レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007/10/11
- 登録日時
- 2008/01/31 02:11
- 更新日時
- 2008/02/15 16:35
- 管理番号
- 埼久-2007-045
- 質問
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解決
1915年ころ、北原白秋の父親らが遭った「餌場荒らし」という言葉について知りたい。
- 回答
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詐欺のことと考えられる。県立図書館所蔵資料に参考になりそうな記述があり。前後関係と内容から、この事件を「餌場荒らし」と表現していると思われ、以下を紹介する。
『評伝北原白秋』(藪田義雄 玉川大学出版部 1978)p141より引用。
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父に若干の資本を出してもらい、魚の仲買い業をやることになった。烏賊を専門に取扱い、三崎で獲れた物を日本橋の魚河岸の問屋に運ぶのである。初めは問屋筋も手堅いところを選んで取引きをしていたので間違いはなかったが、慣れてくるにつれて、すこしでも口銭の歩合のいいところを物色するようになった。そうした心の焦りが躓きのもとだった。インチキなブローカーにひっかかって大口の売掛代金をそっくり騙し取られてしまったのである。万事休す。
結局、白秋夫妻だけを残して、家族全部が東京に引揚げることになったが、白秋夫妻もまた向ヶ崎の寓居を引払って二町谷の臨済宗見桃寺に間借り生活をはじめることになった。(大正二年十月)
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『北原白秋 その三崎時代』(野上飛雲 慶友社 1976)p258-259より引用。
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最初は、烏賊を専門に取扱って手堅く取引きをしていたが、慣れるにつれて、鮪や鯖に手を伸ばした。すこしでも口銭の歩合のいいところを物色するようになって、結局は売掛代金を騙し取られて失敗に終わる。
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- 回答プロセス
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北原白秋関係の研究資料を調査して、該当の記述を確認した。ただし詐欺の手口に関する資料は未調査。引き続き必要であれば改めて連絡してもらうよう回答する。
後日調査:『隠語辞典集成 14 警察隠語類集』『同 13 警察関係隠語/符牒・陰語六千語芸者からスリまで』『同 8 司法警察特殊語百科辞典』(大空社)を確認するが、「餌場荒らし」は見あたらなかった(2008/01/31)。
- 事前調査事項
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「詩人白秋 その愛と死」(嶋岡晨 現代教養文庫 1972)p131に記述あり。交番で訊いてみたが警察学校の資料や授業では学ばなかったとのことでわからず。
- NDC
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- 刑法.刑事法 (326 9版)
- 語彙 (814 9版)
- 参考資料
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- 『評伝北原白秋』(藪田義雄 玉川大学出版部 1978)
- 『北原白秋 その三崎時代』(野上飛雲 慶友社 1976)
- キーワード
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- 詐欺(刑法)-餌場荒らし
- 北原 白秋(キタハラ ハクシュウ)
- 犯罪行為
- 隠語
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000041432