収容された。このうち、21.8万人がさらに他の収容所へ移送され、12万人の75%、約9万人がユダヤ人であった。これに対して、非ユダヤ人の犠牲者は基本的に2次選別および病気によるものだけであるから、約3万人である。約100万人のユダヤ人犠牲者には、他収容所での犠牲者および撤去時の犠牲者は含まれていない。」とユダヤ人の犠牲者の数をまとめている。なお、以上の数字を割り出した根拠については同書p277-278に記載があり、「100万人を犠牲者総数の最大数」と結んでいる。 一方、『アウシュヴィッツの記録』(三省堂)p263には「最も大規模な虐殺が行なわれた収容所は、アウシュヴィッツとビルケナウ」とした上で「アウシュヴィッツで殺害された犠牲者は約400万人と推定」という数字が出されており、他にも『写真記録:アウシュヴィッツ6』(ほるぷ出版)では「600万から650万という数字」も見られる。また、『アウシュヴィッツと〈アウシュヴィッツの嘘〉』(白水社)のp34-35に「Sofsky,S.57」を出典とした各収容所の死者数データがあり、ここでは「アウシュヴィッツ 261000」「アウシュヴィッツ・ビルケナウ 1000000」という数字が挙がっている。